第11話 涼太と羽根のジェンダー

 僕の名前は涼太。

 性別は男。

 実は羽根に打ち明けられたことがある。

 自分が女の子だか男の子だか、わからなくなるということ。

 それはたぶん羽根の両親と僕しか知らないこと。

 教えてくれたのは、僕が中1で羽根が中2のころだった。


 僕と羽根は学年は1つ違うが、幼稚園のころから家族ぐるみで親しくなり、羽根は一人でうちの喫茶店にもよく遊びに来ていた。


 最初に聞いたときに羽根の身体は女の子だけど、心は男の子なのかな?そう思ったんだけど、そうじゃないらしくて。

 身体は女の子だけど、心は女の子のときもあるし、男の子のときもあるらしい。


 しかも、俺といるときは心が男になることが多いと聞いたときには、遠回しに僕には恋愛感情が持てないと牽制されている感じはしたにはしたけど。


 そう聞かされてからも二人の関係はなにも変わらなかったし、その話題になることもそれ以来なかった。



 俺の名前は羽根。

 自分が男なのか女なのかわからない。

 小さいときから性別についての違和感はずっと感じていたんだけど。


 涼太といると、本当にわからなくて。


 わからないというより、涼太といると自分の気持ちは男よりになるんだと思う。だから、自分のことを俺と言ってしまう。


 でも、俺は涼太のことが好き。

 男として、男の子の涼太が好き。恋愛感情がある。


 自分は女の子で生まれてきたんだから、女の子として涼太のことを好きになれればいいのに。

 俺は男の子として、涼太のことが好きなの。

 ずっーと前から。

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