第12話長くて短い再開
菜乃花の姿を見た瞬間に、僕はおもわず泣き出しそうになってしまった。
また菜乃花と一緒に居られる。
また菜乃花と会話ができる!
僕は持っていた傘を地面に投げ出して、菜乃花のそばに行く。
「この間はごめん……」
菜乃花の前に行くと僕は、腰を90度に曲げて謝罪をした。
こんなことで許してもらえるかはわからないが、僕にはそれぐらいのことしかできなかった。
そんな様子の僕を見て、菜乃花はキョトンとしていた。
しかし、少ししたら菜乃花は何かを察したのか、ふふっと小さくほくそ笑んだ。
「頭を上げてよ、翔太くん」
そう言われて僕が頭をあげると、菜乃花はまっすぐこちらを見つめていた。
「このあと時間ある?」
いきなりのことで色々と頭が追いついていない僕は、少し混乱しながらうんと答えると、菜乃花は後ろを向いて。
「ついてきて」
っと言い、歩き出した。
僕は落とした傘を拾うと、菜乃花の後ろをついていく。
これから僕はどこへ連れていかれるのだろう?
菜乃花は僕のことを許してくれたのだろうか?
色々なことを疑問に思いながら、僕は何も喋らずに菜乃花の後をついていった。
そして道中一言も話さないまま、菜乃花の目的地に着いた。
「上がっていいよ」
菜乃花に案内された場所は、何の変哲も無いただの一軒家だった。
「お邪魔します」
そう挨拶すると、僕は菜乃花の後をついていくように二階に上がる。
二階に上がってすぐ右を曲がると一つの部屋があり、菜乃花はそこのドアをガチャリと開けると。
「入って」
っと言って、僕を入れてくれた。
中に入るとそこには大きな白いベッドが一つあり、そのベッドを囲むようにたくさんの書籍が戸棚に並べられていた。
「ここは?」
僕がそう聞くと、菜乃花はドアを閉めて。
「私の部屋だよ」
そういってベッドに腰掛けた。
「ほら、翔太くんも座って」
菜乃花はベッドをポンポンと叩くと、僕に座るように言ってきた。
しかし、服がずぶ濡れな状態で座るのは申し訳ないと思った僕は、気を使わないでと言って座るのを断った。
すると菜乃花は僕の手をぐいっと引っ張り、無理やりベッドに座らせてきた。
そして僕の方を向いて。
「話があるの」
っと、重い雰囲気で言ってきた。
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