第9話 新たな出逢い

 水族館。

 羽根がキラキラした笑顔で魚を見ている。

 僕は羽根が喜んでいる姿を見られて大満足。翔が何を思って僕らといるのかはわからないけど、この関係が続けばいいのかなと僕は思っている。

 イルカショーの見学に移動したときに僕は声をかけられた。


「涼太?」


 同じクラスの優子だった。

 優子は物をはっきり言うタイプでクラスメイトの中には敬遠するやつもいたけど、僕は優子のサバサバした性格が嫌いではなかった。

 優子は約束をしていた友人が来られなくなり、一人で水族館に来たと言い、自然なカタチで僕らと一緒にイルカショーを見ることになった。


「一緒に来る予定だった友人て、もしかして彼氏さんですか?」


4人でイルカショーを待つ間、翔が優子に声をかけた。


「そうですね。

先ほど友人とあなたたちに言ったのは確かに嘘でした。でも彼氏ではないです。お付き合いをしている女の人です。」


優子は少し間を置いてから、話を続けた。


「私は女だから付き合うのは男の人が当たり前で、彼女がいたらおかしいと思いますか?


…なんて初めてあった人にそんなこと聞く私はどうかしてましたね、ごめんなさい。」


優子は翔に謝罪し、にっこりと笑った。


 僕と翔はお互いに顔を見合わせたが、羽根は優子の顔を見つめ何かを言いたそうな顔をしていた。


 観客の歓声を合図に、イルカショーがはじまった。

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