第17話:GSOMIA
東京国に隣接する「千葉国」にはGSOMIAという軍事情報包括保護協定というものがある。その失効の回避と維持というものを今回、千葉国の王より通達があった。
お互いの国にとってあまり仲がよろしくない状況である。植民地問題や慰安婦問題など、計り知れない当時の戦場のことについて、未だに揉めているというのだ。
秋葉王はパレードの襲撃によりセレモニーを一時中断したが、次は「桜見る会」ということで4000人の名簿を提出した。これによって、千葉国の王との歩み寄りを測る寸法であった。
「季節はまだ秋から冬にかけてなったばかりだというのに」
気持ちの早い会だと思われた。しかし、そんなことはどうでもいい。
「歩み寄りによって、壁の問題も解決できるといいのだが」金成は思った。
彼はチョコレートを頬張った。美味い、と感じた。
「ちょっとやってみるか!」彼はハローワークへと向かった。
ここには仕事を求めて来る客が多い。何より失業保険だ。
失業保険は申請から1週間後に受講し、さらに2週間以内に失業認定日とされる。それまでの期間に内定を決めたりすると、失効になる可能性もある。何より、受給資格条件としては「働く意思」があるかが大事であるし、活動しなければならない。
「活動はいい。だが思うに、この国の人々は働きたくないと考えている」
楽して金稼ぎができれば、それに越したことはない。しかしそれが現実できない。
40代の中年男性がいた。彼をターゲットにしようと考えた。
「おっさん、お金に困っているかい?」
「なんだ君は?」
「俺はおっさんの救世主」
「え?ふざけたことを言って無いで、そこをどいてくれ。俺は事業に失敗し、ここに来たんだ」
「へえ、どんな事業?」
「商店街で八百屋をやっていたんだ。突然ネオンとかいう巨大ショッピングモールが現れて、客が全部そっちに流れてしまったんだ。あいつら・・・」
ピンクの看板の目立つネオンモールは地域活性化に一躍買っている。しかし、その反面、商店街と呼ばれる古くから地域に親しまれる人々からは妬まれやすい。
出店するなと抗議する年配もいるが、それはお門違いだ。時代の変化に対応できなければ、衰退の一途を辿るだけなのである。
「おっさん、いい金儲け教えてやるよ」
「何をするんだ?」
「現代のカツアゲ」
「え?」
「NISAのことだよ。株式市場で大金持ってる奴らから金を巻き上げる」
おっさんに交渉を持ちかけた。
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