第6話 翔

 今日もいつもどうり羽根の高校の校門前で待つ僕。

 実は僕もこの高校を受験している。

 でも、残念ながら不合格だった。


「涼太、待たせてごめんね。」


「こいつかー噂のイケメンくんは。」


 羽根ともう一人の声が聞こえて、僕はスマホの画面から顔を上げて声のする方を見た。


 羽根の隣に男‼

 誰なんだこいつは!!


「羽根…さんと同じクラスの翔です。

 クラスのやつらが羽根の彼氏が校門に迎えに来てるって言ってたもんで付いて来たんやけど…ほんまやったんですね。

 羽根は彼氏がいるようなキャラじゃないと思ってたんで、つい見にきちゃいました!」


「彼氏じゃないから。」


 羽根がそう答えた。


 重い沈黙の後、それをかき消すかのように関西弁の翔が喋り始めた。

 翔の第一印象は最悪だった。

 けれど、最悪だったのは第一印象だけで、その後羽根と僕と翔は3人でいるのが当り前のような関係性になっていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る