ずっと一緒に 前編

最近ご主人様の体調が優れない。

変化はご主人様が来て半年が経とうとした時のことだった。

その頃から熱が出てご主人様は元気がなくなってきている。

それでもご主人様は私に心配を掛けないようにと振る舞ってくれたが最近は目に見えて元気がなくなってきている。

「ご主人様、ご飯食べられますか?」

私は火が怖いのでご主人様のようにお料理が出来ないのでジャパリマンを差し出す。

「ありがとう、イエイヌ・・・。それと、ゴメン。最近は一緒に遊んであげることも出来ないし家事も任せっきりで・・・。」

「気にしないでください、ご主人様。ご主人様は元気になることだけを考えてください。」

「・・・ああ。」

そう言ってご主人様はジャパリマンを一口食べるがむせてしまう。

「ご主人様!」

私はご主人様の背中をさすってあげる。

「・・・ありがとう、イエイヌ。楽になったよ・・・。」

そう微笑むご主人様の顔はやつれていて見ていて痛々しい。

「ご主人様。やっぱり、かばんさんに診てもらいましょう?かばんさんならどうにかしてくれるはずですから・・・。」

かばんさんとはジャパリパークに住んでいる“ヒト”だ。

かばんさんはいろいろ出来るのでもしかしたらご主人様を治してくれるかもしれない。

「・・・外はセルリアンがうろついているだろ?こんな状態の俺じゃイエイヌの足手まといになってしまう。」

「私がご主人様を守ります!」

そう言う私にご主人様は手を伸ばして頭を撫でる。

「ありがとう、イエイヌ。でも、無理をすることはない。俺はお前が危険な目に遭うのが嫌なのだから・・・。」

「でも・・・!」

「大丈夫・・・。じきに良くなるさ・・・。」

ご主人様は笑いながら言う。

だけど、ご主人様の体調はそれからも悪くなるばかりだった。


ある日の夜。

私は物音に目を覚ます。

音がする方を見るとご主人様がベッドから落ちていた。

「ご主人様!?」

私はご主人様に駆け寄る。

ご主人様を抱き上げると体が熱かった。

「そんな・・・。とても熱い!?ご主人様!ご主人様!!」

ご主人様に呼びかけるがご主人様は一向に起きる気配はない。

「どうしよう・・・!どうしよう・・・!」

その時、ご主人様の口が動く。

「い・・・イエイヌ・・・。」

「ご主人様!?」

「イエイヌ・・・こわい・・・死にたく・・・ない・・・。」

「・・・。」

ご主人様も本当は不安だったんだ。

私に心配を掛けまいと気丈に振る舞って・・・我慢して・・・。

「ご主人様。イエイヌはここに居ます。それにご主人様は絶対に私が助けます。」

私はご主人様を抱きしめる。

「イエイヌ・・・。」

ご主人様は安心したように一言そう言うと眠りに落ちた。

私はご主人様をベッドに寝かせ毛布を掛けてあげる。

「待っていてください、ご主人様。私が必ず助けます。」

私はご主人様を助けるために家を出るのだった。

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