第203話 決勝
準決勝は結果的に私が勝ちました。
先生を打ち負かした父さんが私に勝ちを譲ってくれる形にはなりましたが、これでいよいよ決勝です。
向こうで悔しそうな表情をしながら、父さんに文句を言う先生の姿がありましたが気にしない事にしましょう。
(プラム先生...、ハエたたきに叩かれた時の声面白かったな...ぷっw)
「ひゃん!!」
という声が出た時には、正直笑いを堪えるのに必死でした。
どうやら氷の魔法で私達の親指を手とくっつけていたようですが、不正が見つかった為、最初の得点が取り消しになった時の表情は正直面白かった..w。
色々ありましたが、何はともあれこれで決勝です。
「さあ!カリンちゃん!、お母さんと楽しくゲームをしましょう!」
「あっ!うん!」
ニコニコしながら両手を構える母さんを見た私もすぐさま準備します。
母さんのゲームの実力は未知数ですが、リアルで何度も激闘を繰り広げて来た私にもこれならば勝ち目があるでしょう。
ただ、懸念すべきは魔法によるイカサマですが、母さんはそういうことをやる人ではないと思います。
皆が見守る中、ついに私と母さんの試合が始まるのでした。
(まずは軽く様子見かな...)
「いっせの〜で...0!」
0と答えたので私は勿論指を動かしません。
「あら〜...、上げそびれちゃった〜」
母さんも指をあげることなく私の得点になりました。
なんだかわざとらしいその態度は少し鼻につきますが、これで一点です。
後一回勝てば優勝なので、勝利が見えてきました。
「じゃあ次はお母さんの番ね!、いっせの〜で...2!」
母さんが両指ともあげて得点になりました。
これで一対一です。
少し緊張してきたので“あれ”の出番だと思いゲームを一旦中断する事にしました。
「ちょっと待って...」
私はそう呟き、片方の人差し指を2回くるくるっと回しました。
これは私の中での「おまじない」で、これをやるとなんだかいつもより勝率が上がっているような気がするのです。
「もう大丈夫」
私がそう呟いてゲームに戻ろうとすると、一瞬だけ母さんの表情が強張ったような気がしました。
「母さん?」
「.......、えっ!?」
突然私に声をかけられたような反応をしていたので心配します。
「母さん大丈夫?」
「えっと...ああうん!大丈夫よ!」
ちょっと怪しいですが今はゲームに集中しましょう。
「じゃあ行くよ!いっせの〜で...1!」
私だけ指をあげていた為、勝利しました。
(やった!母さんに勝てた!)
私は母さんに勝利した事を心の中で喜びます。
たかがゲームとはいえ、賢聖に勝てたのは素直に嬉しいと言えるでしょう。
「優勝はカリンちゃん!」
パニラが自分の被っている王冠を私に被せながらそう言いました。
「ありがとう」
皆から声援を貰う中、なぜか母さんだけはその場を後にしていました。
なんだかゲーム中も元気がなかったのは調子が悪かったからでしょうか?。
何はともあれ、今は優勝の余韻に浸りたい私なのでした。
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