4話
マルちゃんはボーッとしていました。
いつもなら友達が「マルちゃんどこ見てるの?」「何か考え事?」と聞いてくれますが、今は誰もいないのでボーッとし放題です。ボーッのドリンクバーです。
「マルちゃん、今日のドリルは終わったのかい?」
コクリと小さく頷きます。
実のところ、今日のドリルはまだ終わってはいないのですが。
居間のテレビから聴こえるお侍さんが悪者を成敗する音。けたたましい蝉の声。飽きもせずに照り続ける太陽が、なんだか永遠に続きそうな。そんな感覚に見舞われていて、ドリルなんてする気には全くなりません。
家から持ってきた漫画やゲームも、とうの前に飽きてしまい。マルちゃんに残されたのは、ボーッとする事だけでした。
「マルちゃん、夏休みの自由研究は終わったのかい?」
自由研究?あぁ、そんなのあったなぁ。
マルちゃんは小さく首を振りました。
先程のように、やった振りをしても良かったのですが。なんだか全部終わっているのはリアリティに欠けるような気がして、少しだけ本当の事を織り交ぜたのです。
「……そうかい。」
おばあちゃんは、何を言うわけでもなく。湯のみのお茶をズズズッと音をたてて飲みながら昼の時代劇を見続けました。
しかくいせかい 味噌煮込み白木 @yasai69batake
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