第160話 メルラの過去
「私ね、大人になったら料理人になって毎日ローシュのご飯作ってあげるんだ!」
「うふふ、それは良いわね、ローシュもきっと喜ぶわ」
私は戦争中だと言うのに、料理という物に興味を持ち、度々エルカ様やフォロス様に指導を行って頂いたの今でも覚えている。
わざわざ私になんかの為にお二人の時間を割いて頂けたのには理由がある。
私も幸福の教会の出であり、ある意味エルカ様の娘だからだ。
私は教会にいた時、毎日のようにローシュにご飯を作ってあげていたのだが、この時は失敗も多く正直あまり上手ではなかったのだけど、彼はそんな時の料理でさえ美味しいと言って完食してくれる。
どんなに失敗した料理でも彼だけは残さず完食してくれる姿を見て、いつの間にか心惹かれるようになっていった。
そうしているうちに私の技量も上がり、確実に美味しいものが作れるようになっていったのだが、その頃になると戦争が激化し食料を調理することがあまりできなくなった。
もっと調理の勉強をして彼に美味しい物を食べて欲しいと思った私は、エルカ様に頼んで他の大陸へ飛ばして貰ったのだ。
まだ若かった私だが、料理方面の技術とエルカ様から教えて頂いた魔法でなんとかやり繰りし、旅を続けてようやく戻って来れた。
成長した私の最高の料理で彼を驚かそう、ただそれだけの思いで続けた料理の道。
(帰ったら告白しよう...、たとえ振られても後悔はしない...)
覚悟を決めた私は祖国クティル王国へと足を運んだ。
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