2話

マルちゃんはリュックに色んな物を詰め込みます。漫画、ゲーム、お箸、歯ブラシ、洋服……。


マルちゃんのお母さんは言います。


「あら、準備をしているのね。それにしても、まぁ、大きなリュック。それじゃあ重たくて歩けないわよ。」


心配そうに見つめるお母さんを真っ直ぐに見つめ返しながら、マルちゃんは説明をしました。


何よりも大事なのはやる気。そのために漫画とゲームは持っていくんだ。お箸が無いとご飯が食べられないし、歯ブラシがないと虫歯になっちゃう。洋服がないと裸で寝ないといけない。ほら、全部必要でしょ?


お母さんは何かを言いたそうに口を少し開けましたが、マルちゃんの清々しい笑顔を見るとそれを口に出せなくなってしまいました。


「そうね、マルが必要だと思うのなら必要なのよね。わかったわ。くれぐれも怪我だけはしないでね。」


そう言うと大きな手で頭をゆっくりと撫でました。それにこたえるようにマルちゃんは大きく頷きました。


「いってらっしゃいマル」

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