第5話 涼太の寝言

「ただいま。」


 僕は母と兄との3人家族。

 僕が小さいころに父は病で亡くなっており、母と兄は自宅の1階で喫茶店をやっている。

 二人は店にいるので、ただいまと言っても返事はなかったが、帰ったら父さんの写真に挨拶するのが習慣になっている。

 そして僕はリビングのソファに座りため息をついた。


 羽根のこと怒らせるつもりなんてなかったんだけどなー


 僕はいつのまにかソファでそのまま眠ってしまったらしく、下の店の方から聞こえた賑やかな声で目を覚ました。


 どれくらい眠っていたのだろう?

 僕は夢を見ていた。

 それは天使が…

 天使が?

 思い出せない、天使がどうしたんだっけ?


 すると突然羽根の声が聞こえた。


「おい、涼太。

 お前さー、よだれ垂らして、しかも寝言で天使がどーのこーの言ってたぞ」


 クッションを抱えた羽根が僕の顔を覗きこみ、そう言ってイタズラに笑った。

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