第339話 忌神との再会

「・・・・・・」

 地下室のドアを開けてフェルフィズ邸へと侵入した影人は、警戒感を強め入って来たドアを閉めた。キィと小さな音を立てて、ドアが外と内の境界と化す。

「さて、ここが伏魔殿の中か・・・・・・」

 ポツリと小さな声でそう呟きながら、影人(と着いてきた零無)は地下室の中を見回した。地下室で日の光が当たらないという事と電気もついていないという事もあり、地下室の中は薄暗い。だが、見えないというほどではなかった。

(広いな・・・・・・後はここは物置兼作業場って感じか・・・・・・)

 正確に何畳という事は分からないが、かなり広い。部屋は正方形で、影人から左半分にはラックや棚があり、様々な物が保管されていた。それは剣や斧、槍、鎧に兜などといった武具類に、指輪やイヤリング、ペンダントなどといった装飾類、コートや帽子、靴などといった着用品と多岐に渡っていた。

 そして、影人から見て右半分。そこには炉や金床、空っぽのバケツ、ハンマーが数種類あり、鍛冶場と称してもいい場所になっていた。

(そう言えば、あいつの昔の家にも鍛冶場はあったな・・・・・・まあ、あの時とは違ってこっちは随分と立派だが)

 あの時フェルフィズは物作りが趣味と言っていたが、どうやらそれだけは本当の事らしい。まあ、フェルフィズは物作りの神らしいのでやはり嘘ではないだろう。

「ああ、そうだ。嬢ちゃんの透明化解除しねえと」

 影人は離れた場所にいるシェルディアの透明化と自分の透明化を解除した。いずれシェルディアやレイゼロールたちとは集合する事になるので、その時互いに透明だと不便だからだ。

『油売ってる暇あんのかよ。侵入はスピードが命だぜ。さっさとフェルフィズの奴見つけろよ』

 影人が地下室を少し観察していると、イヴがそんな事を言って来た。最もなその指摘に影人は「そうだな、悪い」と言葉を返した。

「まずは地下室から出て上に向かうか・・・・・・」

 影人は歩いて入って来たドアと反対側にあったドアに向かうと、慎重にドアノブを回した。フェルフィズに出会うまでは出来るだけスニーキングミッションだ。心はメタルなギアのスネ◯クである。実はちょっとこういう事をしたいと思っていた厨二前髪野郎は、少しドキドキワクワクとしていた。こんな時でも少年心は忘れないこいつは、やはりどこかおかしいが、一周回って実は大した奴なのかもしれない。

「っ、マジか・・・・・・」

 ドアを開いた影人は現れた光景を見てついそう言葉を漏らした。てっきり、影人は地下室を出ればすぐに1階へと続く階段があると思っていたのだが、地下室の外には廊下が続いていた。そして、廊下の両側にはいくつものドアがあった。

「どんだけ広い地下室なんだよ・・・・・・ちっ、フェルフィズの野郎、嬢ちゃんと同じで金持ちかよ」

 ざっと見ただけでも左に3つ右に3つドアがある。計6個の部屋だ。本来ならこの部屋も全て見てフェルフィズがいるかいないかを確かめた方がよいのだが、朝から地下室にフェルフィズがいるとは考えにくい。朝であればいる可能性が高いのは、寝室かリビングだろう。ゆえに、影人は時間のロスをなくすため正面にあるドアを目指した。

(さて、今度こそ・・・・・・)

 構造的にこのドアが1階へと続くドアだと考えた影人がまたドアノブを静かに回す。すぐに階段が見える。そう思った影人だが――


 目の前に飛び込んで来た光景は、高い山々が見える自然の光景だった。


「・・・・・・・・・・・・は?」


 影人は意味が分からないといった顔で思わずそんな声を漏らした。何だ。何が起きている。自分は家の中にあるドアを開けたはずだ。だというのに、なぜ外に。

「っ!」

 影人は振り返り、自分が出て来た建物を見つめた。建物は一軒家の大きな家だ。明らかに影人が入ったフェルフィズ邸とは違う。

「何がどうなってるんだよ・・・・・・!」

 混乱しながらも影人は周囲に視線を向ける。周囲には大体等間隔で家が立っていた。どこかの田舎のような光景だ。もちろん、フェルフィズ邸周囲の光景とも違う。何より、ここは平地だった。

『へえ、面白くなってきたじゃねえか。影人、取り敢えず戻って色々調べてみろよ。状況の確認だ』

「ふぅー・・・・・・ああ、そうだな。ここで取り乱しても、いい事は何もない」

 イヴにそう言われた影人は、軽く息を吐いて自身を落ち着かせた。理解不能で取り乱すのは自分の、特にスプリガンの柄ではない。スプリガンは基本的にクールなキャラだからだ。

「・・・・・・元のドアを辿れば地下室、更には俺が侵入して来た場所に戻る」

 取り敢えず元来たルートを辿った影人は、脱出できる事は確認した。どうやら閉じ込める意図のようなものはないようだ。まあ、あったとしても影人には転移があるので問題はないが。

「ふむ、ドアを境として空間が歪んでるな。恐らくは、フェルフィズの道具によるものだろうぜ」

 今まで黙りながら影人に着いてきていた零無が顎に軽く手を当てながらそんな言葉を呟く。零無にしては珍しく静かだったのは、零無も影人同様にフェルフィズ邸を色々と観察していたからだった。

「だから全く違う場所に出たって事か・・・・・・って事は、これはフェルフィズの奴の罠か」

「そうとも限らないな。侵入者用の罠である側面もあるだろうが、あいつの性格上、これはどちらかというとキャパシティの確保の側面が強いように思える。つまり、単純に作った物を保管して手短に取り出す方法だな。あいつは何千年と生きその間に作った道具の数も尋常ではないだろうから」

 影人の呟きに半分同意しながらも、フェルフィズと付き合いのある零無はそんな推理を述べた。

「どっちにしても侵入者にとって罠である事には変わりねえな・・・・・・って事は、嬢ちゃんやレイゼロールも俺と同じような状況になってる可能性が高いな」

 保管と罠を兼ねているなら地下室だけが違う空間と繋がっている可能性は低い。レイゼロールやシェルディアが侵入した1階もドアが違う空間に繋がっていると考えるのが自然だ。影人は軽く舌打ちをした。

「ちっ、まるで迷宮だな。不幸中の幸いなのは、まだフェルフィズに侵入がバレてないかもしれないって事だけか。これは多分意図的な罠じゃなくて、常態的な罠だろうからな」

 零無の推理を無意識的に信じた影人は金の瞳で廊下にある計6つのドアを見渡した。

「零無。このドアのどれかが元のフェルフィズ邸に繋がってると思うか?」

「ああ。それは間違いない。さっきも言ったように、この仕掛けは保管の意味が主だろう。なら、絶対にあいつは元の屋敷と空間を繋げている場所を作っているはずだ」

「よし・・・・・・ならまだ襲撃計画は失敗してねえな」

 フェルフィズと付き合いの長い零無がそう言っているなら、多少は説得力がある。影人は今度は零無の言葉を意識的に信じると、今の自分から見て左側にあった1番近いドアに近づきドアを開けた。細かく言うと、影人は空間が歪んでいたドアから1番近い左側のドアを開けた。

「・・・・・・外れか」

 中は6畳ほどの小部屋で、マネキンが複数体置かれていた。中にドアはないので、ここを調べる価値はないだろう。影人はドアを閉めて、今度は対面にある右側のドアを開けた。

「・・・・・・ここも外れか」

 こちらも6畳ほどの小部屋で、中にはラックが複数置かれ小瓶がずらりと保管されていた。小瓶にはラベルが貼られており、影人の知らない文字が書かれていた。理科室の薬品棚のようだなと影人は思った。ここもドアはなく行き止まりだ。

「残るはここだけか・・・・・・」

 最初に入って来た地下室側、今の影人から見て右側の1番奥(地下室側から見れば1番手前だが)のドアの前に立った影人はそう呟いた。あれから3つのドアを開けたが、いずれも何か薬品やら人形やら武器やらの保管庫で行き止まりだった。

(っ、ここは書庫・・・・・・いや、書斎か?)

 部屋の中には本棚とシックなテーブルとイス、それに埋め込み型のテレビなどがあった。影人から見て左側が本棚スペース、右側がテーブルとイスがあり、テレビは右側の壁にある。ここだけ他の部屋よりも少し大きい。影人はドアを閉めて慎重に部屋の中に入った。少し暗かったので、明かり代わりに闇色のランタンを創造する。闇色の炎では暗闇をあまり照らせないので、色は普通に橙色にした。ちなみに、電気のスイッチを入れなかったのは一応警戒しての事だった。

「本は英字やら何やらでよく分からんな・・・・・・っ、あった。ドアだ」

 本の背表紙を見ながらそう呟いた影人は、本棚と本棚の間の場所にドアを見つけた。入って来たドアからちょうど左に直角奥の場所にあったので、入った瞬間には分からなかったが。

 影人はドアに向かおうとした。だがその時、パッと後ろで何かが光った。

「っ!?」

 影人が振り向くと、埋め込み型のテレビの電源がついていた。光の正体はテレビだった。しかし、そんな事はどうでもいい。影人はテレビに映っていた男の顔に釘付けになった。

『ようこそ、侵入者の皆さん。こんにちは、いや今は朝なのでおはようございますの方がいいですかね』

 笑みを浮かべながらふざけた挨拶をしてくるその男。忘れもしない薄い灰色の瞳。あの時から何1つ変わっていない。その男の顔を見た影人と、同じように、1階の部屋で突如として現れた空間型のウインドウでその男の顔を見たレイゼロールは、その男を睨み付け忌々しげに男の名を呼んだ。

「「フェルフィズ・・・・・・!」」

「へえ・・・・・・どうやら、私たちの侵入は気づかれていたようね」

 リビングにいたシェルディアも、テレビに映ったフェルフィズの姿を確認していた。発言的に男がフェルフィズと予想したシェルディアは、少し面白そうな顔を浮かべた。

『この場所をどうやって特定したかは分かりませんが・・・・・・まずは、お久しぶりですね、レイゼロール。そして、お初目に掛かります。真祖シェルディア、謎深き暗躍者スプリガン。ここに侵入したという事は私の正体がバレているという事でしょうから名乗りますが・・・・・・私の名前はフェルフィズ。物作りが趣味のただのしがない神です』

 芝居掛かった仕草で軽く頭を下げるフェルフィズ。影人とレイゼロールは変わらずにフェルフィズを睨み続けていた。どうでもいいが、フェルフィズはスプリガンの事を知っていたようだ。

『ああ、先に言っておきますが私からはあなた達の姿も見えていますし、そちらからの声も聞こえるようにしているので、何か発言してくださっても構いませんよ。私に何か言いたい事や聞きたい事があれば、どうぞご遠慮なく』

「フェルフィズ貴様・・・・・・あの時はよくも我を騙してくれたな・・・・・・!」

 フェルフィズの言葉にレイゼロールが反応し、恨みの込もった言葉をぶつける。レイゼロールにそう言われたフェルフィズは変わらず笑みを浮かべ、こんな言葉を述べた。

『ああ、懐かしいですね。あなたと彼と交流したのは短い時間でしたが、存外に楽しかったですよ。ですが、別に騙したつもりはなかったんですがね。あの人間、エイトは時空の歪みに呑み込まれ行方不明。実質死んだようなものでしょう。だから、私は別にその事については嘘は言っていませんよ。まあ、少し話を脚色はしましたがね』

「っ、貴様・・・・・・! よくものうのうと・・・・・・!」

 レイゼロールが更に怒りと憎しみを露わにする。影人やシェルディアにも2人のやり取りは聞こえていたので、それを聞いていた影人はこんな事を思った。

(どうやら、フェルフィズの奴は俺が生きてる事を知らないみたいだな。レゼルニウスの記憶を見た零無と関わってたから、もしかしたら俺の事を知ってるかもと思ったが)

 影人からしてみれば少し誤算だ。ここでフェルフィズに影人の正体をバラしてもいいが、別に無理にバラさなくても問題はないか。影人がそんな事を考えていると、

「よう、『物作り屋』。無駄に生き生きとしているじゃないか」

 零無がフェルフィズにそう語りかけた。どうやら、チャンネルを合わせたようだ。零無を認識したフェルフィズは驚いた顔を浮かべた。

『っ、あなたは・・・・・・意外ですね。まさか、まだこの世に存在していたとは。てっきり、死んだかまた封印でもされたと思っていましたが・・・・・・そして、そんなあなたがスプリガンと共にいるという事も』

「吾がいるべき場所は、吾の愛しい者の側と決まっているんだよ」

『愛しい者の側・・・・・・? あなたが執着していたのはエイトという、奇しくもレイゼロールが唯一心を許していた人間と同じ名前の人物ではなかったのですか? まさか、スプリガンがそうだとでも?』

 零無の言葉を聞いたフェルフィズが意味が分からたいといった顔を浮かべ、そう言葉を述べる。フェルフィズの反応を見た影人は、仕方なくここでフェルフィズに正体を開示する事にした。どちらにせよ、いずれ正体は開示する予定だったので、問題はない。

「よう、フェルフィズ。久しぶりだな。この姿じゃ分からないだろうから・・・・・・俺の本当の姿を見せてやるよ。これを見りゃ1発で分かるだろうぜ。俺が誰なのかをな」

 影人はフェルフィズに対してそう言うと、認識阻害の力のある帽子を外し、普段の自身の姿を幻影としてその身に纏わせた。服装は過去で着ていた服を再現した。

『なっ・・・・・・あ、あなたは・・・・・・』

「お前にここを刺された事、忘れてねえぜ。なあ、フィズフェールさんよ」       

 画面の中のフェルフィズが信じられないといった顔で震える。影人はニヤリと笑みを浮かべ、右手で自身の胸元を指差した。

『は、ははっ・・・・・・はははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは、あははははははははははっ! その長過ぎる前髪! エイト、エイト、ああそういう事ですか! レイゼロールが心を許した人間とかつての『空』が愛した人間はッ! まさか同じ存在だったとは! ひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ! 何という運命のイタズラですかこれは! そして、そして! まさかあなたがスプリガンだったとは! 可笑しいですねえ! あははははは! 笑わずにはいられない!』

 影人の正体に気づいたフェルフィズが哄笑を、いや狂笑を上げる。フェルフィズは笑いすぎて目に涙を浮かべていた。

『ああ、そうか! 今わかりましたよ! あの時空の歪みが何だったのか! あなたの姿はあの時と全く変わっていない! あなたはどういうわけか未来からあの時代に来ていたのですね! だから、「帰還の短剣」はあなたを未来へと帰した! なるほどなるほど!』

 そして、フェルフィズはその事実にも辿り着いた。フェルフィズはようやく少し落ち着いた様子になると、影人にこう言ってきた。

『しかし、あなたが生きて私と再会するとは全く生とは何が起きるか分からない。ああ、愉快です。やはり、生とはこういうものでなくては!』

「てめえの人生観なんざどうでもいいんだよ。俺がここに来た理由は1つ。お前をぶん殴りに来たんだよ。あの時の借りを返しにな。もう少ししたら殴りに行ってやるから、首洗って待ってやがれ」

『それは実に楽しみですね。ですが、殴られたくはないので・・・・・・足止めをさせていただきます』

 フェルフィズはそう言うと、パチンと右手を鳴らした。しばらくの間は何も起こらなかった。

 だが、カタカタと何かが動くような音がどこからか聞こえて来た。

「っ・・・・・・?」

「これは・・・・・・」

「何の音?」

 その音は影人、レイゼロール、シェルディアの全員に聞こえていた。全員が離れた場所にいるはずなのにだ。

(扉の外からか・・・・・・?)

 影人に限って言えば、音は影人がこの部屋に入って来たドアの外から聞こえて来た。影人が警戒した視線をドアに向ける。すると、ドアがキィと音を立て半開きになり、


「・・・・・・」


 そこから顔のない人形が頭を覗かせた。その登場の仕方は人に恐怖感を抱かせるものだった。

「っ、人形・・・・・・」

 影人はその人形に見覚えがあった。先ほど部屋を探索していた時に保管されていた人形だ。人形は影人の姿を見ると、いきなり襲いかかって来た。

「ホラゲーかよ・・・・・・! だが――」

 影人は襲い掛かってくる人形に対し、右手に闇を纏わせた。そして、その右手を拳にすると、人形の頭を殴って破壊した。

「悪いな。俺は怯えて逃げる一般人じゃねえんだ」

 頭を砕かれた人形が地面に崩れ落ちる。影人はその残骸を見てそう言葉を送った。影人からは見えないが、レイゼロールとシェルディアも影人同様に人形を蹴散らしていた。

「「「・・・・・・」」」

 しかし、人形は1体ではなかった。人形たちは続々と廊下から現れ部屋の中に入って来た。

「ちっ、面倒くせえな・・・・・・」

 影人はそう呟くと、持っていたランタンを人形たちに投げつけた。そして、転移の力を使用した。

(この屋敷の中は迷宮。フェルフィズに気づかれた今、それを馬鹿正直に攻略する意味はねえ。だったら・・・・・・)

 影人の体を黒い光が包む(後は零無も)。目に映る範囲での短距離転移ではなく、シトュウから与えられたもっと制限の緩い転移だ。人形たちは影人に襲い掛かって来るが、その前に影人の姿はその場から消えた。

(さて、最悪嬢ちゃんとレイゼロールの奴を巻き込んじまうが・・・・・・あの2人は不死だしな。まあ、後で謝れば許してくれるだろ)

 影人が転移した先はフェルフィズ邸の外だった。影人は庭に立ち正面からフェルフィズ邸を見つめると、心の中でそう呟き右手に闇色の拳銃を創造した。

「あら、あなたも外に出ていたのね影人。よかったわ。これで心置きなく出来るから」

「・・・・・・ふん。どうやら、考えている事は同じのようだな」

 すると、そのタイミングでシェルディアとレイゼロールが影人から少し離れた場所に現れた。どうやら2人も転移の力を使用したようだ。

「っ、嬢ちゃん、レイゼロール・・・・・・ああ、そうみたいだな。どうやら、全員思考パターンは似てるらしい」

 2人の言葉を聞いた影人は、2人がやろうとしている事と自分がやろうとしている事が一致しているようだと理解した。そして、軽く笑った。

「みたいね。別に私がやるから大丈夫よ」

「我がやる」

「いや、俺が・・・・・・じゃあ、せっかくだから全員でやるか。でも、2人ともやり過ぎるなよ」

「大丈夫よ。加減はするから」

「誰に言っている」

 影人の提案に乗るように、シェルディアとレイゼロールが返事をしてくる。そして、シェルディアは右手の爪を伸ばしそこに少量の影を纏わせ、レイゼロールは左手を屋敷に向けた。

「闇よ、1条の流星と化せ」

「ふふっ」

「塵になれ」

 影人が一撃を強化する言葉を唱え、拳銃を屋敷に向け引き金を引く。すると、闇の光線が放たれた。シェルディアは屋敷に全てを切り裂く爪撃を放ち、レイゼロールは影人同様、闇の光線を放った。

 その結果、


 ――ドゴォォォォォォォォォォォォン


 屋敷は凄まじい音を立て跡形もなく壊れた。

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