第15話:デモ行進

 中央区では一時騒然となった。

秋葉王に怪我はないようだ。しかし、この爆発を元に一斉にデモ隊が「弓」を使って、警察隊や王護衛隊に向けて矢を放ち、火炎瓶などで応対する。

 警察隊も催涙弾や実弾発砲などで応戦するも、魔法使用対象外区域のため、兵器に頼るしかない状況であった。

「これはまるで戦争だな」

 国家の存亡の危機とでもいうべきか、王制度に対しての不満を持つ者は結局のところ壁を隔てたとしても、この貧富の差が無くならない限り、制度改革に於いて、特に将来を担う学生デモが圧倒的に多いというものであった。

 金成は戦いには慣れていなかった。この場は逃げるしかなかったのである。

「俺はまだ戦う時というものを、直感できぬ」

 正を以て合い、奇を以て勝つ。そういう言葉もあるが、それ以上に「形・節・勢」というものが大切だなということを考えていた。

 金成にはまだ土台というものがまるで出来ていなかったのである。


 鎮圧させるのにそう時間はかからなかった。あくまでデモ隊というものは素人の集まりであり、装備もろくに準備されていなかった。一方の王護衛隊はまさに「殺しのプロ集団」ともいえる者である。格闘もそうであるが、武器の取り扱いなども長けている。魔法が使えなくても、その身体差は圧倒的であった。

 デモ隊の多くはその場で殺害され、また学生拘束というものも適用された。

多くの学生、数にして260人以上が一斉に拘束された。

「はぁ・・・こいつら独房に入れるのに税金かかるのか~」

 市民は吐露した。無駄な税金、無駄な損害。百害あって一利なしか。

しかしこういった声を上げることに犠牲というものは暇がないというのでもあるが、市民の心情としては「お金」や「生活」を優先としているのだ。

「お金に支配だけはされたくないな。そして時間、情報、宗教か」

 4つの壁を意識するのであれば、まずはお金という問題を何とかしなければならないのである。お金という問題を・・・。

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