第204話 不安

(...、まさかカリンちゃんがあの遊びを発案していたなんて...)


 それを皆の前で話した時、私は思わず娘を二度見し、ちょっと不安になり姉さんを見て見ましたが、どうやら姉さんは特に何も思わないような表情だったので助かりました。

 自分の部屋で鏡に映る自分を見据えた私はこう呟きます。


「大丈夫よね...?、あなたは賢聖エルカなんですもの...、きっと何かしらの手を思いつくはずよね?」


 私は以前に一度あの遊びを遊んだ事があるのです。

 ただ、別に口外する必要もないと思い一切言ってこなかったのにカリンちゃんがそれを知っていたという点がどうしても腑に落ちないのでした。

 あれはほかの国の遊びだというのに、国から出たことのない娘が知っていたという事にどうしても納得がいかない私。

 だけど、それ以上に気になった部分があるのでした。


(あの子...、人差し指を2回くるくるって回してた...、“あの人”と同じ動き...、これは偶然なの?)


 意味はわかりませんが、確かあの時“あの人”はこの仕草を「おまじない」と言っていたような気がします。


「おまじない...、なんのことかしら?」


 実際の所、それ自体に深い意味はないのかもしれません。

 ですが、私にとってカリンという存在はただ1人の娘なのです。


「カリンちゃん...、何があったとしても母さんが必ず貴方を守るからね...」


 そう自分に言い聞かせ、一度娘に聞いてみる事にします。

 どこでその遊びと仕草を覚えたのか、気になって仕方がない。

 このままでは夜も眠れそうにありません。

 頰を二回叩きいい感じにシャキッとした私は、思いきって娘の元に向かいます。

 もしかしたらただ本当に思いついただけかもしれないので、それを見極める事が重要だと思うからです。


(一度ちゃんと話しておきましょう、カリンちゃんはただ自分であの遊びを発案しただけで、あの仕草もたまたま似ていただけ)


 そう自分に言い聞かせながら、私は娘の元に向かうのでした。

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