第31話 トウマの強さ...
俺は二人と別れた後、町の公園で一人魔法の鍛錬をしていた。
正直に言うと、能力を上げるのであれば、こんな所で訓練するよりも、実際に魔物を相手にしたいのだが、親たちが許してくれないので仕方ない。
いつものように武器を生成するのだが、俺はこの能力をそこまで気に入ってはいない。
自由自在に武器を作れると言えば聞こえは良いが、ただそれだけだ。
フレイの様に魔人になる事も出来ないし、カリンの様に召喚獣や回復の魔法を使うこともできない。
故に貴重性や重要性が低い、いわゆる外れ能力なのだ。
しかも、自身の身体能力が戦闘力に依存しているのがまた不快だ。
俺が強くなる為には、魔力の鍛錬と肉体の鍛錬、どちらも疎かにしてはいけないのである。
しかも、今の俺では武器生成に時間がかかり過ぎる。
生成初めから完了まで約10秒ほど...。
今は決闘ごっこなので良いが、俺が冒険者や魔法騎士などを目指すのであれば、このままでは駄目なのだ。
(もっと短い時間で...、強力な剣を...)
もっと...硬く固く堅く...!
硬く鋭い剣をイメージするが、出来るのはいつもと同じ剣で、強度も変わりない。
「くそっ!」
俺は砂を蹴りながら剣を放り投げ、その場に座り込む。
(こんなんじゃ、いつまで経ってもフレイの奴に勝てねぇぞ...)
あいつの方が頭もいいし見た目もいい、更に身体能力でも、俺の方が優ってるとは言い難く、家の出では完全に劣っている。
「俺が勝ってる所なんてねーじゃねーか!!」
一人で大声で叫ぶ。
そんな事は昔から分かっていた、いや本能でこいつには一生かかっても勝てないだろうと、負けを認めたくなった事なんて何回もあるが、それを踏み止ませる物が心の中にはあった。
「約束...、したもんな...、俺がこの国で一番強い男になって、今度はお前を守ってやるって...カリン...」
俺はそっと目を瞑り物思いにふけった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます