第3話 おばあちゃん家の夏休み

おばあちゃんとおじいちゃんは再婚同士だったらしく、お互い3人、4人とお互い子連れでした。

私の母は再婚後の子どもで、7つ下にもう1人妹がいます。

私の母も、物心ついた頃には自分にはたくさんの年の離れた兄弟がいる大家族で、兄姉はどことなくよそよそしく…そして母親……つまりおばあちゃんにとても冷たい態度をとる兄弟もいて嫌だったそうです。

小学生の頃、おばあちゃんに聞いたそうです。

「どうしてうちにはこんなにうちだけ年の離れたバラバラな兄弟がいるの?」と。

そして、本当の事を聞かされたそうです。

母はもうひとつ質問したそうです。

「そんなにたくさんの子どもがいて大変なのに なんでもう1人妹を生んだの?」と。。

そうするとおばあちゃんはこう答えたそうです。

「あんたが1人じゃ可愛そうだった」と。。


その時は意味がよく分からなかったそうですが、後になり おばあちゃんの母親としての子を思う優しさを理解したそうです。


そんなおばあちゃんの家には、私が夏休みや冬休みに行くと たくさんの親戚が来ていました。

私もいつも思ってました。

「なんでこんなに親戚が多いんだろう。年の離れた従兄弟がなんでこんなにたくさんいるんだろう。。」と。


私もだいぶ大きくなってから理由を教えてもらいました。

まだ小学生の私には 家族関係が何度聞いても複雑すぎて よく分かりませんでしたがとりあえずお年玉は 周りの友達よりたくさんもらえていたので全然OKでした。


夏休みには、親戚が一度におばあちゃん家に帰省してくるので ありったけの布団を敷き詰めてみんなで雑魚寝でした。

男の子たちは 朝の4時頃に起きて裏山にカブトムシを捕まえに行ってました。

私たちが起きた時、虫かごいっぱいのカブトムシを見せてくれたりしたものです。


お昼ご飯にはみんなで手打ちうどんを作り、子どもだった私たちも従兄弟たちと手伝って一緒に食べます。


おやつの時間になると、冷やした大きな丸いスイカを切ってもらい、たくさんの従兄弟と縁側にズラリと並んで座り 種を庭に飛ばしながら食べました。


その庭には縁日の金魚すくいで持って帰ってきた赤い金魚たちが池の中で元気に泳いでいます。

真っ黒なデメキンもいました。


蝉の大合唱の中で過ごす 夏休み中のおばあちゃん家のごくごくありきたりの…平凡な平凡な何気ない1日のひとコマです。



ごくごくありきたりだったはずのあの日の事が…この歳になると かけがいのない、とてつもなく愛おしい時間だったんだな…と思い知らさせるのです。


もしかしたら、今日過ごしたこの日が…後になるとかけがいのない1日だったと振り返ることになるかも…しれません。。










  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る