第362話 優しい嘘が崩れるとき
「今日もいい天気だな。俺が来てからまだ雨が1回も降ってないし・・・・・・シザジベルってあんまり雨が降らない土地柄なのか?」
「さあ? でも雨はあんまり降らないかな。大体ここは晴れてるよ」
「ふーん。で、どうするんだソラ。結局、何をするのかは決まったのか?」
影人がソラに改めてそう聞く。すると、ソラはこう言った。
「うん。今日は町の外で遊ぼ。そんな気分なんだ」
「お前なあ。本当はダメだろそれは。ユニルさんはお前の事を心配してそう言ってるんだぞ」
「大丈夫だって。影人兄ちゃんと一緒なんだし。それに、もう2回くらいは一緒に外で遊んでるし今更でしょ」
「はあー、ったく・・・・・・遊ぶのは近くで1人でどこにも行かない。ちゃんと守れよ」
「りょーかい!」
ため息を吐く影人とは違いソラは笑顔を浮かべる。影人とソラは町の外へと出て行った。
「・・・・・・」
そんな2人をとある翼人族の男はジッと見つめていた。
「はあ、はあ、はあ・・・・・・ちょ、ちょっと休憩・・・・・・」
1時間後。シザジベルの町近くの木の下で、影人は荒い息を吐きながら木にもたれかかっていた。木登りや追いかけっこなどで体力を激しく消耗したのだ。
「もう疲れたの? やっぱりだらしないな影人兄ちゃんは」
「う、うるせえ。お前が元気過ぎるんだよ」
そんな影人をソラは覗き込むように見た。ソラは全く疲れていない様子だ。影人は遊び盛り子供の体力は化け物だと、ここ数日何度も思った事を改めて思った。
「んー、別にそんな事ないと思うけどな。まあいいや、俺もちょっと休憩しよっと」
ソラは影人の隣に腰を下ろした。そして、寝転がり影人の足に頭を乗せた。
「・・・・・・お前、何してるんだよ」
急に自分の足を枕代わりにしたソラに、影人は少し呆れたように言葉を漏らした。
「えへへ、何かこうしたい気分だったから。でも、影人兄ちゃんの足細くて硬いしあんまり気持ち良くはないね」
「そう思うならさっさと頭をどけろ。何で俺がお前に膝枕なんざしなきゃならねえんだ」
「いいでしょ細かい事は。たまには歳上の余裕? ってやつを見せてよ」
「どこでそんな言葉覚えたんだよ・・・・・・このマセガキ」
その言葉に煽られたというわけではないが、結局影人はソラにそれ以上は何も言わなかった。ソラもそれ以上は言葉を発さず、自然と目を閉じた。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
晴れ渡る青空と心地良い風。その風が木の葉を揺らし、さざめきを生む。自然そのものを感じながら、影人とソラは木の陰で穏やかな気持ちを抱いていた。
「・・・・・・ねえ、影人兄ちゃん」
「・・・・・・なんだ」
「影人兄ちゃんは・・・・・・いつまでシザジベルにいるの?」
しばらくして、ソラが変わらずに寝転びながら影人にそんな事を聞いて来た。
「そうだな・・・・・・まだ分からないな。でも多分、そんなに長くはいないと思う」
影人は正直にそう答えた。影人たちがこの町を去る基準はフェルフィズだ。正直、前回のメザミアからウリタハナの期間の事もあり、影人たちはこんなにシザジベルに留まる事になるとは思っていなかった。そして、未だにフェルフィズが現れた証拠である境界の揺らぎは観測されていない。だが、そろそろのはずだと影人は漠然と考えていた。
「そう、なんだ・・・・・・そうだよね。影人兄ちゃんたちは旅をしてるんだもんね。1箇所にはずっとはいられないよね」
「・・・・・・ああ、そうだな」
「・・・・・・ねえ、影人兄ちゃん」
「・・・・・・なんだ」
「ずっと・・・・・・ずっとシザジベルにいる気はない? 確かに、ここの奴らはムカつく奴らばっかりだけど、それでもいい町だと思うんだ。だから・・・・・・」
ソラが影人を見上げながら切実そうな顔を浮かべる。ソラの顔には不安と寂しさの色が見えた。
「・・・・・・悪いな、ソラ。それは出来ない。俺たちには旅の目的がある。それに・・・・・・俺には帰らなきゃならない場所もあるからな」
「帰らなきゃいけない場所・・・・・・影人兄ちゃんにはあるんだねそんな場所が。俺には・・・・・・ないや」
ソラは深い孤独を感じさせる声でそう言葉を漏らした。そんなソラの頭を影人はそっと右手で撫でた。
「そんな悲しい事を言うなよ。お前にもあるはずだろう帰る場所が。今の言葉を聞いたら、ユニルさんたちが悲しむぜ」
「・・・・・・分かんないよ。ユニル姉ちゃんが本当は俺の事をどう思ってるかなんて。孤児院の奴らも俺の事なんか嫌いだろうし・・・・・・」
「・・・・・・お前の境遇を考えれば、お前の気持ちも分からなくはない。でも、少しは信じてみろよ。世の中には、信じなきゃ始まらない事だってあるんだからよ」
ソラの光沢感のあるスカイブルーの髪を変わらずに撫で続けながら、影人はそう言葉を送った。影人にそう言われたソラは顔を背けると、ポツリとこう呟いた。
「・・・・・・分かった。影人兄ちゃんがそう言うなら、ちょっとは信じてみる」
「ああ、そうしてみろ。ありがとな、ソラ」
「うん。本当、感謝してよね」
「なんだよ、偉そうだな」
「俺の方が実際偉いの。影人兄ちゃんより体力あるし」
「はあ? 何だよその基準。はっ、だがまあそういう事にしといてやるよ。俺は歳上で、心の余裕があるからな」
「へへっ、そうだね」
影人が自然と笑みを浮かべる。ソラも再び影人を見上げるような体勢になると、子供らしい笑みを浮かべた。
それからまたしばらくの間、影人とソラは木の下で心休まる時を過ごした。
「ここからは1人で帰れるよ。孤児院すぐそこだしね」
空が夕暮れに染まり始めた頃。シザジベルの町に戻っていたソラは隣にいた影人にそう言った。
「そうか? 別に急ぐ予定もないし孤児院まで送っていくが・・・・・・」
「ガキ扱いしないでよ。本当に大丈夫だから。じゃあね、影人兄ちゃん。また明日!」
そう言うとソラは走り始めた。
「あ、おい! ったく・・・・・・まあ、ここからなら本当に近いし大丈夫か」
影人は軽く息を吐きそう呟いた。ソラはシザジベルの町の人々に避けられる「羽無し」だ。誘拐される可能性はないだろう。それに、遊び疲れてソラを追う体力も恥ずかしながらない。影人は踵を返し、宿の方に向かって歩き始めた。
「ふう、全く影人兄ちゃんは心配性なんだから。でもまあ・・・・・・へへっ、誰かに心配されるって悪くないな」
曲がり角を曲がり走る事をやめたソラは、嬉しそうにそう呟いた。影人がソラを気にかけてくれてるいる。その事実がソラには嬉しかった。
(今日の晩飯は何かな。ユニル姉ちゃんの料理は何でも美味しいし楽しみだな)
ソラは自然と顔を緩ませる。孤児院まで後ほんのもう少し。そんな時だった。
「――そこの君、少しいいですか?」
「ん?」
ソラの後ろからそんな声が聞こえてきた。ソラは反射的に後ろを振り返った。
すると、そこには若い翼人族の男がいた。ソラはその男に見覚えがなかった。
「・・・・・・誰?」
ソラが警戒感を隠さぬ声でそう問いを飛ばす。ソラは基本的に自分を避ける翼人族が嫌いだ。警戒感は男の怪しさが原因ではなく、ソラのそういった感性から生じていた。
「ああ、すみません。急に見知らぬ者から声を掛けられて不審に思いますよね。私はつい昨日この町に来た者なのですが・・・・・・あなたが私の知っている方と歩いているのを見たものですから。つい、声を掛けてしまったんです」
「俺が一緒歩いてた人? それって、影人兄ちゃんの事?」
ソラが意外そうな顔でそう聞き返す。男はコクリと頷いた。
「ええ、そうです。私は彼とは色々縁がある者でしてね。まさかこんな所で会うとは思っていなくて」
「へえ、影人兄ちゃんと知り合いなんだ・・・・・・だから、俺が『羽無し』でも怯えたりしてないんだね」
影人の知り合いと分かり、警戒感がだいぶ薄まったソラが男にそう言った。
「ええ。羽があろうがなかろうが、関係はありませんからね」
「っ・・・・・・だよね。そうだよね。羽があってもなくても関係ないよね。へへっ、お兄さん分かってるね。さすが影人兄ちゃんの知り合いって感じ」
「お褒めに預かり光栄です。それで、君はええと・・・・・・」
「ソラ。俺の名前はソラだよ」
「ソラくん。君はどうして彼と一緒にいたのですか? 随分と仲良く見えましたけど」
「俺と影人兄ちゃんは同じ『羽無し』で友達だから。だから、俺と影人兄ちゃんは仲良しなんだ!」
「彼が『羽無し』・・・・・・なるほど、彼はあなたに『羽無し』だと言っているんですね」
何かの事情を察したように男はニヤリと笑った。そして、男はソラにこう質問した。
「ソラ君は影人くんの事が好きですか?」
「うん、大好きだよ。影人兄ちゃんは俺と唯一同じ存在だし。それに、優しくて楽しいし」
ソラは素直に自分の本心を答えた。ソラはこの時既に男に対する警戒を完全に解いていた。
「そうですか。それは実に喜ばしい。ですが・・・・・・少し悲しいですね。なにせ、影人くんは君に嘘をついているのですから」
「え・・・・・・? 嘘・・・・・・?」
「彼は本当は翼人族ではない。だから、翼人族なのに羽がない『羽無し』ではないんですよ」
男は残念そうな顔でソラにそんな事を言ってきた。
「う、嘘だ! だって、影人兄ちゃんは言ったんだ! 自分が『羽無し』だって!」
ソラが首を横に振り男の言葉を否定する。そんなわけがない。確かに影人は最初は否定していた。だが、あれは自分が「羽無し」だと誰かに知られたくなかったからだ。
「彼が君に嘘をついている理由は知りませんが、事実は残念ながらそうなのですよ。なにせ、私は彼と同じところから来たのですから。彼が『羽無し』でないとよく知っています」
男はそう言うと腰のポーチに手を入れそこから何かを出した。それは小さな透明の球体のようなものだった。
「私の言葉が信じられないというのならば、1つ実験をしてみましょうか。これは『真実の石』。言葉に反応して、その言葉が真か嘘かを示す物です。真なら白に嘘なら黒に変色します。要はまあ、嘘発見器のようなものですね。ソラ君、今からいくつか質問をしますので、少し答えてもらってもいいですか?」
「ふん! そんなの嘘に決まってる。いいよ、その石が偽物だって俺が証明してやる」
「そうですか。では、質問を始めますよ。ソラ君、君は『羽無し』ですか?」
「うん」
ソラがそう言うと、男の手の上にある透明の球がその色を変えた。その色は白色だった。
「真実ですね」
「っ・・・・・・」
その光景を見たソラが驚いた顔を浮かべる。男の説明したように、本当に真実で球の色が白に変化したからだ。
「では次の質問を。ソラくんの年齢は?」
「・・・・・・12歳」
すると、今度は球の色が黒へと変化した。
「ふむ、嘘のようですね」
「なっ・・・・・・」
嘘を見破られたソラが再び驚く。確かにソラの今の答えは嘘だ。ソラは現在10歳だ。
「これで効果は理解出来たでしょう。ソラ君、君にこの『真実の石』を貸してあげましょう。これで影人くんに質問してみるといい。本当にあなたは『羽無し』なのかと。きっと黒く染まると思いますよ」
「あ・・・・・・」
男はソラにそっと石を手渡した。ソラは反射的にそれを受け取ってしまった。
「では、私はこれで」
男はそう言うとどこかへと消えていった。
「影人兄ちゃん・・・・・・俺は・・・・・・」
残されたソラは「真実の石」をギュと握り締め不安そうな顔を浮かべた。
ソラの中に一滴の疑念の雫が落ちた。
「・・・・・・今日も今のところはフェルフィズの奴が来た気配はなし。メザミアからウリタハナの時はあんなに早かったのに・・・・・・よく分からんな」
翌日昼過ぎ。昼食を食べ宿を出た影人はポツリとそう呟いた。
「だけどまあ、俺たちには待つ事しか出来ないからな・・・・・・それまでは適当に時を過ごすしかないよな」
独り言を呟きながら影人は今日も孤児院へと向かう。今日でシザジベル滞在9日目。すっかりこの町にも慣れた。住人たちの影人を見る目は未だに恐れの色があったが、影人はそんな事はもう気にしていなかった。
「すみません、影人ですが――」
孤児院に着いた影人がいつも通り玄関のドアをノックする。すると、すぐにドアが開かれた。
「っ、え、影人兄ちゃん」
「ソラか。今日は随分と出るのが早いな。ドアの近くで待ってたのか?」
出てきたのはソラだった。影人は軽く首を傾げながらソラにそう聞いた。
「う、うん。影人兄ちゃんと早く遊びたくって。だから、早く遊びに行こ影人兄ちゃん」
「お、おう」
ソラは遊びに行くような明るい顔ではなく、どこか難しげな顔で影人の右手を引き歩き始めた。影人は少し驚いたが、そのままソラに手を引かれ歩き始める。
「・・・・・・ねえ、影人兄ちゃん。改めて、聞きたい事があるんだ」
少しすると、ソラは立ち止まり握っていた影人の手を離した。ソラが立ち止まったのは、初めて影人とソラが出会った通りだった。
「なんだよ?」
「影人兄ちゃんは・・・・・・影人兄ちゃんは俺と同じだよね? 俺と同じ『羽無し』だよね?」
ソラは影人の方に振り返ると、そんな質問を飛ばした。そして、ソラはズボンのポケットの中から、昨日男から手渡された透明の球を取り出し、影人には見えないようにそれを握った。
「・・・・・・急にどうしたんだ? 何で今更そんな事を聞くんだよ」
「いいから、答えて」
影人はよく分からないといった顔を浮かべたが、ソラはそのまま押し切った。
「・・・・・・ああ。俺はお前と同じ『羽無し』だよ」
影人が答えを述べる。影人の答えを聞いたソラは、チラリと視線を握っている球に向けた。
すると、その球の色は黒色へと変化していた。
「っ・・・・・・!?」
その色が示すものは、影人の答えが嘘だという事。つまり、影人はソラと同じ『羽無し』ではないという事だった。
「・・・・・・嘘つき」
「え?」
ソラが顔を俯かせる。影人は訳がわからないといった様子でそう言葉を漏らした。
「嘘つき! 信じてたのに! 影人兄ちゃんは俺と同じだって! でも影人兄ちゃんは違うんじゃないか! 『羽無し』じゃない! 嘘つき嘘つき! 2度と俺に近づくな! 影人兄ちゃんなんか・・・・・・大嫌いだッ!」
ソラは顔を上げそう叫んだ。ソラは泣いていた。小さな体を震わせ泣いていた。周囲にいた者たちは何事だという感じの顔を浮かべた。
「ソ、ソラ・・・・・・」
泣くソラを見た影人は咄嗟に言葉が出てこなかった。ソラの泣く姿を見てキュッと影人の胸の奥が締め付けられる。影人が早く何か言わなければと思っていると、ソラはバッと全速力で駆け出した。
「っ、ソラ!」
影人は駆けるソラの背に向かって反射的に手を伸ばした。届くはずがない手を。
――この瞬間、優しい嘘は崩れ去った。
「はあ、はあ、はあ・・・・・・う、ううっ」
影人の元から全力で走り去ったソラは、シザジベルの町外れで大きく息を吐いていた。そして、立ち止まり未だに溢れ出る涙を拭った。
「何で、何でさ・・・・・・何で嘘なんか・・・・・・」
ソラが止まらぬ涙を拭いながらそう言葉を漏らす。昨日まで今まで生きて来た中で1番楽しかった。だが、今日は今まで生きて来た中で最低最悪な気分だ。自分が立っていた地面が崩れていくような感覚をソラは味わっていた。
「――その様子だと、彼が『羽無し』ではないと分かったようですね」
そして、そんな時にその男は再び現れた。その男は昨日ソラに真実の是非を見抜く球を渡した男だった。
「お兄さんは昨日の・・・・・・」
「こんにちはソラ君。昨日ぶりですね」
男はニコリと笑みを浮かべるとゆっくりとソラに近づいて来た。
「すみませんが、『真実の石』を返してもらおうと思いまして。一応、大事な物なので」
「ああ、うん・・・・・・はい」
ソラは男に球を手渡した。ソラから球を返却された男はそれをポーチに仕舞うと小さく笑った。
「ありがとうございます。しかし、ソラ君は辛い思いをしましたね。信頼している人から裏切られるのは本当に辛いですよね」
「うん・・・・・・今までで1番辛いよ」
「可哀想に。彼も罪な人だ。子供に嘘をつくなんて。その嘘の結果に子供を傷つける事は予想できたはずでしょうに」
男は嘆くような顔でソラに同情を示した。
「ソラ君、これは提案なのですが・・・・・・影人くんに少し意趣返しをしてみませんか? 軽く影人くんを困らせるんですよ。あなたも、影人くんをこのまま許せはしないでしょう?」
「・・・・・・うん」
ソラは今の自分の抱える絶望と怒りから思わず頷いた。ソラの答えを聞いた男はニヤリと笑みを浮かべこう言った。
「では、これをとある場所に刺して来てくれませんか? それだけでいいですから」
男がポーチからナイフを取り出す。そのナイフの刀身には複雑で美しい紋様が刻まれていた。
「なにこれ・・・・・・?」
「ちょっとしたイタズラが仕掛けられているナイフですよ。これをとある場所に刺せば、影人くんが困る事になります」
「困る事って・・・・・・?」
「それは刺してのお楽しみ。ですが、被害は全く出ないので安心してください。ほら、私は影人くんと違って嘘つきではなかったでしょう? だから、信じてください」
「・・・・・・うん。分かった」
「ありがとう。では、今からその場所を言いますね」
ソラは男からナイフを受け取り頷いた。男はソラに感謝すると座標を教えた。
「では、私はこれで。さようなら、ソラ君」
「あ、待ってお兄さん。お兄さんは何て言う名前なの?」
立ち去ろうとする男にソラがそう問いかける。男は「ああ、そういえばまだ名乗っていませんでしたね」と言って、自分の名前をソラに教えた。
「私の名前はフェルフィズ。ただのしがない物作り屋です。影人くんに私の名前を言えば、すぐにピンとくると思いますよ」
――そして、それからしばらくして、シザジベルの中央部から光の柱が立ち昇った。
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