第446話 文化祭と提督(4)
「・・・・・・お前も来てたのか。意外だな」
アイティレとバッタリと出会った影人は、アイティレに対しそう語りかけた。その口調は普段と変わらないものだ。軽く驚きこそしたが、ただそれだけだ。影人とアイティレは過去に多少の因縁があったが、それはもう既に払拭されている。
「・・・・・・陽華と明夜に呼ばれてな。最後の文化祭だから、ぜひ来てくれと言われた。今日は平日で授業があったが、風音が生徒会長権限で正式に休みの許可を取ってくれたのだ」
「生徒会長権限で休みって取れるのか・・・・・・? 凄いなお前の所の学校は。で、その生徒会長、『巫女』は一緒じゃないのか?」
「今日は私1人だ。風音は明日来る」
「そうか。・・・・・・ああ、悪いな。多少長くなっちまった。ほら、これ返すぜ」
影人はアイティレが落とした偽物の赤い宝石を差し出した。アイティレは「っ・・・・・・」と一瞬顔色を変えるも、偽物の赤い宝石を受け取った。
「すまない。感謝する。よりによってこれを落とすとは・・・・・・本当にありがとう。これは、私にとって何よりも大切なものなんだ」
アイティレは大事そうにギュッと偽物の赤い宝石を握った。その仕草が、アイティレの言葉が真実であると証明していた。
「・・・・・・差し支えがなかったら聞いてもいいか。その宝石・・・・・・見た感じ、明らかに偽物だよな。何でそれがそんなに大事な物なんだ?」
影人は興味本位でアイティレにそう質問した。アイティレはクールな雰囲気を持つ、影人と同じ同年代にしては大人びた女性だ。そんなアイティレが偽物の、オモチャのような赤い宝石を大事にしている。影人はそこに不思議さを感じざるを得なかった。
「・・・・・・一言で言えば、これが私の光導姫としての変身媒体だからだ。だが、私にとってこの偽物の宝石はそれだけの物ではない。・・・・・・少し長くなるが、それでもいいか?」
「・・・・・・逆にいいのか。お前のその話は、きっとお前自身に深く関わる話なんだろ。そんな話を俺なんかにして」
「ああ。君にはそれを知る権利がある」
「・・・・・・分かった。そういう事なら聞かせてもらうぜ」
影人はアイティレにそう言葉を返した。そして、影人はアイティレの前を歩き始めた。
「・・・・・・静かに話せる場所に案内する。ついて来てくれ」
どちらにせよ、シェルディア達から隠れる都合上、静かな場所には行くつもりだった。その間の暇も潰せるなら一石二鳥だ。アイティレにはその辺りの事を詳しく言わなかった前髪野郎は、さもクールそうに格好をつけた。
「ああ」
アイティレが影人の言葉に頷く。そして、影人とアイティレは文化祭の喧騒で騒がしい校舎の中を一緒に進み始めた。
「・・・・・・ここなら丁度いいだろ」
十分後。影人とアイティレは屋上に出るドアの前の踊り場にいた。風洛高校は大多数の高校と同じで、屋上は立ち入り禁止だ。そのため、ここまで上がってくる生徒は普段でも全くいない。文化祭中なら尚更だろう。
「少し埃っぽいが、まだ座れるはする。適当に掛けてくれ」
この踊り場には使わなくなった机やイスがいくつか置かれている。影人はその内の1つに座った。
「ふむ。下の階の喧騒は聞こえるが、確かに話を出来るくらいには静かだな」
アイティレも適当なイスを取ると、パッパと手で軽く埃を払い着席した。
「で、お前のその偽物の赤い宝石・・・・・・お前の光導姫としての変身媒体だったか。お前にとって、それは変身媒体以外にどんな意味を持つんだ?」
影人が改めてそう話を切り出す。アイティレはポケットから先ほどの赤い宝石の贋作を取り出した。そして、取り出したそれと同じ赤い瞳で、手の中にある贋作の赤い宝石を見つめた。
「・・・・・・以前、パーティーで私が君に言った事を覚えているか。私の観念についての話だ」
「あんまり自信はないが・・・・・・確か、闇のモノを扱う奴は全員敵ってものだったか?」
「ああ。今は昔ほどその観念は私の中で強くはないがな。君やレイゼロール、闇人といった闇サイドと共闘する内に随分と薄まったよ。・・・・・・だが、闇の力を扱うモノを敵とする観念は、まだ私の中から消えさってはいない。闇のモノに対する敵意、怒り、そして・・・・・・レイゼロールに対する恨みも」
無意識か、最後は低い声でアイティレは言葉を吐いた。
「っ・・・・・・お前、レイゼロールの奴に恨みがあるのか。それは・・・・・・初耳だな」
「だろうな。私も、明確にレイゼロールへの恨みを誰かに伝えるのは初めてだ」
アイティレは変わらずその赤い瞳で、手の中にある赤い宝石を見下ろしながら言葉を述べる。そして、アイティレは顔を上げると、影人の顔を見つめた。
「パーティーの時、私は君にこうも言った。『私は過去の経験がきっかけで、闇の力を扱うモノ全てを敵と考えていた。私が光導姫になったのもその経験が原因だ』と。私のレイゼロールへの恨みはその過去の経験に起因している。この偽物の宝石もその過去の経験と無関係ではない。君に話そう。私が闇のモノに敵対心を抱き、レイゼロールを恨み、そして光導姫になった理由を」
アイティレは影人に過去、具体的には7年前に何があったのかを話した。レイゼロールが闇奴を生み出した場に母とたまたま居合わせた事、闇奴が暴れて破壊した建物の破片からアイティレを庇い母が頭を打った事、アイティレの母はそれが原因で未だに目を覚ましていない事を。
「・・・・・・これが私の過去の経験だ。・・・・・・この偽物の宝石は母から貰った物だ。今でもはっきりと覚えている。私の6歳の誕生日の時だ。母は私にこれをくれた。私の瞳と同じ色のこの偽物の宝石には、母の想いが詰まっている。・・・・・・そして、私の想いもな」
最上位の光導姫は変身媒体を変えられるとソレイユに言われた時、アイティレは迷わずにいつも持ち歩いているこの偽物の宝石を選んだ。偽物の宝石に力が込められた時、アイティレは自身の決意と想いも同時に込めたのだった。
「・・・・・・そうか」
アイティレの話を聞き終えた影人は、一言そう言葉を漏らすとしばらくの間無言になった。
「・・・・・・陳腐な感想になっちまうが、お前も色々と苦労してきたんだな」
「苦労をしていない人間などいない。皆、何かしら背負っているものだ。それを言うならば、君も相当に苦労してきただろう。正直、私とは比べ物にならないほどに」
アイティレは影人が背負ってきたものを全てではないが知っているつもりだ。零無との事、レイゼロールとの事、フェルフィズとの事。影人は人の身でありながら、およそ人の身には余る因縁を背負い続けて来た人間だ。加えて、現在もスプリガンという力を背負い続けている。正直、アイティレが影人と同じ立場だったら耐え切れないかもしれない。
「人の苦労に比べるもクソもねえだろ。確かに、俺は普通の人間と比べたら、中々にアレな経験をしてきた。だが、不幸自慢をする気はねえよ。だってダサいだろ」
「・・・・・・ふっ、確かにそうだな」
「ああ。でも、しょうもない不幸自慢をしてくるムカつく奴に対しては、不幸自慢してもいいかもな。スカッとするし」
「・・・・・・そういうのを一言余計というのだぞ」
アイティレは一転呆れたような顔を浮かべた。
「別にいいだろ。・・・・・・それより、話を戻すが・・・・・・お前が闇の力を扱うモノに激しい敵対心を燃やしてた理由も、レイゼロールを恨む理由も分かった。十二分な理由だ。その上で言うが・・・・・・お前、よくこの現状を受け入れてるな」
現状、レイゼロールをはじめとした闇サイドと、光導姫や守護者といった光サイドは敵対していない。先のフェルフィズとの戦いでは、共闘まで行った。
しかし、だからといって闇サイドと光サイドは完全に友好な関係を築いているとは言えない。そこには払拭し切れない過去の戦いの因縁があるからだ。アイティレも闇サイドとは清算しきれない因縁を抱えている。普通ならば、この微妙な現状に憎しみの声を上げたいはずだ。
「・・・・・・私も完全に納得し切れてはいないよ。ただ、様々な事情を考慮しているだけだ。光導十姫である私が表立って不満を露わにするのはよろしくない。どんな形であれ、古から続いて来た戦乱が終わり平和が訪れたのだ。先達の光導姫や守護者たちが払った犠牲の上に築かれたこの平和は壊してはならない。絶対にな」
アイティレが光導姫としての意見を述べる。そして、アイティレは少しだけ目を伏せこう言葉を続けた。
「後はそうだな・・・・・・レイゼロールの背負っていたものも理解できるものだったからな。彼女もフェルフィズという存在に踊らされた被害者だった。・・・・・・まあ、だからといってという話だがな。先ほど言ったように、私自身はまだ闇の力を扱うモノに対する敵対心も、レイゼロールに対する恨みも消えてはいない」
「・・・・・・それでも、そういう考え方が出来てる時点で凄えよ。大人だな。素直に尊敬するぜ」
影人は珍しく自身の素直な気持ちを吐露した。影人がアイティレに称賛の言葉を贈るのは初めてだ。
「・・・・・・まさか、君からそんな事を言われるとはな。正直、とても驚いた」
アイティレは言葉通り本当に驚いているようで、その赤い目を大きく見開いていた。
「そこまでかよ? まあ、確かに何回も戦った奴からこんな事を言われるのは珍しいか」
影人は軽く頭を掻いた。すると、階下からこんな声が聞こえてきた。
「シェルディアちゃん、どう? 影人の奴の気配は近い?」
「ええ。もうすぐ近くまで来ているわ」
聞こえてきたのは暁理とシェルディアの声だった。
「っ!? ヤバっ・・・・・・」
2人の声を聞いた影人はそう呟くと、アイティレに対し、シーっと口元に指を当てるポーズをした。「静かに」や「隠し事」を意味するそのポーズを見たアイティレは「?」と不思議そうに首を傾げた。
「ふむ。人の気配を覚えられるとは何とも便利なものだね」
「影人さーん、どこですかー?」
ロゼとキトナの声も聞こえて来た。間違いなく、シェルディアたちは影人を捜している。影人の背に冷や汗が流れた。
「大丈夫か。君の事を探している人物がいるようだが・・・・・・」
「大丈夫だ。むしろ見つかる方がヤバい・・・・・・! いいか『提督』。出来るだけ静かにするんだ・・・・・・!」
「わ、分かった」
必死の形相を浮かべる影人にアイティレは気圧されコクリと頷いた。そして、影人とアイティレはジッと息を殺した。
「影人の気配はもうすぐそこなのだけど、この辺りに隠れるところはないわね。だとしたら・・・・・・上かしら」
「っ!?」
シェルディアのその言葉に影人が青ざめる。暁理は「上?」と言って階段を見つめた。
「この上は屋上への入り口しかないよ。その入り口も閉鎖されてるし。本当に影人の奴いるのかな」
「確かに、逃げ道がない場所をあの帰城くんが選ぶとは思えないね」
「まあ、確かめるだけ確かめてみましょう。いなかったらまたこの辺りを捜せばいいだけよ」
暁理とロゼの意見を聞きつつも、シェルディアは階段を登り始めた。シェルディアに続き、暁理、ロゼ、キトナも階段を登り始める。その音を聞いていた影人は絶望を感じた。
(クソッ、マズい。このままだと詰む。見つかったら終わりだ。仕方ねえ。こうなったら・・・・・・)
影人はポケットに手を入れるとある物を取り出した。シェルディアたちが階段を登って来る音はだんだんと近くなってくる。
そして――
「・・・・・・あら?」
シェルディアが屋上前の踊り場を視認する。しかし、そこには誰の姿もなかった。
「やっぱりいない感じだね」
「おかしいわね。影人の気配も同時に消えたわ。なぜかしら?」
暁理が首を横に振る。シェルディアも不思議そうに首を傾げた。
「・・・・・・間一髪だったな」
影人がホッとした様子でそう呟く。影人の姿は先ほどまでとは変わり、いつの間にかスプリガンの姿へと変化していた。
「っ、ここは・・・・・・」
急に景色が変わった事にアイティレは驚き、周囲を見渡した。先ほどまで校舎内だったが、今いる場所は外だった。
「ウチの高校の裏門だ。咄嗟だったから、転移場所を選べなかった。まあ、人気もないし咄嗟の転移先としてはマシだったな」
影人は周囲に人がいない事を確認すると小さく息を吐いた。
「私にはよく分からないのだが・・・・・・なぜ、スプリガンに変身して転移したのだ?」
「・・・・・・ちょっと事情があってな。それより、『提督』。変身したついでにお前に聞きたい事がある」
影人がアイティレにスプリガンの金の瞳を向ける。そして、影人はこう言った。
「お前の母親がいる場所はどこだ?」
「・・・・・・この人がお前の母親か」
数分後。影人とアイティレはロシアの首都、モスクワにあるとある病院の病室にいた。カーテンから覗く光は、外がまだ早朝であるという事を示していた。
「・・・・・・ああ、そうだ」
影人の言葉にアイティレが頷く。影人とアイティレの視線の先には、1人の女性が眠っていた。見たところ、30〜40代くらいだろうか。アイティレと同じ銀髪はかなり長い。伏せられたまつ毛も長く、一目で美人だと分かる。しかし、その体は痩せこけ、口元には酸素マスクが、腕には様々なチューブが繋がれていた。
「・・・・・・そろそろ教えてくれ。君はなぜ私の母への面会を求めたのだ?」
アイティレは様々な感情を乗せた赤い瞳で眠り続ける母親を見つめながら、影人にそう質問を飛ばした。影人はアイティレからアイティレの母親の居場所を聞くと、アイティレを伴ってソレイユに転移を頼んだ。影人の長距離間の転移の力は、1度行った事のある場所という限定付きだ。そのため、影人はソレイユに転移を頼んだのだった。ソレイユは影人からの急な転移の依頼を不思議がっていたが、快く了承してくれた。そして、次の瞬間には影人とアイティレはこの病室内にいた。
「・・・・・・その理由は今から見せてやるよ」
影人はそう言うと、ゆっくりとアイティレの母親へと近づいた。そして、スッと右手をアイティレの母親の額へとかざす。すると、影人の右手に暖かな闇が灯り、アイティレの母親の中へと浸透していった。
「っ、何を・・・・・・」
「・・・・・・
訝しげな顔になったアイティレに、影人はそう答えた。影人はしばらくの間、アイティレの母親に暖かな闇を流し込み続けた。
「・・・・・・これでいいはずだ。『提督』、俺はしばらくの間外に出てる。ある程度落ち着いたら出てこい。じゃあな」
スプリガン状態の影人はそう言い残すと病室から出て行った。残されたアイティレは「っ、おい!」と反射的に影人に向かって手を伸ばしたが、時は既に遅かった。
「いったい何なのだ・・・・・・」
アイティレは訳が分からないといった様子でぼやく。アイティレが横たわる母親に視線を戻す。
すると、
「ん・・・・・・」
アイティレの母親の顔がピクリと動いた。
「っ!?」
アイティレは信じられないものを見たといった様子で固まった。なんだ。自分は夢でも見ているのか。アイティレは今見たものが現実かどうか疑った。
「う・・・・・・ん?」
だが、それは紛れもない現実だった。アイティレの母親は徐々に顔を動かし始め、やがてその両の目を見開いた。その瞳の色は、アイティレと同じ赤色だった。
「ここ・・・・・・は?」
目を見開いたアイティレの母親はぼんやりとした様子でそう声を漏らす。その声はかなりか細いものであった。
「母さん・・・・・・」
長らく目を覚まさなかった母が目覚めた。アイティレは震えた声でそう呟く。アイティレの声を聞いたアイティレの母親は、ゆっくりとその目をアイティレへと向けた。
「あな・・・・た・・・・は・・・・アイ・・・・アイティレ・・・・? アイティレ・・・・なの・・・・?」
「ああ・・・・・・ああ、そうだとも。私はアイティレ・・・・・・あなたの娘だ。母さん、母さん!」
もう色々と限界だった。アイティレは目に涙を滲ませると母親の元へと駆け寄った。今は何が何だか分からない。だが、もう2度と目覚める事がないと思っていた母親が目覚めてくれた。気づけば、アイティレは涙を流していた。
「本当に・・・・あなた・・・・なの・・・・? ああ・・・・すっかり・・・・大きく・・・・なって・・・・」
アイティレの母親は弱々しくではあるが、暖かな笑みを浮かべた。アイティレは「っ・・・・・・!」と感極まり、伏せている母親に抱きついた。
「母さん、母さん、母さん・・・・・・! よかった・・・・・・! また、母さんと話せて・・・・・・! ううっ、うううう・・・・・・!」
「ふ、ふふっ・・・・泣いて・・・・いるの・・・・仕方ない子・・・・ね・・・・」
抱きつき泣き声を上げるアイティレを、アイティレの母親は何とか左腕を動かし抱き返した。
7年間も寝た切りだったため、普通ならば腕を動かす事も満足には出来ないはずだが、アイティレの母親は母としての本能の力――または愛と言うべきか――を発揮したのか、しっかりとアイティレを抱き返したのだった。
そして、しばらくの間、アイティレとアイティレの母親は抱き合い続けたのだった。
「・・・・・・」
病室の外に出ていた影人はただ無言で佇んでいた。一応、この病室の周囲には人払いの結界を張っているので、廊下には影人以外誰の姿も見えなかった。
『急に善人ぶりやがって。いいのか? あいつはお前を何度も殺そうとした奴だぜ』
「・・・・・・殺されそうになった事なんざいくらでもある。別に今更そこを気にするところでもねえよ」
語りかけてきたイヴに影人はそう答える。影人がアイティレの母親に施したのは治癒の力だ。その結果、アイティレの母親は脳の損傷が回復し、目を覚ましたのだった。
「・・・・・・まあ、別にいいだろ。たまたまだが、俺にはまだ力があった。その力で親子がまた言葉を交わせるなら・・・・・・それに越した事はねえよ」
どんな形であれ、親と子が引き裂かれる辛さを影人はよく知っている。ただそれだけだ。
『けっ、お前のそのたまにあるクソ甘いところ気持ち悪いよな。反吐が出るっていうか』
「そこまで言わなくていいだろ・・・・・・」
影人は少し傷ついた様子になった。そして、影人はアイティレが出て来るまで、ずっと病室の前で待ち続けた。
「・・・・・・」
すると、しばらくして病室のドアが開きアイティレが出て来た。
「・・・・・・もうよかったのか?」
「ああ。また必ず会いに来ると約束したからな。取り敢えず、今の私はまず日本に戻らなくてはならない。陽華と明夜にまだ会っていないからな」
「・・・・・・そうか。じゃあ、戻るか。帰りは俺の力で転移できるから、ここから直接跳ぶぞ」
影人が転移の力を使用する。すると、影人とアイティレの体を黒い光が包み始めた。
「分かった。スプリガン、いや帰城影人くん・・・・・・ありがとう。本当にありがとう。この恩は一生忘れないよ」
アイティレは今まで見たこともないような、優しい笑みを浮かべ、影人に感謝してきた。アイティレのそんな顔を見た影人は少し驚きつつも、
「・・・・・・はっ、大袈裟なんだよ」
自身も小さく笑いそう答えを返した。そして、影人たちは黒い光の粒子と化し、日本に戻ったのだった。
――ちなみに、文化祭に戻った前髪野郎がシェルディアたちに見つかり、それはそれは恐ろしい目に遭うのはまた別の話である。
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