学校

翌朝、春香を学校に行かせる準備をしていた。優は保育園に預けることにした。

朋子は用事を済ませるとお店の時間まで寝ることにした。


わたしは久々にママと学校に行く。

校門でバイバイしながらママの背中を見送る。予鈴が鳴り慌てて教室に向かうと席につく。

「おはようございます」

担任の木村はみんなに挨拶をすると元気よく生徒たちが挨拶をする。

わたしは学校に来るのが1週間ぶりだ。

お風呂に入れてないせいか、少し臭い。

みんながわたしを指差して臭いといい出す。

「こら!村木さんは風邪でお休みしていたんですよ!そこ、指差さない!」

先生はわたしが学校に来れなかった理由を知っているのに風邪だと言ってくれた。

「では国語の教科書出してください」

授業が始まる。


給食の時間になり、久々に温かいご飯が食べられて幸せだった。

今日はパンが出た。

スープも美味しい。

給食で残ったパンは先生がビニール袋に入れて帰りに持たしてくれた。


放課後、緊急職員会議が開かれた。

「村木さんは今日、学校に来てましたね」

校長先生が口を開く。

「はい、今日は来てました」

「木村先生、大変でしょうが1度村木春香さんの母親を学校に呼べませんか?」

木村夏美は考え込みながら思い返す。

あの母親はきっと来ないだろう・・・。

「村木さんのお母さんは夜、お店があるそうなので昼間は来れないそうです」

聞き苦しい答えだが、そう答えるしかない。

「そうですか・・・」

校長はタメ息をつくと、こう提案した。

「では、家庭訪問しかないですな」

「会ってくれなかったら・・・」夏美は言う。

「もしかしたら虐待にあってるかもしれないんです!児童相談所にも私から伝えましょうか、木村先生!」

児童相談所・・・。

あの状態は育児放棄だ。

児童相談所に入ってもらうしかない・・・。

「わかりました、校長先生。再度私が確認してみます」

夏美は少し強い口調になった。

校長は頷く。

翌日、村木春香は休みの電話をいれてきた。

「ごめんなさい、先生。今日は行けません」

夏美は何があったのかを聞こうとする前に電話は切れた。


わたしは学校に行けなくなった。

ママから顔面を殴られたからだ。

ジンジンと痛む顔をおさえる。

ママが留守中にガスを使おうとしたことを話したら、いきなり殴られた。

「わたしのいない時にガス使って火事かなんか出してみろ!?追い出されるだろ?!!」

わたしの髪を掴み、振り回した。

「今日は学校に行くんじゃねーぞ!今から電話しな!余計なこと言ったらこうだからね」とタバコを背中に押し付けてきた。

悲鳴をあげるとまた殴られた。

「静かにしろ!」と蹴られる。

先生に電話してる最中、ママが見張ってる。助けてって言えない。

今日行けないことだけ言うとすぐに電話を切った。

ママはフン!と言いながらリビングを出る。

「お姉ちゃん、大丈夫?」

弟が泣きそうになりながらわたしのもとへ歩いてくる。

怖かったのだろう、ママの剣幕が。

「うん、大丈夫だよ。」

弟を抱きしめた。

「お姉ちゃん、お腹すいたよ」

「うん、昨日のパンあるから一緒に食べようね」

ランドセルから昨日の帰りに木村先生からもらったパンを出して2人で食べる。

形が少し潰れてしまったが、美味しかった。

食べ終わると、殴られたところを冷した。

数十分後、ママがタバコを吸いにリビングに入ってきた。

「春香、あんた達邪魔だから今日からおじいちゃんの家に行きなよ!今日からママ1人でここで生活するから。明日から学校行かなくていいから」

メモ帳におじいちゃんの電話番号を書き、メモを残してママはリュックに必要な服や下着を入れてソファの下に置く。

ママはどこかに電話を掛けている。

「あっ、もしもし、朋子だけど。今からそっちに行くから子供達預かってくれない?仕事の邪魔なんだよ!孫に会えて嬉しいだろ?」

ママはそう言って電話を切る。












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