第14話:パレード

パレードというものが行われていた。

警察官も厳戒態勢で挑み、飛行機搭乗の検査よりも厳しい金属探知機を催した。

しかしこの世界では「科学」だけでなく、「魔法」も有されていた。

魔法の使用禁止に伴い、呪術式魔法により、一定の空間に入ると「魔法」が使えないような状態になったのだ。

要するにその土地から出なければ、一切の魔法が使えない状況である。

戦場に於いてはこれほど便利な呪術式魔法もないものであるが、それはあくまで「対魔法」だけであり、科学や武器には無関係である。

パレード中にも警察官と押し問答をした60代ぐらいのスキンヘッドの男性がいた。

何故持ち物検査をされないといけないのか!と激怒した様子であるが、そういった人物に関してはこういった式典イベントの範囲には立ち寄らない方が妥当であった。

金成も近くに通ったので、持ち物検査を行い、中に入った。

既に大勢の人がその場にはいた。非常に窮屈な環境であった。


この日は晴天だ。あと、窓から見ることは禁止されていた。落下物などで人に怪我を与えてしまうということもあるのと、狙撃手防止というものもあるだろう。

順調に国王陛下がオープンカーに乗って、手を振りながら回った。

何としても国王陛下に近づきたい金成であるが、この群衆と警戒態勢の状況では不可能であった。

「よく見えないが、あれが東京国の王『秋葉王』か」

テレビでは何度も観たことがあるにしても、こうやって垣間見るのは初めてであった。壁を唯一取り除くことができるのは王同士の結託以外にはないのだ。しかし現在どこの国も冷戦状態にある。とてもではないが、それは実施不可能になる。

「世界は平等というものを望まないからな」

金成にとっては悩ましいことであった。「天は人の上に人を作らず、下にも作らぬ」有名な言葉であるが、それは今となっては格差社会に響かない言葉となった。

王とコンタクト取れるのがいいがな~、そう思ってた時であった。


突然、地面が爆発した。

爆風が一気に巻き起こり、付近にいた多くの人がその爆風に巻き込まれ、命を落とした。

鮮血と肉片が一気に飛び散り、地獄と化した。

まさに、内乱の始まりである。

しかし、何故事件は起きたのか?

おそらく、魔法ではない、これは事前に地下に仕込まれていた爆薬を使用したのだろう。ピンポイントで、時間くっきりに狙ったものとみられる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る