第410話 亀裂を巡る戦い、決着(5)
「っ・・・・・・? おいおい、何だ・・・・・・?」
第5の亀裂、アメリカ。メリー、菲、イヴァン、葬武、ゾルダート、キベリアVS魔機神の写し身4号の戦い。メリー、イヴァン、葬武の3人を癒したぼんやりと光った少女のようなモノ――ヘシュナを見たゾルダートは、その顔色を疑問の色に染めた。
「嘘、なにその高密度の自然エネルギー・・・・・・概念そのものの具象化じゃない・・・・・・もしかして、精霊・・・・・・?」
一方、キベリアは、ヘシュナを見て信じられないといった様子になる。キベリアに正体を見破るような目はない。だが、キベリアは魔法を扱う者として、ヘシュナの気配がどのようなものか理解していた。ゆえに、キベリアはヘシュナの正体に誰よりも早く辿り着いた。
『はい。あなたの言う通りです。私は精霊。ただし、この世界ではなく異なる世界の精霊ですが』
ヘシュナはキベリアの方に顔――正確には顔のような部位だが――を向けるとそう答えた。
「異世界の精霊だ・・・・・・? おいおい、私らも大概ファンタジーだが、どんなファンタジーだよ・・・・」
ヘシュナの言葉を聞いた菲は呆れ切ったような、信じられないような、なんとも言えない顔を浮かべた。菲もイズやフェルフィズ、異世界についての情報は知っているので、異世界から精霊の助っ人が来たという事実は理解は出来る。だが、実際としてはまだ理性が納得しきってはいなかった。
「なるほど。感謝いたしますわ。助けていただきありがとうございます。ええと・・・・・・」
『ヘシュナ。私の世界で私はそう呼ばれています』
「・・・・・・!」
ヘシュナがメリーに自分の名前を教えた直後、写し身は両腕の剣を砲身へと変えた。そして、上空の端末装置を自分の周囲に移動させる。写し身は両腕の砲身と端末装置をヘシュナに向けた。次の瞬間、砲身から概念をも無力化する破滅の光と、同じく概念を無力化する端末装置のレーザーが放たれた。
「っ、ヘシュナさん!」
メリーが危険を知らせるためにヘシュナの名を呼ぶ。
『問題ありません』
ヘシュナはしかしその場から動かなかった。次の瞬間、フッとヘシュナの姿が掻き消える。破滅の光とレーザーはただ虚空を撃っただけだった。
『・・・・・・アオンゼウとほとんど同じ情報で構成されているあなたは、恐らくアオンゼウの写し身。概念無力化の力をその身と攻撃手段に宿すあなたの攻撃は、脅威以外の何者でもない。ですが、無駄です』
ヘシュナは消えた時と同じように、フッと少し離れた場所に現れた。ヘシュナに肉体はない。ぼんやりと光る少女のような姿は、ただヘシュナを可視化させるためだけの事象でしかない。つまり、いつでも消え、いつでも好きな場所に出現する事が出来る。ヘシュナという存在を捉える事は不可能に等しいのだ。例え、それが魔機神の写し身であっても。
『風よ。刃となって切り裂きなさい』
ヘシュナがそう唱えると、写し身の体を風の刃が切り裂いた。ヘシュナが起こしたのは事象。概念を現象として現す行為だ。それは、キベリアの魔法と同じ。ゆえに、写し身の概念無力化の力を貫通し、風刃は写し身の体に損傷を与える事が出来た。
「・・・・・・!」
だが、写し身の体には超再生の力も宿っている。風刃に切り裂かれた写し身の体はすぐに元通りに修復された。写し身は両腕の砲身を実体剣と光刃に変えると、背部魔法陣から大量の機械の剣を呼び出した。写し身は端末装置からレーザーを発射させ、ヘシュナ以外の者たちを端末装置で攻撃した。そして、写し身は大量の機械の剣と共にヘシュナへと突撃した。
「ちっ、無限にレーザー撃って来んなよ! おい闇人! さっさとさっきのやつやれよ!」
「何で私があんたに命令されなきゃならないのよ! というかくっつくな! ああもう、うざったいわね!」
菲に抱きつかれたキベリアは苛立った様子になりながらも、光を呑み込む暗闇の穴を自身の前方に出現させた。レーザーはその穴に飲み込まれる。メリー、イヴァン、葬武、ゾルダートは何とかレーザーを回避する。
『闇よ。光を吸いなさい。光よ。刃となり切り裂いて』
ヘシュナは避けるメリーたちを守るべく、キベリアが出現させたものと同じ、闇の穴を複数出現させた。闇の穴はレーザーを呑み込む。メリーたちは格段にレーザーが避けやすくなった。
そして、同時に光を刃の如き事象として呼び出し、その光刃で端末装置や機械の剣を全て切り裂く。写し身本体も光刃に切り裂かれたが、超再生の力ですぐに修復される。損傷を厭わずに突撃した写し身は翼から、極小の刃の群れである青い煌めきを呼び出す。刃はヘシュナを取り囲むように展開し、ヘシュナを襲う。写し身は同時に、両腕の実体剣と光刃による神速の斬撃を放つ。しかし、ヘシュナは青い煌めきや写し身の斬撃を受ける前に、再びフッとその姿を消した。
『こちらの世界でもある程度自由に力は操れますか・・・・・・協力に感謝します。この世界の精霊たちよ』
写し身の後方に現れたヘシュナは、感覚を確かめるようにそう呟いた。ヘシュナは精霊。だが、この世界とは異なる世界の精霊だ。世界の事象たる精霊であるヘシュナは、様々な概念もしくは現象を操る事が出来る。
だが、それはあくまで自分が属する世界での話だ。ゆえに、ヘシュナはこちらの世界で満足に力を振るう事が出来るか疑問だったが、こちらの世界の精霊がヘシュナに協力してくれているため、問題は全くといっていいほどなかった。
(しかし、私の攻撃ではアオンゼウの写し身は滅しきれない。写し身を滅する可能性があるとすれば・・・・・・)
ヘシュナはメリーたちの方に顔を向けた。そして、メリーたちの近くに一瞬で現れた。
『あなた方に確認したい事があります』
「のわっ!? ヘ、ヘシュナさん? いつの間に・・・・・・」
突如として近くに出現しそう声を掛けて来たヘシュナに、メリーは驚いた顔を浮かべた。
「情けねえ声だな。で、確認したい事って何だよ」
菲はこんな状況でもメリーをバカにする事を忘れずにそう言うと、ヘシュナにそう聞き返した。
『あなた達の中に写し身を滅しきれる力を有した方はいますか? 私の力では写し身を滅し切る事は出来ません』
「・・・・・・!」
ヘシュナが言葉を述べると、写し身が両腕を再び砲身に変え、ヘシュナたちに破滅の光を放った。ヘシュナは闇の穴を生じさせ、破滅の光を飲み込ませた。
『光よ、風よ。刃の籠となって切り裂き続けなさい』
ついでに、ヘシュナは光と風の刃で写し身に反撃した。写し身はバラバラに全身を切り刻まれた。写し身は再生したが、再び光と風の刃が写し身を切り裂く。ヘシュナはしばらくの間、光と風の刃をその場に止まらせた。結果、写し身の体が切り刻まれ、再生するという光景が繰り返された。これで話す時間が稼げるだろう。
「俺はねえな。で、特殊能力を持たねえ守護者もない。光導姫組はどうだ?」
「概念を無力化して再生もする奴を滅しきれるわけねえだろ。私もそんな力はねえよ」
「残念ですが、私もですわ」
『そうですか・・・・・・あなたはどうですか?』
ゾルダート、菲、メリーの答えを聞いたヘシュナが残る1人、キベリアを見つめる。キベリアは「うっ・・・・・・」と嫌そうな、微妙な顔になった。
「・・・・・・一応、2つだけど方法はあるにはあるわ。1つはあんた達の誰かが使ったっていう、精神を顕在化させる魔法よ。精神を表に引き摺り出せば、概念無力化やら再生の力は使えないんでしょ?」
『ええ。ですが、その方法はあの写し身に対しては恐らく意味がないと感じます。あの写し身に精神が宿っているとは思えません』
「ちっ、じゃあもう1つの方法ね。でも、これは現実的じゃないわ」
『構いません。言ってください』
ヘシュナがキベリアを促す。キベリアは渋々といった様子で口を開いた。
「・・・・・・私がずっと研究していた第11の魔道。それを使えば、あいつの存在を消し去れる・・・・・・いや、そもそも存在しなかったことに出来るわ」
「「「っ!?」」」
キベリアのその言葉を聞いたメリー、菲、イヴァンが驚いた顔になる。葬武は「・・・・・・」と顔色を変えず、ゾルダートは「へえ・・・・・・」と面白いといった顔になった。
「ただ、11の魔道は理論は完成してるけど、それを最初にこの世界に開く儀式が出来ていない。その儀式をしなければ、私は11の魔道の力を使えない。そして、その儀式には莫大な力がいるのよ。今の私じゃ到底賄えないほどの力がね。だから、現実的じゃないって言ったのよ」
『・・・・・・なるほど。要は力があればいいのですね』
キベリアの説明を聞いたヘシュナは頷くとフッとその姿を消した。すると、次の瞬間キベリアの中に尋常ならざる力が生じた。
「っ!? なによこの力・・・・・・」
自身の中から溢れ出る凄まじい力にキベリアが戸惑う。すると、キベリアの中に声が響いた。
『あなたと同化しました。これで、あなたは私やこの世界の精霊の力を使う事が出来ます。どうですか。これであなたが言っていた力は賄えますか?』
それはヘシュナの声だった。己の内から響くヘシュナの言葉を聞いたキベリアは驚きながらも、やがて力強く頷いた。
「ええ、十分過ぎるわ。これなら開けるわ。私の第11の魔道が・・・・・・!」
己の内から力が溢れ、外からも力が流れ込んでくる。それは純粋なる自然のエネルギー。キベリアは闇人。ゆえに闇の力を扱うが、ヘシュナと同化して得られた力は何色にも変わる力。これを闇の力に変換すれば、魔法を行使する力になる。そして、キベリアは『変換』の闇の性質を持つ魔女。それくらいは造作もない事だった。
「あんた達、私が11の魔道を開くまでの時間を稼ぎなさい! その後は私があいつを倒してやるわ!」
キベリアはニヤリと自信溢れる笑みを浮かべ、周囲の者たちにそう言った。
「はあ? どういう事だ。状況が見えねえ。というか、あの光った奴はどこに行きやがったんだよ」
「私の中よ。私が魔法を使うための力の源になってくれてるわ。だから、あんたらは私のサポートをしなさい。勝つわよ」
「ひゅー、格好いいねキベリアさん。了解したぜ。そういう事なら指示に従ってやるよ」
「偉そうなのは気に食わないですけど、世界のためですわ。淑女の嗜み国際条約第64条。淑女は大局を見るべし。大義のためなら、例え闇人の指示にでも従いますわ」
「まあ、そういう事なら仕方ないか。本当、面倒くさいけど」
「・・・・・・どうとでもすればいい。俺は奴と戦い続けるだけだ」
菲の疑問にキベリアが答え、ゾルダート、メリー、イヴァン、葬武が了解の意を示す。そして、ヘシュナがキベリアと同化したと同時に、写し身を切り裂き続けていた光と風の刃が消えた。写し身の体が再生され自由になる。写し身はバイザーの青い単眼をキベリアたちに向けた。
「ちゃんと止めなさいよ。ついでに、あんた達に加護を与えてあげるわ。光と闇よ、この者たちに精霊の加護を」
ヘシュナと同化したキベリアはヘシュナから流れて来た知識と力を使って加護を与えた。メリー、菲、イヴァン、葬武に淡い光が纏われ、ゾルダートには薄い闇が纏われる。メリー、菲、イヴァン、葬武、ゾルダートの全体的な能力が大幅に上昇した。
「っ、この力は・・・・・・」
「バフってところか。いいね、誰かに掛ける事はあったが掛けられるのは初めてだ」
「・・・・・・これなら、予測しなくてもいい感じだね」
「余計な事を・・・・・・」
「力が溢れて来やがる。ははっ、こいつは楽しめそうだ」
キベリアに精霊の加護を与えられたメリー、菲、イヴァン、葬武、ゾルダートはそれぞれの反応を示した。
「・・・・・・!」
写し身が魔法陣から大量の機械の剣と端末装置を呼び出し、両腕を実体剣と光刃に変えた。そして、機械の剣を一斉に5人に向かって襲わせ、端末装置から一斉にレーザーを放つ。同時に写し身は5人に向かって突撃を仕掛けて来た。
「見える、見えますわ! これなら!」
メリーが左手の淡い光を纏う銃を放ちながら、右手の淡い光を纏う剣で機械の剣と端末装置を切り裂く。精霊の加護は武器の威力すらも引き上げた。
「来い。私の兵隊ども。迎撃しろ」
菲も5体の人形を呼び出し機械の剣と端末装置の迎撃に当たらせる。
「じゃ、俺らは本体を止めるかな」
「シッ!」
「ははっ、おらよッ!」
イヴァン、葬武、ゾルダートは写し身の迎撃を行った。3人は写し身の攻撃を避けながら、ナイフによる斬撃、棍による打撃、または斬撃や銃撃や打撃といった複合的な攻撃を行った。3人の激しい攻撃が写し身に浴びせられる。
「・・・・・・!」
写し身は体を再生させながら、翼から青い煌めきを放出した。極小の刃の煌めきがイヴァン、葬武、ゾルダートを襲う。だが、今の3人は全ての能力が大幅に強化されている。ゆえに、煌めきを避ける事は造作もなかった。
「ここが切り札の切りどころと考えましたわ! 菲! あなたも合わせなさい!」
「だから私に命令するんじゃねえよイギリス野郎! ちっ、だが今回だけ合わせてやるよ!」
機械の剣と端末装置を迎撃していたメリーと菲は次の瞬間、こう言葉を唱え始めた。
「私は光を臨みますわ。力の全てを解放し、闇を浄化する力を!」
「我は光を臨む。力の全てを解放し、闇を浄化する力を」
メリーに紺色のオーラが、菲に鮮やかな赤いオーラが纏われる。そして、2人は力ある言葉を放った。
「光臨!」
「光臨」
2人の体が光を放ち世界を白く染め上げる。光が収まると2人の姿が変化していた。
「さあ、より優雅に舞いますわよ!」
「さっさと勝って終わらせるぜ」
光臨したメリーは自身の周囲に浮かぶサーベルと銃を使って、より激しく機械の剣と端末装置を迎撃した。菲は強化された力で人形たちの攻撃をより強くさせ、迎撃行動を行う。
「我は魔なる道の求道者。1の炎、2の水、3の雷、4の氷、5の毒、6の鋼、7の万化、8の生命、9の闇、10の空間、我はこの世界に10の魔道を開きし者」
キベリアは目を閉じて深く自分の精神と力を集中させる。
「我は魔なる法を行使せし者。この世界に新たに11の魔道を開く」
キベリアの足元に複雑な魔法陣が展開される。キベリアはスッとその目を開いた。
「我は魔女。我が理論と力を以て、この世界に開け。11の魔道・・・・・・11の時間よ!」
キベリアがそう宣言すると、キベリアの力が消費され足元の魔法陣が輝きを放った。そして、魔法陣はパリンと砕け散った。
「ふっ、これで使えるわ。私の新たな魔法が。感謝するわ。あなたがいなかったら、私はまだまだこの魔法を使う事は出来なかった」
『いえ。しかし・・・・・・なるほど。確かに、この力なら写し身を消滅させる事が出来ますね』
キベリアが自身と同化しているヘシュナに感謝の言葉を述べる。ヘシュナはキベリアと同化しているので、キベリアの新たな魔法がどのようなものなのか理解していた。
『そして、あなたは才ある者ですね。私が力を貸しているとはいえ、時の力を自身の理論だけで扱えるようにするのですから。普通は不可能です』
「ありがと。私、これでも天才なのよ」
キベリアは嬉しそうにニヤリと笑った。そして、周囲の者たちにこう言った。
「待たせたわねあんた達。私が見せてあげるわ。本当の魔法ってものを」
「はっ、期待外れだったら殺すからな。一応保険だ。くれてやる。我が力よ。この者の力を全て解放せよ」
菲はキベリアに黒い短い鞭を向けた。すると、鞭から光が伸びキベリアの胸部に触れた。次の瞬間、キベリアの体から凄まじい力が湧き上がってきた。
「っ、あんた・・・・・・」
「1回私の光臨を見てるあんたなら私が何をしたかは分かるだろ。さっさとあいつをぶっ倒せよ闇人」
「・・・・・・ふん。言ってくれるわね。まあ、任せなさいよ光導姫」
菲から能力の大幅な上昇の力を受けたキベリアは小さく笑った。そして、こう言葉を唱えた。
「11の時間、我が時を加速する」
キベリアの背後に一瞬時計のようなものが現れた。時計のようなものは針を凄まじく速く回転させると虚空に消えた。
「さて、本当なら少しはいたぶりたいけど・・・・・・時間もあまりないようだし、サクッと倒してあげるわ」
キベリアが一歩を刻む。すると、ギュンとキベリアが一瞬にして写し身の背後に移動した。
「うおっ、キベリアさんいつの間に?」
「っ、全く反応出来なかった・・・・・・?」
「何だ。何か不自然さを感じたが・・・・・・」
「・・・・・・?」
写し身を迎撃していたゾルダート、イヴァン、葬武が驚いたような顔になる。写し身も突如として背後に生じた気配に振り返る。
「・・・・・・!」
写し身がキベリアに向かって右手の実体剣と光刃を振るう。しかし、キベリアは再びギュンと加速しその攻撃を避け、写し身の近くに現れた。キベリアのその速さは影人やシェルディアと同レベル、もしくはそれ以上。だが、葬武が言ったようにその速さはどこか不自然さを感じさせた。まるで、1人だけ違う時を生きているように。
「今の私は文字通り無敵よ。誰も私を捉えられない。そして、終わりよ」
キベリアがスッと右手で写し身に触れた。
「11の時間、この者の時を巻き戻す」
キベリアが魔法を行使する。すると、今度は写し身の背後に時計のようなものが出現した。その時計のようなものは、逆方向に凄まじい速さで回り始めた。
「・・・・・・!?」
「あんたが存在する前まであんたの時間を巻き戻す。そうすると、どうなると思う? 簡単よ。あんたは消滅する」
キベリアは写し身の時間を戻し続けた。キベリアの魔法は時という概念を事象に落とし込んだもの。ゆえに、概念無力化の力は受けない。再生の力も、あくまで体の損傷にだけ適用されるものだ。写し身にキベリアのこの魔法を防ぐ手段はない。
「・・・・・・!」
写し身は自身の時を戻されながらも、何とか反撃を試みようとした。だが、巻き戻される時の中で写し身は満足に体を動かす事は出来なかった。
そして、写し身は唐突にその場から消滅した。
「・・・・・・勝ちね。私の、いや私たちの」
『はい。お疲れ様です』
「いやー、キベリアさんやべえな。今ならシェルディアさんとかにも勝つんじゃねえか?」
「ふぅー、やっと終わったか。ったく、絶対ボーナス貰ってやるぜ」
「光と闇が協力し勝利する。まあ、こういうのもたまにはいいですわね」
「はあー、今回も死ぬかと思った」
「・・・・・・まだまだ不甲斐ないな俺も」
キベリア、キベリアとの同化を解除したヘシュナ、ゾルダート、菲、メリー、イヴァン、葬武がそれぞれの感想を述べる。そして、ソレイユから符を預かっていたメリーは、亀裂に符を貼った。
――第5の亀裂、アメリカ。勝者、『貴人』メリー・クアトルブ、『軍師』胡・菲、『凍士』イヴァン・ビュルヴァジエン、『天虎』練・葬武、『強欲』のゾルダート、『魔女』のキベリア、『精霊王』ヘシュナ。こうして第5の亀裂を巡る戦いは終了した。
――残る亀裂は第6の亀裂、日本のみ。この世界とあちら側の世界の命運は、第6の亀裂を巡る戦いに託された。
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