第132話 喋るお人形さん

「カリンちゃんこれ見てよ!」


 突然教室でリタが私にクマの人形を見せびらかして来たので不思議に思った。

 この子はいちいちこんな事で話をしてくる子ではないということは私が1番よく知っている。

 相変わらず良くできた人形だなと思いながらそれを手にとって見ると、不意にその人形が動き出したのでびっくりして床に落としてしまった。


「痛いじゃないか...」


 確かに人形の方から声がしたような気がするので、私はもう一度人形


「えっ!?人形が喋ってる!!?」


「凄いよ!カリン!人形人間の言葉を喋るなんてありえない!」


 ...、私の頭の上でアアルがそう言っているのがなんだかおかしく感じる。

 お前も鳥の癖に人語喋ってるじゃん!、というツッコミはしないよ...しないからね!。


「鳥が喋ってる〜!!?」


 人形のクマがアアルにツッコミを入れたので、私が人形にツッコミを入れる。


「お前がツッコムんか〜い!!」


 ついつい私がツッコミを入れてしまったので三流芸人の芸のようになってしまう。

 急に恥ずかしくなり顔を真っ赤にしながら態勢を元に戻して何事もなかったかのように本題へと話を戻す。


「っで...、リタこの子は?」


「えへへ〜、私の新しい友達、クマの人形のクミだよ〜」


 嬉しそうにクミを抱きしめながら喜ぶ彼女と、少し苦しそうな表情で私たちの方をみてくるクミのアンバランスがおかしくって笑いそうになる。


「クミって言うんだねその子」


 私が彼の名前を呟くと、彼はリタの拘束を脱出し、首のネクタイを締めるような仕草をする。

 そして締め終わると挨拶をしてきた。


「私の名前はクミと申します、リタ様に召喚され馳せ参じました、これからよろしくお願いします」


 礼儀正しい彼の態度に戸惑いながらも、出された手を握り握手を交わした。


「こちらこそよろしくね、クミ」


「ああ〜、カリンだけずるい!僕もする!」


 そう言いながら私の頭から羽ばたいて降り、クミの前に着陸する。


「僕の名前はアアル、よろしくねクミ!」


「こちらこそ、アアル殿」


 そう言いながら2人は握手を交わす。

 と言ってもアアルにもクミにも指が無いためちょっと当ててるだけの握手なのだが、それがまた愛らしく絵になっていた。

 クマの人形と小鳥の握手を見た私とリタはなんだかほっこりした気分になり微笑む。

 するとクラスの皆がクミの存在に気がついて、どんどん寄ってくる。

 一瞬にしてクラスの話題の中心になった喋る人形はしばらくの教室内でブームになったとさ...。

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