第97話 柔らかかった...

「柔らかかった...」


 私は手をグーとパーに何度も動かす。

 さっきの風呂場での感触が忘れられないので何度も動かしていたのだ。

 風呂場にある扇風機に風の魔力を送ってぼおっと感傷に浸っていると。


「えいっ!」


 聞き慣れた声がしてほっぺたに冷気が走ったぼで、たまらず声を上げ背筋を伸ばす私。


「ちゅめた!」


「あはは!、はいこれ」


 そこには牛乳を二つ持つヤヨイが立っていた。

 おおらかに笑いながら私に瓶を渡してくる。

 むす〜っとしながらも、私は彼女の牛乳ビンを受け取った。


「...ありがと...」


 一応小声で礼を言ってから牛乳を飲む。

 冷たくて甘い液体が舌に絡みついてきて美味しい。

 風呂上がりには最適な味わいを提供してくれる牛乳はまさに至極の一品である。


「うん、美味しい...」


「でしょ、やっぱ成長期の私たちには必要なものだよね〜」


 そう言いながら彼女も便の蓋をあける。

 よく学校の給食で出てくる一品にこれがあるのだが、私は結構好きである。

 味が嫌いな子もいるらしいが、私は普通に飲めるし味も嫌いではない。

 最後まで飲むと便をケースの中に置いて涼む。

 風呂上がりなのでまだ体温が熱く汗をかいて体を冷やす。


(風呂上がりのこの時間さいこ〜...)


 そんな事を考えながらも、シスターの胸の感触を思い出して手をワキワキと動かす。

 変態みたいだが仕方がない。

 本当に柔らかかったので、本心ではもうちょっと触りたかった。

 今となっては修学旅行でなぜ皆が私の胸を揉んできたのか少し理解できた。

 多分小さい私の胸でも柔らかかったのである。

 だから気持ちよくて、つい触りたくなってしまったのだろう。

 女性の胸というのはどうしてこうまでも他人を幸せできるのだろうか...。

 人には言えないが、私は同性愛も僅かながら持っているのかもしれない...。

 ...いやいや待て待て...、本当にそうだと決めつけるのはまだ早い。

 クラスにはイケメンのフレイがいるし、彼は普通にかっこいいと思える。

 イケメンに興味がある時点で異性への関心は確かにある。

 その為まだ私が同性愛者だと決まったわけではないのだ。

 ...、私は何を一人で熱く語っているのだろうか...。

 不意に虚しくなったので牛乳を飲んでいる彼女に話しかける。

 脱衣場の扇風機が回り続ける中、私と彼女は談笑しあっていた。

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