第14話
その時、ドアがガタガタと鳴り始める。
「・・・話は後にした方が良いですね。」
「・・・はい。」
僕はガタガタと鳴るドアを睨み付ける。
しばらくすると、ドアは軋み始める。
そして、壊れた。
「・・・!」
シルビアが声にならない叫び声をあげる。
壊れたドアを踏み越えて現れたのは大量の人形だった。
「・・・ショウマ殿、このままでは怨霊たちに捕まってしまいます。多少大変でしょうがあの人形たちを蹴散らしつつ正面突破をしよう。」
キサラさんに取りついたコウさんが提案してくる。
「でも・・・。」
「このままこの部屋に居ても怨霊たちに捕まるだけです。ならば、多少の危険を冒してもこの部屋からの脱出を優先するべきだ。」
僕は少し考えた後に頷く。
「わかった。僕が先頭で道を作るからみんなは僕から離れない様について来て!」
僕は盾を構えて腰を低くする。
次の瞬間、狙いすましたかのように人形たちが殺到する。
「行くよ!」
僕は盾で人形を殴りつけるように前進する。
先頭に居た人形は殴りつけた衝撃で後方の人形にぶつかり動きを止める。
その隙に僕たちは部屋の外に飛び出すのだった。
部屋から出てからも人形たちは僕達を追っている。
「コウさん!どこか隠れるところはありませんか!?」
「残念だが、この館には隠れる場所はない!このままこの館の主の所に向かうぞ!」
「館の主って!?」
「メリッサ・マルグレーラだ。彼女を解き放つことが出来ればこの怪奇現象は収まる!」
そう言ってコウさんが指を指す。
「メリッサはこの館の奥・・・当主の書斎に居るはずだ!」
すると、前方にも人形が現れた。
その手には鋏や鎌が握られている。
「・・・凶器まで持ちだしてきたよ、こいつら!」
僕は悪態をつきながらも盾で応戦する。
「あと、少しだ!」
そうして、人形たちの猛攻を退けながら辿り着いたのは重厚な扉だった。
僕はその扉に勢いよくぶつかり押し開く。
「・・・早く閉めて!」
僕は後ろのマリアとシルビアに言い放つ。
人形はすぐ近くまで迫っていた。
「・・・くっ!」
マリアとシルビアは重い扉を押して閉めて行く。
『ふふふふふふふふふふ・・・!』
あと少しという所で人形の一体が扉の隙間から入ってきてマリアに鋏を突き立てる。
「危ない!」
僕は間一髪でそれを盾で弾きもう片方の手で人形を鷲掴みにして地面に叩きつけた。
『ふふふ・・・。』
人形は陶器で出来ているようで地面に叩きつけると粉々に砕けた。
そして、不気味な笑い声を上げるがその声は虚空に吸い込まれるのだった。
「・・・ありがとう、ショウマ。」
「気にしないで・・・。」
僕は尻もちをついたマリアの手を引いて立たせる。
「・・・みんな、気を付けろ。」
コウさんの硬い声が聞こえたと思うと部屋の奥から三人の人影が現れる。
「・・・お兄様!?」
人影の正体はアルスとソーマさん、カーラさんだった。
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