ゆうちゃんとわたし

ママの置いていったお金は1000円札が2枚で弟を連れてスーパーに向かう。

「もうこれだけだからね」

弟に欲しいものをねだられても、泣かれても買えないものは買えない。

わたしはパンとカップ麺を買う。

ガスくらいならつけられる。

パパがいた頃、よくカップ麺を食べていたからガスのつけ方、お水の出し方くらいはわかる。お風呂だって沸かすことも出来る。全部パパに教えてもらった。

「1560円です」

スーパーのお姉さんが金額を言う。

1000円札2枚出し、お釣りをもらう。

お金のやり取りもまだパパがいた頃、ママと一緒にお買い物に行ったりしていたからわかる。

買ったものを袋に入れるとスーパーを出る。

スーパーから家まで5分だからまだ困ったことはない。食べることに関しては・・・。困ることは風邪をひいた時だ。

風邪薬を買いに薬局まで行くが、お金が足りなくて買えなかった。

スーパーでたくさん買っちゃったから。

ママがいつ帰ってくるかわからなかったので、とりあえず学校にお休みの電話をして弟の面倒を見る。

翌日になっても、その次になってもママは帰らなかった。

「寒いよ・・・」

弟は熱を出してて体が冷たい。風邪をひくとよくママが頭にアイスノンをしてくれていたので覚えてる。

すぐに冷凍庫からアイスノンを出して弟の頭に乗せる。体は暖かくするように毛布をかける。

体温計で熱を計ろうとしたが見当たらない。医者を呼びたくてもお金がないし、ママにバレたら怒られる。

なんとかパンを食べさせ、牛乳を飲ませ横にすると、吐いてしまった。

ママに怒られると思い、すぐに片付ける。

「ゆうちゃん、大丈夫?」

すぐに着替えさせて汚物を片付ける。

弟のゆうちゃんは、ゲホゲホいいながら横たわる。

換気をしようと思い、窓を開ける。

夜空が広がり、少し冷たい風が吹く。

「ちょっと寒い・・・」

少しだけ窓を開けることにして、弟の面倒を見る。

ママは今日も帰ってこない。

お腹がすいた・・・。

3日目の朝になってもママは帰らなかった。

お腹すいた・・・。

カップ麺を食べるためにお湯を沸かそうとヤカンに水を入れる。ガスをつけようとするが中々つかない。

ガスが止まっている・・・?

カチカチいうだけで火が出ない。

仕方ないので、カップ麺の麺だけを食べることにした。スープは水に溶かして飲みながら乾麺を食べた。

「お腹すいたよぉ」

弟はムクリと起き上がる。

「ゆうちゃん、これ食べる?」と乾麺とすぐに水に溶いたスープを渡す。

「ゆうちゃん、違うの食べたい!パン食べたい!」

パンはもう食べ尽くした・・・。

スーパーへ行きたいが服が臭い。

新しい服に着替えて髪の毛をとかすと弟を連れてスーパーに向かう。

残りのお金が440円、パンしか買えないな。

弟の分だけ買いに行くが、わたしもお腹が鳴るほど空いている。

食パンを買って帰ろう。

家にジャムがあったはず・・・。

歩いてると家の前に女の人が立っている。

「先生!!」

駆け寄ると担任の木村先生が心配そうに見ている。

「村木さん!どうしたの?」

「パンを買って来たんです」とスーパーの袋を見せる。

「お母さんは?」

「居ないです」

家に先生を招き入れる。

「ずっと学校に来ないから心配してたのよ」

「ゆうちゃんがいるから、あっ、弟がいるから学校に行きたくても行けないの。ママもどこかに行ってるし」

冷蔵庫からジャムを出しながら言う。

パンにジャムを塗ると弟に手渡す。

「お母さん、いつ帰ってくるのかな?」

「わかんない」

「えっ?!」

担任の村木は驚く。

「とりあえずお母さんが帰ってきたら学校に電話するように言ってね」

そう言うと、そそくさと帰っていった。










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