第240話 カケラ争奪戦 ロシア(5)
(待ってたぜこの一瞬を! お前たちが油断したこの千載一遇のチャンスをよォ・・・・・・!)
レイゼロールの背後から『フェルフィズの大鎌』を振りかぶった壮司は、内心でそう呟いた。
遮蔽物のないこの場所で、壮司がどのようにしてレイゼロールに接近できたのか。理由は簡単である。壮司は影人がアイティレやイヴァンと戦い始めた時から、ずっと崖にぶら下がっていた。
影人やレイゼロールがいるこの場所は、辺りには何もない雪原で海がすぐに見える場所。つまり岬のような場所だった。海とこの場所の間には必然崖がある。真夜中で暗いため、正確に何メートルあるかは分からないがかなりの高さだ。壮司はラルバの転移によって、戦場から少し離れた場所に出現し、崖の淵を掴みながらレイゼロールの背後の崖へと移動していた。その際、「フェルフィズの大鎌」は邪魔になるので、左手の「睥睨の御手」の鎖を使って背負った。鎖は前回ゼノに破壊されてから新調されていた。
それからバレないように崖の淵にぶら下がりながら壮司は戦いを観察し、影人とレイゼロールの気が抜けたタイミングを見計らい、レイゼロールへと接近したのだった。ちなみに、崖にずっと懸垂のようにぶら下がっていた壮司だが、疲労はほとんどない。今の壮司は守護者形態。普通の人間とは違う超人だ。
(ラルバ様が言うには今回がほとんど最後のチャンス。だから、絶対に決めさせてもらうぜ。今日こそな!)
決意の一撃はあとほんの少しで、レイゼロールの首に触れる。中国の時に影人が助けた時とは違う。もう助ける事は出来ない。間に合わない。
「レイゼロール! チクショウがッ!」
それは影人にも分かっていた。いくら速く動いても、もう影人が助ける事は出来ない。それはよく分かっていた。だが、影人は反射的にレイゼロールに向かって最高速度で駆け始めた。それはただ感情からの疾駆だった。
(ざけんな、ざけんなよ! 殺させるかよ! 絶対に何が何でも! 俺はまだ約束を果たしてない。レイゼロールとの約束を! やらせない絶対に・・・・)
「やらせるかよぉぉッ!」
気がつけばそう叫びながら影人は駆ける。既にレイゼロールに手を伸ばせば届くような距離。しかし、それでも間に合わない。全てを殺す大鎌はレイゼロールの首に触れ――
「・・・・ふん、そう声を大きくしなくても、とっくに気づいている」
だが、レイゼロールは落ち着き払った声でそう言うと一瞬にしてその姿を消し、壮司の隣に出現し壮司の脇腹に強烈な蹴りを放った。
「ぐっ!?」
まさか避けられると思っていなかった壮司は、自分の肋骨がバキボキと折れる音を聞きながら、十数メートルほど蹴り飛ばされた。
「っ、お前・・・・・・・・」
「お前が言ったのだろう、最低限の注意力は残しておけと。前回と同じような轍を踏むつもりはない」
驚いたような顔を浮かべる影人に、レイゼロールはいつもと変わらない無表情でそう言った。そして、少しだけ不思議そうな顔になりこう言葉を続けた。
「しかし、意外だったな。お前があれほど必死になるなど。初めて見たぞ、お前のあんな様子は」
「・・・・・・・別に俺の目的のためにお前に死なれちゃ困るだけだ。勘違いするな」
レイゼロールにそう言われた影人は、顔を逸らしそんな答えを返した。嘘の答えだが、今の影人にはこう答えるしかなかった。
「ふん、勘違いなどするものか。いったい、何を勘違いするというのだ。それよりも・・・・」
レイゼロールは視線を少し先――壮司を蹴飛ばした方へと向けた。レイゼロールに蹴り飛ばされた壮司は、激しく痛む脇腹を左手で押さえ地に伏していた。
(ぐっ・・・・! チクショウ、バカみたいに痛え・・・・・・だが、早く立たねえと・・・・!)
壮司は痛みに悶えながらも、半ば無理矢理立ち上がった。しかし、正直戦闘が続けられるとは壮司は思わなかった。
「何度も何度も我の命を狙う黒き死神よ。お前が我を狙う理由は知らん。貴様が我を狙う理由に興味がないと言えば嘘になるが・・・・・いい加減に癪に触る。ここで潰えてもらうぞ」
レイゼロールはそう呟くと、自身の周囲に複数の闇色の腕を召喚した。腕は壮司の方へと襲い掛かる。
「ッ・・・・!」
避ける事は今の壮司には難しい。壮司はそう考えると、左腕の袖から3つの煙玉を取り出した。そして、壮司はそれを地面へと叩きつける。次の瞬間、凄まじい煙が発生し、壮司の姿は見えなくなった。それだけでなく、今回は煙玉の量が3つという事もあり、ここら一帯に煙が広がった。
「っ、また煙かよ。芸がない野郎だな・・・・!」
「同意だな。しかし、煙程度・・・・」
影人の呟きにレイゼロールはそう言葉を返すと、闇の風を自身の周囲に発生させた。煙は徐々に晴れ始めるが、今回は量がかなり多い。煙は中々晴れなかった。
(さあ、どうすっかな。このダメージで遮蔽物が一切ないこの場所じゃ撤退は出来ない。かと言って、今の俺がレイゼロールとスプリガン相手に一撃なんか取れるわけでもない。運良くレイゼロールの腕の攻撃は誤魔化せたが・・・・・・はっ、こりゃ煙晴れたら死ぬかな俺・・・・・・・)
元いた位置から死ぬ気で少しだけ動いていた壮司は、半ば諦めたような笑みを浮かべていた。正直、今こうして立っているだけでも、痛みでどうにかなりそうだ。
壮司がそんな覚悟をしている時だった。突然、壮司の周囲を光が包み始めた。
(っ、転移の光・・・・? ははっ、マジですかいラルバ様。俺を逃してくれるのか。契約をまだ果たしていない俺を・・・・・・・・)
自分を包む転移の光を見た壮司はどこか自嘲気味に笑みを浮かべた。こんなに情けない自分を逃してくれる事に壮司は感謝の念と、申し訳ない念を抱いた。
(こんな俺の、クズの命を助けてもらって本当にありがたい事だな。俺も人間だ。死にたくはねえ。だから・・・・・この恩は必ず返してみせますよ)
光が壮司を完全に包む。煙があと数秒で晴れる。その間に壮司はこの場から姿を消した。
「っ? 奴はどこに消えた・・・・・・・・?」
「・・・・分からない。すぐに移動できる手段を奴は持っていたのか・・・・?」
煙が完全に晴れ、レイゼロールと影人は壮司がいない事に訝しげな顔を浮かべた。だが、いくら周囲を見渡しても姿は見えない。レイゼロールは諦めた様子で軽く首を横に振った。
「どうやら何らかの方法を使って逃げたようだな。仕方ない、奴の排除はまだ先になるらしい。だが、現段階の障害は全て排除された。我はカケラの探知に戻る」
レイゼロールはそう言うとスッと集中するように瞳を細めた。影人は何も言わずにレイゼロールがカケラを探知するのを待つ。そして1分後、レイゼロールはその目を開いた。
「・・・・・・探知した」
レイゼロールはそう言うと、海のすぐ近く崖の手前まで歩き始めた。影人もレイゼロールについていき、真っ暗な海を眺める。この辺りにカケラがあるのかと影人が疑問を抱いていると、
「闇の腕よ。我が意志に従い、我が力のカケラを探し掴め」
レイゼロールが詠唱し虚空から1本の闇の腕を召喚した。闇の腕はどこまでも伸び海の中へと沈んでいく。それから10分ほど時間が経った。
「・・・・来たな」
レイゼロールがそう呟くと、闇の腕が海の中から出てきた。腕は何か夜の闇に紛れるような黒い物を掴んでいる。そして腕はレイゼロールの元に戻って来て、その握っているものをレイゼロールと影人に示した。
「これが最後のカケラか・・・・・・・・」
「ああ。海の奥底に眠っていたようだな。これが我の最後のカケラ。これを砕き我が取り込めば、我は全ての力と『終焉』の権能を取り戻す事が出来る」
影人の呟きに、レイゼロールはどこか感慨深そうにそう言葉を述べた。レイゼロールがカケラを砕かれて約2000年ほど。その間レイゼロールはずっと目的のために行動してきた。全ては兄の神、レゼルニウスを蘇らせるため。カケラを全て取り戻した瞬間に、目的が達成されるわけではないが、レイゼロールからしてみれば、今この瞬間は一種の長い旅の果てに辿り着いたようなものだった。
「・・・・・・長かった。ここに来るまで。最後の我のカケラ、今我に還る時だ」
レイゼロールはそう呟くと、自分の右手をカケラへと伸ばした。あと少し、ほんの少しでレイゼロールの手がカケラに触れるという瞬間、
「・・・・悪いが、これをお前にやるわけにはいかない」
影人はそう呟き、闇の腕が握っていたカケラを強奪した。影人はこの瞬間を待っていた。そして、影人は後方に飛びレイゼロールから距離を取った。
「っ・・・・・・・・どういうつもりだ、スプリガン」
影人の行動を見たレイゼロールは、ギロリと影人を睨みつけた。
「・・・・どうもこうもな。俺の本当の目的は、お前からカケラを奪取する事だ。その理由をお前に教える理由はない」
自分を睨んでくるレイゼロールに、影人はそう言葉を返した。
「我からカケラを奪取する事が貴様の本当の目的だっただと? ・・・・・・・つまり、お前は我を裏切ったという事か。最初からそのつもりで我に近づいたのか・・・・!」
「・・・・まあ一言で言えばそうなるな。お前に近づいた後の俺の行動は、全てお前に俺をある程度信頼させるためだ。元々お前にとって敵だった俺をな」
怒りの感情を露わにするレイゼロール。そんなレイゼロールに対し、影人は淡々とした態度だ。過去から戻った今の影人にとって、レイゼロールから過去の人間たちに向けていたような視線を向けられるのは、正直辛い。だがその感情を表に出すわけにはいかない。ゆえに影人は自分の感情を悟られないようにするために淡々とした態度を演じていた。
「何のために・・・・・・何のためにお前は我のカケラを奪う? お前は誰の味方だ?」
「答える理由はないと言ったはずだぜ。だが、そうだな。俺の雇い主のヒントくらいは教えてやる。こいつは必要な事だからな」
必要な事。そう、レイゼロールにこの情報を教えるのは必要な事だ。でなければ、レイゼロールとの最終決戦は行えない。レイゼロールが、影人が属している対象の勢力を知らなければ。
「俺の雇い主は――光の女神だ」
そして、影人はレイゼロールにそう言った。
「ッ!? ソレイユだと・・・・・・・・・・? ・・・・・・・そうか、そういう事か。お前にその力を与えたのはソレイユか! お前の力がなぜ闇の力になったのかは分からないが、ソレイユがお前に神力を譲渡したというわけか・・・・! 合点がいったぞ。お前が光導姫を助けていた事が・・・・!」
影人の言葉を聞いたレイゼロールはその答えに辿り着いた。レイゼロールのこの答えは、前にスプリガンが言った事を真実であると前提してのもの。ゆえに正しい答えではないかもしれない。だが、結果としてレイゼロールが辿り着いた答えは、真実であった。
「・・・・お前がどんな推理をしたところで、これ以上俺はお前に答えを返さない。こいつを返してほしけりゃ、然るべき場所、然るべき時に奪いに来いよ」
右手で掴んだ黒いカケラをレイゼロールに見せながら、影人はそう言った。
「・・・・・・・・・・ああ、我は愚かだな。本当に愚かだ。もう誰も彼も信じないと誓ったのに。信じようとして、我はいつも・・・・」
顔を俯かせながらレイゼロールはボソボソと言葉を漏らす。レイゼロールの心に浮かぶのは、兄を殺した人間たち。そして、エイトの事。エイトと出会い、もう1度人間を信じてみてもいいかもしれないと思っていたレイゼロールは、再び裏切られた。エイトは人間に殺された。
スプリガンが人間かどうかは分からない。だが、レイゼロールはここ最近のスプリガンの行動によって、スプリガンを無意識的に信頼しかけていた。レイゼロールはそんな自分が許せなかった。
「・・・・・ああ、もういい。我は再び誓おう。絶対にもう2度と、誰も信じないと」
暗いような、無感情のような声でレイゼロールはそう呟いた。そして顔を上げる。その顔は全ての感情が凍り切ったような顔だった。怒りすらもない。機械のような顔だった。
「っ・・・・・・・・じゃあな、レイゼロール。俺はお前の敵に戻る。今度会った時は――」
レイゼロールのその顔を見た影人は、どうしようもない気持ちを抱きながらも、レイゼロールにそう言葉を紡ごうとした。だが、
「――次などありはしない」
影人が最後まで言葉を述べる事はなかった。その前に、レイゼロールが瞬間移動で影人のすぐそばに出現し、影人の顎に神速の昇拳を放ったからだ。影人と同じく自身の肉体を強化し『加速』させているレイゼロールの一撃を、影人は避けられなかった。不意をつかれたという事もあるが。
「っ!?」
昇拳をまともに喰らった影人は、衝撃が脳にまで響いたのを感じた。影人の見ている世界がぐらつく。その間に、レイゼロールは影人の右手からカケラを奪い、影人を蹴り飛ばした。
「ぐっ・・・・!?」
蹴り飛ばされた影人は呻き声を漏らしながらも、自身のダメージを回復の力で治癒させた。そして立ち上がり、レイゼロールに悔しげな視線を向けた。
(ちくしょう油断した! レイゼロールの瞬間移動からの攻撃に反応出来なかった・・・・!)
せっかくレイゼロールからカケラを奪取できたというのに。いったい自分は何をしている。影人は自分の不甲斐なさに腹が立った。だが、まだだ。まだチャンスはある。レイゼロールはカケラをまだ砕いていない。レイゼロールがカケラを砕く前に、再びカケラを奪取する。影人は自分の前面に「影速の門」を展開させ、それを潜った。神速の速度。影人は一瞬にしてレイゼロールへと肉薄した。
「ふん、無駄だ。ソレイユからどれだけ力を譲渡されたのかは知らないが・・・・・・今の我には届かない」
レイゼロールは闇を宿したアイスブルーの瞳で近づいて来た影人を見ると、フッとその姿を消した。
「なっ・・・・」
「今の我は既に9個のカケラを取り込んだ身。全盛期の8割ほどの力は既に取り戻しているのだからな」
影人が驚いた顔を浮かべていると、影人のすぐ後ろからレイゼロールの声が聞こえた。レイゼロールは影人の背後に瞬間移動した。
そして、レイゼロールはその右手に持っていた最後のカケラを砕いた。
その瞬間、凄まじい闇の力が世界に奔った。それは今まで1番大きな闇の波動であった。
(っ、しまった! やっちまった!)
波動を感じ取った影人はすぐさま振り向いた。レイゼロールに凄まじい闇が渦巻いている。ゾワリと何か危険を感じ取った影人は、反射的に後退してしまった。
「・・・・・・・・遂に、遂に戻った。我の全ての力が。『終焉』の力が・・・・! ああ、長かった。長かったぞ・・・・・・!」
闇の中心部でレイゼロールが笑っていた。その笑みには間違いなく歓喜の感情があったが、影人にはどこか壊れたような笑みに見えた。影人はその笑みに危うさを見た。
そして、レイゼロールのその瞳。レイゼロールのアイスブルーの瞳は、真っ黒な闇色に染まっていた。
「これで兄さんとの繋がりは手に入れた。後は儀式に必要なエネルギーを貯めさえすれば、『死者復活の儀』を行える・・・・・!」
まるでガッツポーズをするかのように、右手をギュッと握るレイゼロール。レイゼロールの瞳は気がつけば元の瞳の色に戻っていた。
「っ、レイゼロール・・・・・・・・!」
影人は半ば無意識的にレイゼロールの名を呟いた。すると、レイゼロールがその顔を影人の方に向けて来た。
「ふっ、丁度いい。スプリガン、まずは貴様をこの世から消してやろう。全てを終わりに導く我の『終焉』の力でな。久方ぶりの力の行使、その第1号は貴様だ!」
レイゼロールが冷たい笑みを浮かべると、レイゼロールの瞳の色が再び漆黒へと変わった。すると、レイゼロールの全身から濃密な闇が噴き出した。その闇はまるで意志を持っているかのように、影人の方へと襲い掛かって来た。
『影人! その闇に触れられてはいけません! その闇は「終焉」の闇です! 触れられればすぐに命を奪われます! その闇自体が「フェルフィズの大鎌」だと考えてください!』
(っ、分かった!)
自分の内側に響いて来たソレイユの声を聞いた影人は、全力でその闇から逃げた。影人はその闇を何とか積止めようと、逃げながら自身の後ろに闇色の壁を創造したが、レイゼロールの『終焉』の闇に触れた瞬間に、溶けて虚空へと散っていった。
(ちっ、やっぱダメか・・・・!)
「フェルフィズの大鎌」と同じものと言われた事で大体予想はしていたが、防御行動は一切意味をなさないようだ。それは影人がただ逃げる事しか出来ないという事を示していた。
(だがどうする? ただ逃げ回るだけじゃジリ貧だ。俺は長距離の転移は出来ない。短距離間の転移もほんの少しだけ時間が掛かる。俺を追って来るこの闇は中々に素早い。万が一があるかもしれない。迂闊に転移は使えねえ。ちっ、マジでどうするか・・・・)
影人が『終焉』の闇から逃げ続けながらそんな事を考えていると、影人の中に再びソレイユの声が響いた。
『影人! その場所から右斜め200メートル先の地点に5秒後到着してください! かなり限定的で不安定な方法なので今まで使いませんでしたが、あなたを私の場所まで転移させます! その代わり、座標と時間は正確にお願いします。でなければ、転移は失敗します!』
(そいつはシビアだな! だが分かったぜ!)
影人は闇の力を使い、視界内にソレイユが言った地点にマーカーのようなものを打った。次に左目の視界内にキッカリ5秒を知らせるタイマーのようなものを表示させた。
「ふん、無様だなスプリガン。そのまま我の闇に喰われろ!」
レイゼロールが嘲るように言葉を放つ。闇はなお影人を追いかけて来る。影人はソレイユが指定した場所に近づき、キッカリ左目の視界内のタイマーがゼロになったタイミングで、その場所に飛び込んだ。
「悪いが、まだ喰われるわけにはいかねえよ」
すると、影人の体が光に包まれた。影人は遠く離れたレイゼロールの方に顔を向け、最後にそう言うと光となってこの世界から姿を消した。
「っ、今の光は・・・・・・・・ソレイユの転移の光か。どうやら、奴が言っていた事は本当だったようだな。奴とソレイユは繋がっている」
影人に逃げられたレイゼロールは悔しさというよりも、確証を得たという態度だった。影人がこの場から退却した事を確認したレイゼロールは、『終焉』の力を解除した。途端、レイゼロールから噴き出していた闇は消え、レイゼロールの瞳の色が戻った。レイゼロールは『終焉』の力を発動している時だけ、瞳の色が漆黒に変わるのだ。
「・・・・・奴は逃したがまあいい。『終焉』の力を取り戻した今の我からしてみれば、もはやスプリガンもそれほど脅威にはならない。もはや我に、敵はいない」
後はエネルギーを集めればいいだけ。レイゼロールは1人そう呟くと、超然的な笑みを浮かべた。
こうして、レイゼロールは全ての力を取り戻した。最後のカケラ争奪戦、ロシア。これにて閉幕。
そして、レイゼロールが全てのカケラを吸収した事により、
最終決戦の幕が近づき始めていた。
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