第35話 人生初めてのお城

 私が馬車から降りると、まず目に映ったのは豪華な細工がされた内装だった。


(レッドカーペットなんて現実で見た事ないよね、シャンデリアなんか私じゃ絶対に買えなかったし...)


 金の細工がされたロウソク台や高価そうな肖像画の額縁。

 眼に映る物全てが初めて見るものばかりだ。


(前世だと絶対に縁がなかったな...、この際だからお城の中を探検してやろうかな...)


 私が二ヒヒと笑うと、騎士らしき人が母さんにお辞儀してきた。


「エルカ殿!、今回は出席なさるのですね!、王も大変お喜びになられると思います!」


 母さんの方を向き、礼儀正しく敬礼をする。


「あらあら、そんなにかしこまらなくても良いのに」


「いえいえ、そういうわけには...」


 何やら訳ありのようだが、子供が割り込む話では無さそうだ。

 その間にも、お城の内装をジロジロと見る。

 異世界のお城の中を見れるなんて、今回が最後かもしれないので、入念に焼き付ける。


「ところで、私の主人はまだいらしてないのかしら?」


「いえ、フォロス殿はまだいらしていませんね...、ですがご安心ください、出席なされているので、いずれ現れるでしょう...」


 (フォロス?、さっきから母さんが主人と言っているし、カリンの父さんなのだろうか?、そういえば私は見たことがないな)


 私が唸りながらも、母さんについて行く。

 ここで考えてもラチがあかないので、とりあえずついていくことにした。

 少し歩いた所で不意に声をかけられたので振り返ると、見知らぬ少女が立っていた。

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