はろいん

草の陰、露も残さず。

今年も彼がやってきた

鬼灯（ほおずき）ぶら提（さ）げやってきた

髪に禊萩（みそはぎ）のお花を飾り

南瓜（かぼちゃ）の皮のお面もつけて

とんとんとてり　とんとてり

夜更けの街に　丑刻（ちゅうこく）の辻

皆（みんな）揃って出ておいで

旅の時間はもう終わり

宴（うたげ）の時間はもうお仕舞（しま）い

草葉の陰（かげ）に　柳の陰（かげ）

どこにも残っちゃ不可（いけ）ないよ

明日には霜（しも）が降りるから

みぃんなまとめて附（つ）いといで

柘榴（ざくろ）の色した肩巾（すかぁふ）に

黄色の外套（こぉと）を打ち掛けて

とんとんとてり　とんとてり

右手（めて）の鬼灯　愉快（ゆかい）に揺らし

火（ひ）の粉（こ）を降らして　星を描（か）く

真黒（まくろ）な地べたは大地のお空

秋夜（あきよ）に炫（かがや）く泥の河

神無月の最後の日

今夜は　はろいん大行列

屍（かばね）に諸人（もろびと）　連れて往（ゆ）こう

とんとんとてり　とんとてり

とんとんとてり　とんとてり…