第235話 日課追加っと

「ふっふ〜ん♪」


 私は楽しく今日も剣を振ります。

 ただただ上から下に振るだけの動作をするだけで上手になれるらしいので、とりあえず続けてみることにしていました。

 剣を振る、ただそれだけの事がこんなにも楽しい事だったなんて思ってもみませんでした。

 ずっと振っていると、途中で音が変わる瞬間がきます。

 ヒュンからビュンにビュンからビュン!に。

 この音の変化が来る度、私の剣を振る速度が上がっているのだと実感できて面白いと感じ始めていました。


(もっと早くできないかな〜...)


 お兄ちゃんは毎日の鍛錬が重要だと言っていました。

 確かにそれも重要だとは思いますが、ちょっとズルをすれば更に早く出来る事に気がついてしまっていたのです。


(剣を振り下ろす瞬間に風の魔法でブースト!)


 風を斬る音が耳に吹き抜けて来るので心地いい...。

 まるで自分が剣の達人にでもなったかのような錯覚を味わえてしまうのが気持ちいいのです。

 他にも色々試してみて、剣に付与の魔法を掛けて炎の剣や水の剣などの属性剣も扱える事が分かりました。

 まあでも、結局の所風が一番オーソドックスで扱いやすいと思ってしまいますけどね〜。

 単純に振る速度が上がるので、威力と切れ味が増しているような感じがして良い。

 剣を振るだけの作業が、なんだか癖になっちゃいそうです。


(魔法の研究も面白いけど...、ただ剣を振るのも奥が深い...)


 どちらの研究も捨てがたいですが、私はどちらかと言えば魔法の方に興味があるので、剣はおまけ程度に使えれば良いと思っています。

 メインは魔法、サブは剣。

 剣はあくまでも魔力温存用の道具として扱うのがベターだと私は考えていました。


 (...はっ!?)


 いけないけない、ついつい小説の主人公になりきって鍛錬してしまっている自分が恥ずかしくなっちゃいます。

 ポンっと頭を叩いて我に帰りました。

 そうそう、あくまでもこれは鍛錬、自分を磨くための修行です。

 そんな事を考えながら、私は追加された日課を楽しむのでした。



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