第10話 優子と羽根

 イルカショーが終わった。

 優子が席から立ち上がり、

「涼太、明日また学校でね。」

と言った。

 僕も

「気をつけてね。」

と声をかけた。


 僕と翔と羽根と3人で優子を見送ったあと、羽根がトイレに行くと言ったので、僕と翔は館内のレストランで待つことにした。

そのときに羽根と優子が話しているのを見かけた。

 羽根が僕と翔以外の人…しかも同世代の女子とあんな風に親しげに話すところを久しぶりに見たような気がした。


 次の日。

 いつもどうり羽根と翔の校門前で待つ僕。


「羽根なら先に帰ったでー」


翔の声が聞こえた。


 羽根に何かあったのかと心配する僕に


「昨日あった優子ちゃんと約束があると言って急いで帰ったんや。

 涼太のことは俺に任せると頼まれたから、煮るなり焼くなりしてさしあげますよー」


翔がそう言ってニターと笑い、僕の肩を慰めるようにというよりは面白がるように2回たたいた。

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