第331話 馴染み深い問いかけ

(ったく、間に合ったから良かったが・・・・・・偶然が重ならなきゃ、霧園と春野は死んでたな)

 突如として出現した骸骨から魅恋と海公を助けた影人は内心でそう思った。自分がたまたまここにいたから何とかなったものの、そうでなければ悲惨な事態になっていただろう。流石に、まだ同級生の葬式には出たくはない。

(あの黒い裂け目。そこから出てきた異形。ちっ、完全に向こう側の世界からの流入者だな。嬢ちゃんから教えてもらった言葉で言うと・・・・・・【あちら側の者】か)

 改めて状況を確認した影人はすぐさまそう結論づけた。

(しかも、この骸骨・・・・・・ゲームか何かで言うところのスケルトン、もしくはアンデットって奴か? 昨日のドラゴンよりタチが悪い。問答無用で人間を殺そうとしやがったしな)

 しかも、この感じだと会話もできそうにない。対話が出来ず攻撃的な相手となると、残る手段は戦いだけだ。まあ別に、影人は心の底からの平和主義者というわけではないので、戦う事に何ら感情は抱かないのだが。強いて言えば、面倒といったくらいだ。

「・・・・・・おい、お前ら。1度しか言わないからよく聞け。今すぐ逃げろ。死にたくなかったらな」

 影人は首を動かし、自分の背後にいる魅恋と海公を変化した金の瞳で軽く見つめそう言った。

「ふぇ? あ、あの、お兄さん誰・・・・・・? いったい何者なの・・・・・・?」

「な、何が起きているんですか・・・・・・? あの骸骨の化け物はいったい・・・・・・」

 魅恋は素っ頓狂な声を漏らし、意味が分からないといった顔でそんな事を聞いてきた。海公も魅恋と同様の表情を浮かべ、そう言葉を述べた。

「・・・・・・お前ら、俺の言葉を聞いてたか? 俺は逃げろって言ったんだ。疑問なんか飛ばしてくるな。感覚が麻痺してるんだろうが、お前らは今死の淵の近くにいるんだよ」

 今度は少し強めに影人は2人に言葉を放つ。魅恋と海公の気持ちは分からなくもないが、2人は一般人だ。別に2人を守りながら戦う事は影人からしてみれば余裕ある事だ。だが、あの骸骨がどんな攻撃をして来るか分からないし、万が一という事もある。ゆえに、影人は2人には逃げてほしいと考えていた。

「え、どういう事? というか、危ないんだったらお兄さんもじゃ・・・・・・」

「っ・・・・・・わ、分かりました。霧園さん、行きましょう・・・・・・!」

「え、ちょ、海公っち!?」

 魅恋は未だに状況を呑み込めていないようだが、海公は今の状況がただならぬものだと悟ったのか、魅恋の手を引いて走り出した。かなり強い力で魅恋の手を引いたのか、魅恋は驚きながらも海公に引っ張られていった。

「・・・・・・そうだ。それでいい」

 その光景を見た影人は小さな声でそう呟くと、視線を骸骨の方へと戻した。一応、ずっと警戒はしていたので分かっていたが、骸骨はガシャガシャと音を立てて、立ち上がったところだった。

『――影人!』

 影人の中にソレイユの声が響いた。影人は声には出さずに内心でソレイユに言葉を返した。

(ようソレイユ。今は視覚共有してるどうかは知らんが、俺は今絶賛骸骨野郎と邂逅中だ)

『それは分かっています。謁見中のシトュウ様に、あなたの近くに【あちら側の者】が現れたと言われて、あなたに語りかけたので。大丈夫ですか?』

(ああ、今のところは何の問題もない。ただ、俺は光導姫じゃないから人払いの結界は展開出来てない。俺はその結界を張ろうと思った事がないから、展開出来るかどうかはイヴに聞いてみないと分からん)

 影人が唯一の懸念点を述べる。すると、ソレイユはこう言葉を返してきた。

『一応、人払いの結界の展開についてはそれほど難しいわけではないので出来ると思いますが・・・・・・あ、待ってください。どうやら、今シトュウ様があなたがいる辺り一帯に結界を展開してくださったようです。だから、もう心配しないで大丈夫です』

(そうか。シトュウさんに礼言っといてくれ。じゃ、結界の展開を試すのは次回に回すか。悪い、ソレイユ。俺は今からバトるから話はまた後でな)

『はい。影人、ご武運を』

 懸念点を払拭できた影人は最後にソレイユにそう念話した。ソレイユも最後にそう言葉を送ってくれた。

「ケ、ケケッ?」

 骸骨は首を傾げながら影人をジッと見つめてきた。まるで品定めでもしているかのように。

「・・・・・・通じてるかどうかは知らないが、来いよ。お前の力がどの程度か確かめてやる」

 昨日のドラゴンの時とは違い、今度は戦術的な目論みの点から影人はそう言葉を放つ。昨日の場合はドラゴンの攻撃の種類や特性を知っていたので、挑発の意味合いから似たような事を言ったが、今回の骸骨は初めての相手だ。ゆえに、影人は最初は観察したいと考えていた。

「ケケ、ケケケッ!」

 すると、影人の言葉が通じたかどうかは分からないが、骸骨は剣を携え影人の方に突っ込んできた。鎧を着ているというのに、中々のスピードだ。

「ふん・・・・・・」

 影人は虚空から闇色の鎖を複数呼び出し、それらを骸骨へと向かわせた。

「ケケッ!」

 骸骨はその姿からは想像も出来ないような身軽さで鎖を躱した。縦横無尽なアクロバティックな動きで。鎖を掻い潜り影人に接近した骸骨は、影人に向かって右袈裟に剣を振るって来た。

(へえ・・・・・・案外に動けるな)

 素直にそう思いながら、影人は右手に闇色の片手剣を創造すると、その剣で以て骸骨の剣を受け止めた。

「ケ、ケケッ!」

 影人に剣撃を受け止められた骸骨は、乱雑に剣を振るい影人を切り刻もうとしてきた。しかし、乱雑で適当な剣撃程度で傷を負う影人ではない。影人は眼の強化も使わず、その剣撃を己の剣で弾き続けた。

「・・・・・・お前の攻撃パターンはこれだけか? そうだって言うのなら・・・・・・次はお前の耐久力を試させてもらうぜ」

 取り敢えず受けの姿勢はここまでと考えた影人は、自身の体を闇で強化した。影人の体に闇が纏われる。『加速』はまだ使わなくてもいいと判断した影人は、右手の剣を虚空に消し骸骨の剣を避けると、

「闇よ、蹴り砕け」

 一撃を強化する言葉を呟き、右の蹴りを骸骨の鎧中央部に叩き込んだ。先ほどの飛ばす蹴りではなく、敵にダメージを与えられる力を持った強烈な蹴りを。

「ケ!?」

 その結果、影人の蹴りは骸骨の鎧を蹴り砕き、骸骨の胴体部の骨を一部砕け散らせる事に成功した。影人に本当の意味で蹴り砕かれた骸骨は、驚いたような声を漏らすと、後方へと吹き飛んで行った。

「・・・・・・これで終わりじゃないぜ」

 だが、影人はそれだけで終わらせるつもりはなかった。影人は骸骨が飛ぶ方向に闇色の壁を創造した。結果、骸骨は背面から派手にその壁に激突した。

「ケ・・・・・・」

「・・・・・・今度はその骨斬ってみるか」

 地面に崩れ落ちた骸骨を見た影人は、1体の闇色の甲冑纏う騎士を創造した。騎士の手には巨大な両手剣が握られていた。斬るというよりは叩き切るというような印象を受ける剣だ。影人の意思を受けた闇色の騎士はその両手剣を携え、崩れ落ちている骸骨の方へと向かった。

「!」

 そして、騎士は両手剣を大上段に構え、骸骨に向かって振り下ろした。

「ケ・・・・・・ケケッ!」

 しかし、骸骨はダメージを負っているとは思えぬ俊敏性でその一撃を回避した。騎士の一撃はガンッと音を立てコンクリートを穿った。

「・・・・・・意外だな。まだそれだけ動けるか」

「ケ、ケケ、ケケッ!」

 回避した骸骨を見た影人は言葉通り少し意外そうな顔を浮かべた。影人の視線の先で、骸骨は纏っていた鎧を脱ぎ捨てるとカタカタと骨を鳴らし、剣を構えた。

「・・・・・・身軽になったって感じだな。いいぜ、じゃあ次はスピード勝負でも――」

 影人が多少は面白くなってきたといった感じで少し口角を上げると、イヴが突然こんな事を言ってきた。

『おい影人。盛り上がってるところだが、お前気付いてないみたいだから言っといてやる。お前がさっき逃がした奴ら、後ろからこっちを覗いてるぜ』

「は・・・・・・?」

 急にそんな事を言われた影人は、骸骨を警戒しながらチラリとその視線を後方に向けた。すると、影人から離れた電柱の陰から、魅恋と海公が顔を覗かせていた。











「ね、ねえ海公っち! ちょっと待って! ウチ、やっぱり気になるよ! あの骸骨と黒いお兄さんの事!」

 時は少し遡り数分前。海公に手を引かれ走っていた魅恋は、強い力で立ち止まると海公にそう言った。

「え!? な、何言ってるんですか霧園さん! あの人は逃げろって言ったじゃないですか! 僕もまだ混乱してますけど、絶対にさっきの状況は関わっちゃダメなやつですよ!」

 海公は立ち止まった魅恋に必死にそう忠告した。先ほどまでは感覚が麻痺していたが、今になって先ほどの状況は危険だと、本能が警鐘を鳴らしているのを海公は感じていた。

「そ、それは分かってる! でも・・・・・・でも、ここで逃げたら、もう一生あんな光景見れない気がする! よく分かんないけど、怖いけど! それでもッ!」

「あ、霧園さん!?」

 魅恋はそう言うと、海公の手を振りほどき逃げて来た方向へと走り始めた。海公は驚いた声を漏らした。

(に、逃げなきゃダメだ。絶対にここは逃げなきゃいけないのに・・・・・・だ、だけど・・・・・・)

 だが、魅恋を残して逃げるなんて出来ない。海公は葛藤した。そして、

「帰城さん・・・・・・僕に勇気を・・・・・・!」

 海公は心の中で自分が尊敬している影人を思い浮かべると、勇気を振り絞って魅恋を追った。

「うわー・・・・・・凄い・・・・・・」

 魅恋は20メートルほど走った先の電柱の陰にいた。そしてそこから骸骨の化け物と、先ほど自分たちを助けてくれた謎の黒衣の男が戦っている光景を見つめていた。

「き、霧園さん」

「海公っち、見て。凄い、凄いよ。これ、現実なんだ・・・・・・漫画でもアニメでもない。フィクションじゃない・・・・・・本物の、現実なんだよ・・・・・・」

 呼びかけて来た海公に、魅恋はその光景を見つめたままそう言った。魅恋は死の恐怖すら超えて、心奪われているようだった。魅了されているようだった。目の前の非日常極まりない光景に。魅恋はどういった理由からかは分からないが、震えていた。

「霧園さん・・・・・・やっぱりマズいですよ。一緒に逃げましょう」

「・・・・・・ごめん、それは無理。海公っちだけでも逃げて。私は・・・・・・この光景を焼き付けなきゃいけないから」

 魅恋はそう言うと、どこからかスマホを取り出すとスマホのカメラを骸骨と黒衣の男に向けた。魅恋は戦いを動画で撮ろうとした。

「え・・・・・・? な、何で・・・・・・? 何であの人は映らないの・・・・・・?」

 しかし、画面内にはなぜかあの黒衣の男の姿が映らなかった。骸骨は映っているから故障とは考えにくい。その答えは、スプリガンの隠蔽の力のせいなのだが、そんな事は当然魅恋は知らなかった。

「ああもう、意味分かんない・・・・・・! 海公っち、海公っちのスマホでもあの人映らないか試してみて!」

「え?」

「いいから早く!」

「は、はい!」

 真剣な顔でそう言ってきた魅恋に、海公は反射的に頷くとズボンのポケットからスマホを取り出した。そして、カメラを起動させるとスマホを骸骨たちの方へと向けた。

「あ、あれ・・・・・・? すいません、僕のカメラにもあの人映らないです・・・・・・」

「っ、何で・・・・・・だったらもう、仕方ないから目に焼き付けまくるしかないじゃん・・・・・・!」

 戸惑う海公の言葉を聞いた魅恋は、電柱を無意識に力強く握りながら目の前に広がる光景を凝視した。この光景を決して忘れないように。

 それから魅恋は取り憑かれたようにその光景を見続け、魅恋を1人に出来ない海公もなし崩し的にその場に留まり続けたのだった。













「・・・・・・何であいつらがここにいるんだよ。人払いの結界は展開されてるはずだろ・・・・・・」

『人払いの結界はあくまで無意識に働きかけるものだからな。強すぎる意思があれば、効かない事もあるんだよ。今回は、あいつらの意思が結界の力を凌駕したって事なんだろ。まあ、稀なケースだがな』

 意味が分からないといった様子で、影人は気がつけばそう言葉を漏らしていた。影人の呟きにイヴはそう答えた。

「ちっ、マジかよ・・・・・・」

「ケケッ!」

 影人が軽く悪態をつく。それを隙と感じたのか、骸骨が影人の方へと駆け距離を詰めて来た。鎧を脱いだためだろう。先ほどよりもかなり速い。

「ちっ・・・・・・!」

 影人は2人に割いていた意識を骸骨の方へと向け直し、左手で軽く指を鳴らした。すると闇色の騎士の姿が変化し、黒い炎の剣と化した。その剣は自我を持っているかのように、背後から骸骨目掛けて飛来した。

「ケ!?」

 勘がいいのか、背後から迫る黒炎の剣に気がついた骸骨は緊急にその剣を回避した。しかし、緊急的な回避は往々にして隙が生じやすい。影人はその隙を見逃さなかった。

「・・・・悪いな。戯れの時間は終わりだ・・・・・・!」

 影人は自身に『加速』を施し、一瞬で骸骨との距離をゼロにした。そして『硬化』で肉体の強度を上げ、

「シッ・・・・・・!」

 影人はその全身を振るい、打撃の連打を骸骨に浴びせた。

「ケ・・・・・・!?」

 その結果、骸骨の全身は粉々に砕かれた。立っている事が出来なくなった骸骨はバラバラに地面へと落下し、戦闘不能へと陥った。

「・・・・・・カルシウムが足りなかったな。まあ、お前が生きてるか死んでるは知らないが」

 影人はバラバラの破片として転がっている骸骨を見下ろした。

「・・・・・・」

 すると数秒後、バラバラに砕け散った骸骨の破片が光を放ち始めた。次の瞬間、骸骨の破片は光に包まれ消え、次元の裂け目も修復された。

「これは・・・・・・」

 昨日のドラゴンの時と同じ光景だ。影人がそう思っていると、ソレイユが語りかけてきた。

『影人! お疲れ様でした。あなたのおかげで、あちら側からの流入者は元の世界に還せました』

「・・・・・・ソレイユか。そう言うって事は、あの骸骨を向こうに還したのはお前なのか?」

『はい。シトュウ様に【あちら側の者】を返還する力を与えられ、私が還しました。まあ、色々と条件があるので還すのは今さっきという事になりましたが。その条件はあなたや光導姫たちにまた話す予定です。ちなみに、ラルバの方は次元の裂け目を修復する力を与えられたので、そっちを直したのはラルバです』

 影人の質問に対して、ソレイユの答えが影人の中に響く。その答えを聞いた影人は「そうか・・・・・・」と呟いただけだった。

「・・・・・・ソレイユ、悪いが俺は少しやる事がある。念話を切るぜ」

『? はい、分かりました』

 ソレイユは少し不思議そうな声音で影人の言葉を了解した。そして、影人は後ろを振り返り電柱の後ろにいる魅恋と海公の方を見つめた。ソレイユの様子からするに、魅恋と海公には気がついていないようだった。

「・・・・・・俺は逃げろといったはずだ。それなのに、お前らは何で戻って来た?」

「「っ・・・・・・!」」

 影人にそう言葉を掛けられた魅恋と海公はビックリしたような顔を浮かべると、恐る恐るといった感じで電柱の陰から出て来た。

「そ、それは・・・・・・やっぱり、気になったから。体は逃げろって感じだったけど、心は止められなかったっていうか・・・・・・」

「ぼ、僕は霧園さんを・・・・・・この人を1人残して逃げるなんて出来なかったから・・・・・・」

 詰問するような影人の言葉に、魅恋と海公は申し訳ないような顔を浮かべそう答えた。

「・・・・・・そんな理由で死ねるなら好きにしろ。別に俺はお前らが死のうがどうでもいい。お前らが生きてるのは運がよかったからだ。ただの偶然に過ぎない。・・・・・・覚えておけ、好奇心と他者への思い遣りは時に命をなくす」

 2人の答えを聞いた影人は冷たい声で突き放すようにそう言った。容赦のない言葉を浴びせられた魅恋と海公は「うん・・・・・・」「はい・・・・・・」とただ頷く事しか出来なかった。

(イヴ、こいつらスマホでさっきの戦い撮ってたりはしてなかったか?)

『最初は撮ろうとしてたみたいだが、結局はやめてたな。多分、お前の姿が映らなかったからだろうぜ。スプリガンの姿はカメラとか写真には映らないからな』

 最初から2人に気づいていたイヴが影人の懸念点を払拭する。その言葉を聞いた影人はイヴに感謝の言葉を述べた。

(そうか、教えてくれてサンキュー。・・・・・・取り敢えず、今は釘だけ刺して、ないとは思うがこいつらが吹聴するような事があればソレイユに相談してみるか)

 幸い、影人はこの2人とクラスメイトだ。ある程度2人を監視できる。影人はそう考えると、2人にこう言った。

「・・・・・・1つ忠告だ。今日見た事は誰にも言うな。どんな方法であれ、吹聴するような事をすれば・・・・・・分かるな? お前らもさっきの骸骨みたいな事になるぜ」

「「は、はい・・・・・・!」」

 影人の脅しを受けた魅恋と海公は声を震わせながら頷いた。先ほどの戦いを見た2人は、既に影人が普通ではない力を有している事を知っている。ゆえに、その脅しは有効で2人の芯にまで響いた。

「・・・・・・ならいい。せいぜい、バカな事はするなよ」

 そう言うと、影人は2人に背を向けこの場から去ろうとした。だが、最後に魅恋がこんな事を聞いて来た。

「待って! 1つだけ、1つだけ聞かせて! あなたはいったい何者なの!?」

 それは魅恋の魂の叫びだった。そして、影人からすれば馴染み深い問いかけだった。

「・・・・・・スプリガン。それが俺の名だ」

「スプリガン・・・・・・」

 影人の答えを聞いた魅恋はその言葉を反芻した。一瞬立ち止まっていた影人は再び歩き始める。

「影人、お疲れ様だ。ふふっ、格好よかったぜ。さすがはお前だ」

「ふん・・・・・・そうかよ」 

 すると、今まで戦いを見ていた零無がニコニコ顔で影人に合流してきた。影人は零無の感想にそう反応を示した。

 そして、黒衣の怪人は魅恋と海公の前から去ったのだった。


 ――2人の少年少女に忘れられぬ印象と記憶を与えて。

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