第15話 前世の記憶

「ごめんね。

 俺、生まれ変わったら絶対に女の子になるって、あの時涼太と約束したのに。

 せっかく女に生まれて来られたのに、どうしてこうなっちゃったんだろうね。」


「いいんだよ。謝らないで。

 羽根の前世の記憶では、羽根は次は女の子で生まれてくる約束を僕としたんだよね。


 僕はこう考えることにする。

 僕も羽根も前世で男だった。

 前世で恋人同士だったの。」


「男同士の恋人?」


「そうだよ。全然おかしなことじゃない。

 それは羽根だって知ってることだよね。

 男同士の恋人だって、

 女同士の恋人だって、

 男女の恋人だって…同じだよ。


 だけど、昔は違ったね。

 いろいろな人に色眼鏡で見られたし、両親にも兄弟にも反対された。


 だから、羽根は次は女の子に生まれてくるからって。

 だけど、羽根は前世の記憶を持ったままだったから、自分が男の子だか、女の子だか、わからなくなっちゃったんじゃないかな。


 僕は

 羽根が男の子でも女の子でも

 男の子でも女の子でもなくても

 愛しているよ。

 僕は羽根を愛してる。」


「俺も涼太を愛してる。


 俺バカだよね。

 せっかく女の子に生まれてこられたのに前世で男だったことを忘れられずにいるんだから。」


「バカじゃないよ。

 ちゃんと僕に逢いにきてくれた。

 顔に印までつけて。

 ありがとう。」


 涼太が羽根の涙を拭い、えくぼに触れて二人はキスをした。

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