第167話 人竜の力
「――あら。ゼルザディルムとロドルレイニ、
上空でのスプリガンと2竜の戦いを、地上から見上げて観察していたシェルディアが意外そうにそんな言葉を漏らした。
ちなみに、シェルディアは2竜の形態の事を「人竜形態」と呼んでいるが、これはシェルディアだけの呼び方だ。シェルディアの元いた世界に人間はいない。自分のように、人間に見た目が限りなく似た種族は存在していたが。こちらに来て人間を知る前は、シェルディアも2竜と同じように「変化」と呼んでいたが、人間の存在を知ってからは竜の形態変化の事を、自分の中で人竜形態という呼称に変えたというだけだ。
(確かに、スプリガンのあの速さならばゼルザディルムとロドルレイニが攻撃を当てる事は難しいものね。逆に『破壊』の力を扱えるスプリガンからしてみれば、竜の鱗の硬さは意味を持たない。更に言うなら、竜族の超再生すら超える一撃必殺の技をスプリガンは持っているかもしれない。だとしても・・・・・・・・・・ふふっ、あの2竜に姿を変えさせる。その決断をさせた。それがどれ程の事か、きっとあなたには分からないでしょうね、スプリガン)
星舞う真紅の満月輝く自分の『世界』の空を見上げながら、シェルディアはどこか称えるような笑みを浮かべる。シェルディアの元いた世界でも伝説と語り継がれていたあの竜王たちに、「形態を変えた方が良い」、そう思わせたこと自体がもはや偉業なのだとシェルディアは知っているからだ。
「・・・・・ここからが本当の戦いね。スプリガン、あなたは知るでしょう。その竜王たちの真の強さを、真の暴力を。竜とは自然の暴力そのもの。ゼルザディルムとロドルレイニは、それを最も体現した2竜。私でさえ、あの2竜を殺すのには尋常ではない苦労をした。・・・・・・・あなたがその2竜を倒す事が出来るか、ここからしっかりと見ていてあげるわ」
一度2体の竜王を殺した絶対強者たる吸血鬼は、目を細めてそう呟いた。
(こいつら、人間になれるのか・・・・・・・!?)
人間と同じような姿になったゼルザディルムとロドルレイニを見た影人は内心驚愕した。まさか竜が自分と同じ人間に姿を変えるとは。流石にそれは予想していなかった。
「驚いているな、スプリガンとやら。我らの姿が貴様と同じような姿に変化した事に」
人間の男に姿を変えた方――ゼルザディルムが少しだけ広角を上げてそう言葉を発した。身長はおそらく180センチほど。顔は彫刻のように整っており、瞳の色は竜形態の時と同じく赤で、髪は短髪の黒色。黒のノースリーブのインナーのような服を上半身に纏っており、そこから覗く腕はがっしりとしており、肌は浅黒い。下半身は赤い布のダボついたようなズボンを履いている。足は裸足であった。
「驚くのも無理はないでしょう。竜族が
ゼルザディルムの言葉に反応するように、人間の女に姿を変えた方――ロドルレイニがそんな言葉を呟いた。身長は165センチほどだろうか。女性にしては少しその身長が高めだ。顔は凄まじい美人顔で、こちらも瞳の色は赤だ。髪は長く白銀。装束は白い着流しのようなものを纏っている。足元は裸足だ。
「・・・・・はっ、確かに驚いたぜ。まさか、わざわざ小さくなってくれるとはよ。確かにその形態なら素速さは上がり小回りも効くだろう。・・・・・・・・だが、利点を捨てすぎたな」
人間に変化した2竜の姿に少しの間放心していた影人だったが、いつも通りの調子に戻るとそう言葉を放った。最初こそ驚愕した。だが、ゼルザディルムとロドルレイニが人間に変身したのは、冷静に考えれば影人にとってメリットが大いにある。
(気づいていないだろうが、その姿になったのは失敗だぜ竜ども。てめえらが俺と同じサイズになってくれたおかげで、殺しやすくなったぜ)
影人は内心そう呟き笑みを浮かべた。人間形態になってもおそらく超再生は使えるだろう。皮膚の硬さも竜形態の時と同じだろう。ゆえに、影人がゼルザディルムとロドルレイニを『破壊』の力を使用し、一撃で殺さなくてはいけない事に変わりはない。だが、殺すのに必要な火力は大幅に下がった。
(実は竜形態のこいつらを殺すのに1番の問題は、竜の巨体を一撃で殺し切るのに必要な火力だった。単純にあれだけデカイ巨体だ。耐久力もデカイぶん凄まじい。弱点がまだ分からない以上、俺はあの巨体の竜の全身を一撃で砕き壊さなければならなかった)
もちろん、それ程の一撃を繰り出そうと思えば、影人はそれ相応の時間と力を消費しなければならない。しかも当然、それだけ強力な一撃を放つには隙も大きい。更に言うならば、それを影人は2回、確実に成功させねばならなかった。でなければ、力の残量の問題や敵の警戒の問題があるからだ。
(俺の力の残量は、大体残り7割って感じだ。こいつらを一撃で殺し切るのには、大体その2割の力を割かなきゃならないと覚悟してたが・・・・・嬉しい誤算だぜ。これなら1割だけで済みそうだからな)
以上のような理由から、影人はゼルザディルムとロドルレイニが人間の姿になった事にメリットを感じ、逆に歓迎したのだった。人間サイズならば、使う力の量も『破壊』の力を練る時間も抑えられる。
そして、実はメリットは他にもあった。それは竜の体から繰り出される攻撃の数々がなくなったという事だ。大きな顎による噛みつきも、前足による引っ掻きも、尻尾による薙ぎ払いも、炎や氷の
「正直、今のお前らに負ける未来は見えねえな。速ささえあれば、俺に勝てるとでも思ったか? だとしたら・・・・・・・あんたら、俺を舐めすぎだ」
煽るつもりはなかった。影人はただ、純然たる事実を述べただけ。それが、影人の心からの思いであった。
「ふむ・・・・・どうやら、貴様は何か勘違いをしているようだな」
「むしろその逆です。あなたにこの姿を晒したのは――あなたに確実に勝つためですよ」
「おう――その通りよ」
瞬間、ロドルレイニとゼルザディルムの姿が消えた。
そして気がつけば、ゼルザディルムとロドルレイニは影人の両隣に出現しており、それぞれ影人に向かって鉤爪状に曲げた右手を突き出していた。
「ッ・・・・・!?」
影人は反射的に息を呑んだ。影人はいま眼を闇で強化している。だから分かる。2竜は消えたわけではない。消えたと錯覚する程の超スピードで影人に距離を詰めてきたのだ。
(体を闇で強化したレイゼロールと今の俺と殆ど同じスピードじゃねえか! いくらなんでも、いきなり速くなりすぎだろ・・・・・!)
竜形態の時よりも素早くなる事は分かっていたが、まさかここまでとは。影人は人間形態のゼルザディルムとロドルレイニの速さに驚愕しつつも、空を蹴りバックステップで2竜の攻撃を回避した。
「ほう、やはり素速いな。いや、素速いだけでない。その反応速度、それも異常に速いな。つくづく、大した者よ」
影人がバックステップをした瞬間に、いま影人がいた位置にゼルザディルムとロドルレイニの右手が重なる。2竜が手を振り抜いた瞬間、シュゴッと風を裂いたような音が聞こえた。2竜の攻撃の速度が音速に至っている証拠だ。
「ふっ、それでこそ倒し甲斐があるというもの!」
バックステップで回避した影人に向かって、ロドルレイニが気力に溢れた笑みを浮かべながら、左手を大きく振るった。すると、そこから不可視の斬撃状の衝撃波が飛び出した。
「チッ・・・・!」
空気の揺らぎと闇で強化した眼でその攻撃を感じ取った影人は、右足を蹴り上げるように振るった。すると影人が足を蹴り上げた軌跡から、ロドルレイニの斬撃状の衝撃波と同じようなものが発生した。こちらはロドルレイニの不可視の透明の衝撃波とは違い闇色の衝撃波だった。ロドルレイニが放った衝撃波と影人が放った衝撃波はぶつかり合いやがて相殺された。
「はははははッ! いざやよしッ!」
ゼルザディルムが高笑いをしながら再び影人に肉薄する。ゼルザディルムが右足を振るう。影人は左手に『硬化』を掛け、あえてその蹴りを左手で受けた。どれ程の威力か確かめたかったからだ。
「ぐっ・・・・・・・!?」
だが、影人はすぐに自分のその判断を後悔した。なぜならば、ゼルザディルムの蹴りは尋常ではなく重くその威力もただの蹴りというには高すぎるものだったからだ。腕を硬化させたというのにその衝撃は中まで響き、影人の左上腕部の骨はベキリと派手な音を立て折れてしまった。しかも左腕が折れただけでなく、影人はその蹴りの威力によって遥か後方の宙へと飛ばされてしまった。
(ちくしょうが何て蹴りだよッ! 『硬化』を貫通させて腕の骨を折りやがった・・・・・! しかも蹴りを受け止めたってのにこの吹き飛ばされ方。人間形態だってのに、イカれた力してやがる・・・・・・!)
吹き飛ばされている間に影人は即座に左腕に闇による治癒の力を使用した。先ほどのシェルディアからもらった蹴りによるダメージといい、今日はよく骨が折れる日だ。
「逃がさんぞ。このまま烈火の如き猛攻を仕掛けてくれる!」
「氷河の如き侵攻を味わいなさい!」
吹き飛んだ影人に向かってゼルザディルムとロドルレイニが追い縋って来る。竜形態の時では考えられなかった超速のスピードを以て一瞬で影人に近づいてきた2竜は、その肉体から拳や蹴りによる連撃を放ってきた。
(さっきの攻撃を受けて分かった。こいつらの力はたぶん竜形態の時と同じだ。じゃなきゃ、あの超パワーに説明がつかない。こいつらは竜形態の時の力をそのまま人間形態でも引き継ぐ事が出来るんだ。いやむしろ、肉体が圧縮されているから限定的なパワーなら竜形態の時より上がっているかもしれない。とにかく、この攻撃を体で防御するのはマズイ・・・・!)
先ほどのゼルザディルムの攻撃で、肉体で攻撃を受け止める事が悪手と分かった影人は、2竜の拳や蹴りによる攻撃をひたすら回避した。ゼルザディルムやロドルレイニの攻撃は、闇で強化した影人の眼を以てしてもかなりの速度だが、反応できないという程ではなかった。
「ちょこまかとよく避ける・・・・・!」
苛立ったような声をあげるロドルレイニ。その声に示された態度に比例するように、ロドルレイニの攻撃が更に激しくなる。そしてロドルレイニに呼応するかのように、ゼルザディルムも攻撃を更に荒々しくそれでいて素速くしてきた。
(ッ、こいつらまだ攻撃速度を上げれるのか!? スタミナ無限かよッ! ヤバいぜ、流石に回避に徹しててもこれほど攻撃の密度を高められると、避けきれなくなって来る。ただでさえ反撃できないって言うのによ・・・・・・・・!)
影人は2竜の肉体攻撃の嵐を刹那で躱しながら、この状況に危機感を覚えた。影人はゼルザディルムとロドルレイニの猛攻に反撃していない。いや、正確に言えば出来ないのだ。今の状況は2対1。更に影人は肉体による防御も出来ないときている。ゆえに影人が拳や蹴りで反撃すれば、そこに隙が生じ、必然防御すべき攻撃が生まれてしまう。影人が何とかまだ2竜の攻撃を回避できているのは、何も反撃せずに回避に徹しているからだ。
しかし、こうも攻撃が激しくては回避出来なくなるのも時間の問題だ。ゼルザディルムとロドルレイニの攻撃には、シェルディアの造血武器とは違い意志がある。影人の反応を見て、2竜はその攻撃パターンを変えてくる。それが最も厄介な点だ。
(だが、このままじゃジリ貧だ。1度距離を取らねえと・・・・・! 怯むかどうかは分からねえが、やるしかねえ!)
影人はロドルレイニの拳の風圧を頬で感じながら、周囲から闇色の鋲付きの鎖を10本呼び出した。おそらくもう数秒後には回避できない。この瞬間が、最後に影人が行動を起こせるタイミングだと、影人は直感した。
鎖はそれぞれ5本ずつ影人を攻撃しているゼルザディルムとロドルレイニに向かう。その内3本ずつがまず2竜の体を襲った。
だが、
「ふん、無駄よ!」
「この皮膚は竜の鱗が姿を変えたもの。普通の攻撃ならば依然として無意味ッ!」
2竜を襲ったそれぞれ3本ずつの鎖、計6本の鎖はガキンッと音を立て弾かれてしまった。
「くっ・・・・・・!?」
構わずに肉体による超高速の連撃を行なってくるゼルザディルムとロドルレイニ。鎖を弾いた事で更に勢いづいたのか、2竜の攻撃は更に更に激しさを増した。
そしてその結果、人間に姿を変えた2竜の攻撃が遂に影人の服や体に掠り始めた。
「くそッが・・・・・!」
影人が焦ったように待機させていた残り4本の鎖、2本ずつを再びゼルザディルムとロドルレイニに放った。影人が再び鎖を放った事を感じ取った2竜は、嘲笑の笑みを浮かべ或いは目を影人に向けた。
「無駄だとなァ、分からんか!」
「愚かなッ!」
自分たちの背後から迫って来る鎖を、ゼルザディルムとロドルレイニは無視した。当然だろう。先ほど同じ鎖は2竜の肉体に弾かれたのだから。2竜からしてみれば、その鎖に意識を割かない事はむしろ当たり前だった。
今度も鎖は弾かれる。そう思われた。
しかし、
「「ッ!?」」
今度はその内の1本、4本の内、計2本が背中からゼルザディルムとロドルレイニの肉体を貫いた。残りの2本は先ほどと同じように、2竜の肉体に弾かれたというのに。
(はっ、バカが引っ掛かりやがったな!)
2竜がその身から赤い血を飛び散らせたのを確認したのを見た影人は、自然と笑みを浮かべていた。
(その鎖2本だけ予め『破壊』の力を付与しといた。それならてめえらの肉体にダメージを与えられるからな。とはいえ、最初の鎖を無視したのは予想外だったがな)
影人はゼルザディルムとロドルレイニに隙を作るために、軽い罠を仕掛けていた。無論、ゼルザディルムとロドルレイニの皮膚が竜の鱗のように硬い事は予想していた。だから影人は10本の内、2本だけ『破壊』の力を付与させた鎖を紛れ込ませておいたのだ。それを焦ったように見せかけ、2回目の鎖の攻撃で2竜にダメージを与える事に成功したのだった。
とはいえ、影人がいま考えているようにゼルザディルムとロドルレイニが最初の計6本の鎖に無反応だったのは予想外だった。2竜は既に影人が竜の鱗を貫通させる事の出来る攻撃がある事を知っている。ゆえに最初の鎖に何らかの反応をし、結果『破壊』の力がない事を確認させ、油断した所に2回目の鎖の攻撃で確実に『破壊』の力を宿した攻撃を叩き込むという策のために、あえて攻撃を2回に分けたのだが、どうやら意味がなかったようだ。
(とはいえ、あくまでこれは俺がいったん体勢を立て直すための攻撃。本命の攻撃じゃない。流石にこれで多少の隙は出来た。この内に転移で一旦距離を稼いで――)
影人は自分の後方に転移の渦を創造しようとした。ダメージを受けたショックで最低2秒ほどは時間を稼げると影人は踏んでいたからだ。その内に、影人はこの密接した空中の場から離れようとした。
「この程度でッ!」
「私たち竜族が怯むものかッ!」
だが影人の予想に反し、ゼルザディルムとロドルレイニはダメージなどお構いなしに攻撃を続行してきた。
「なっ・・・・・・・!?」
これには影人も読めなかった。普通、生物というのはダメージを受ければ何らかのアクションを取るものだが、ゼルザディルムとロドルレイニは自身のダメージに無視を決め込んだ。その事に影人は驚愕したのだ。
(ヤバい。今の俺は無防備だ。この攻撃は完全に喰らう! 幻影化を・・・・いやダメだ! あれは切り札だ。こんな所で使うわけにはいかない! ここで使ったら負ける! くそッ、仕方ねえ・・・・・・・!)
幻影化は力を食いすぎる。影人も乱発は出来ない。ゆえに影人は腕を体の前で交差させて、防御の姿勢を取った。
そして次の瞬間、影人を拳と蹴りの嵐が襲った。
「がっ・・・・・!?」
まず1秒もしない内に両腕前腕の骨が砕けた。次に上腕の骨が殴り蹴られ、骨が砕け折れる。もちろん筋肉も甚大なダメージを受け、影人の意志に反し両腕がダラリと下がってしまった。これで、影人の両腕は一瞬にしてズタボロになり、影人は
そこからは悲惨だった。竜の膂力を持つゼルザディルムとロドルレイニの拳打や蹴りが影人の全身を蹂躙した。全身から骨が砕ける音と筋肉や臓器が悲鳴を上げる音が聞こえる。影人は2秒ほどで、調理の下拵えがされた肉のように全身をズタボロにされた。
「・・・・・・・・・・」
余りに一瞬の事なのでまだ明確な痛みは感じなかった。ただ影人は全身を指一つ動かせずに、声を上げる気力すら失っていた。
「む、まだ死んでおらんよな?」
「普通ならば死んでいますが、この者はまだ生きているでしょう。だから、地上に叩きつけますよ」
ゼルザディルムとロドルレイニはそう言葉を交わすと、影人の体を思い切り下向けに蹴った。体を動かせなかった影人は、なす術もなく流星のように地面へと落とされた。
「がはっ・・・・・」
地面に激突した衝撃で影人は自然と声を漏らす。遥か上空から落とされた衝撃で、影人の周囲の地面はクレーターのように凹んでいた。スプリガンの体が通常の人間形態よりは頑丈だったため、死にはしなかった。それでも尋常ではないダメージは更に受けたが。
「さて、夜の主の命令は出来るだけ殺さないようにとの事だったが・・・・・・・ちょいと止まれんな。これだけ心躍る戦いは本当に久しい」
「無論、ここで止まるという選択肢はありません。彼ならば、あの状態からでもまだ戦えると私は思っています。なので、今度はあなたが私に合わせなさい。ゼルザディルム」
「おお、やるか。了解したぞ、白竜の」
背中に刺さった鎖を引き抜きながら、ゼルザディルムとロドルレイニは落ちた影人を見下した。鎖の鋲が刺さっていた箇所は『破壊』の力によって黒いヒビが広がっていたが、2竜が鋲を引き抜いた瞬間、傷は一瞬で修復され黒いヒビも消えた。
ゼルザディルムとロドルレイニは大きく息を吸い込んだ。胸が膨れ上がっているように見えるのは、肺がそれだけ膨張しているからだ。
(ッ・・・・マ、マジかよ。あいつら、あの形態でも・・・・・・ヤバい、早くここから離れねえと・・・・・!)
地から2竜を見上げていた影人は、2竜が何をするのか見当がついていた。影人はズタボロになった全身を闇の力で回復させて、すぐにこの場から離れようとした。でなければ、影人は消し炭になるか、凍って砕き死んでしまう。
だがそれよりも早く、
「「ガァァァァァァァァァァァァァッ!」」
ゼルザディルムとロドルレイニは、灼熱の吐息と極寒の吐息を空中から影人がいる地面に放った。
「ッ・・・・・・!?」
次の瞬間、炎と氷の2つの死の吐息が影人を襲った。
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