第161話 俺が選ぶべき答え...
俺は答えが出せないでいた。
目の前にいる彼女は本気の目をしている。
本当に俺の事が好きなのだろうが、俺には他に好きな人がいる。
勿論彼女の気持ちは嬉しいし、彼女のことも嫌いではない。
彼女は昔からの幼馴染とでも言うべき存在で、俺の過去にしっかりと焼き付いている。
それでも、今の俺の脳裏に浮かぶのはあの人であった。
答えに困っていた俺はとりあえずこう返した。
「すまないが、いきなりそう言うことを言われても返答に困る、少し時間をくれないか?」
すぐに決めていいことではない事くらい俺にもわかっているつもりだ。
これから一生を共に過ごす伴侶はしっかりと考えなくてはならない。
彼女は不安そうな表情をしたまま席を立ち、こう呟いた。
「...、突然こんな事を言われても訳わかんないよね、ごめんなさい...」
のらりくらり店を出て行く彼女を遠目から見守り続ける俺は頭の中でよく考えた。
これで本当に良かったのか?、ハッキリ言ってやった方が彼女のためなのではないかと...。
時間の経過だけで済む問題ではないのだが、やはり彼女のことも気になる。
「ああ〜!!、もう何やってんだ!!俺!!」
頭を掻き毟りながら机を叩く俺の姿は、誰から見ても先ほどまでとは別人の様に思えるだろう。
だが、他にいい回答が思い浮かばなかったのも事実。
俺はため息を吐いて自分の優柔不断っぷりに飽き飽きする...。
(何でこのタイミングなんだよ...、帰ってきたタイミングで告白してくれたら二つ返事で回答できたのによ...)
俺はただ、彼女の寂しげな後ろ姿を見ていることしかできなかった...。
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