失敗

私は失敗をした。


自分で言うのも何だが、私は非常に優秀なサラリーマンだ。毎月のノルマ達成は勿論、大きな商談を何度も成功させてきた。


ただ、1度の失敗を除いて。


順風満帆だった。

生憎、嫁や子供はいないが。友人は沢山いるし、上司ともそこそこ仲が良かった。


1人、最後まで上手く付き合えない人がいたけれど。


薄情なものだ。


わざと「けっ」と大きな声を出して笑った。


目の前にいるのは、今さっき知り合ったばかりの20そこそこに見える男1人。


「君は、こんな風になるなよ。」


男は、うんともすんとも言わず。ただ立ってこちらを見続けた。


「気色の悪い。」


私は目を瞑り。後ろに歩を進めた。

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