第9話:NISA②
そうは言っても難しいのはNISAの特徴である。だが、やり遂げれれば、それは強力な武器となる。
「NISAは現代版の合法的なカツアゲ方法と言ってもいいぐらいだ」金成はNISAをそう例えた。カツアゲと言えば、イメージとしては男子高校生4~5名ぐらいが、会社員を脅して財布からお金を抜き取るイメージがある。それに似ているというのが彼の考え方であった。
「株取引にはマンモスファンドと呼ばれるものから銀行、資産家、そして個人投資家のデイトレーダーと言ったものが多い。FXには主婦にも人気だ。ほんの少しの時間でお金が稼げるということだ。だが、それは単なるまやかしに過ぎない。現実は9割が負ける事実、その負けた者が1割の勝者からカツアゲされていると同意語なのだ」深い話になるが、実際のところ、お金を稼ぐということは誰かからそれをカツアゲする行為でもあるのだ。
「つまりNISAというのは、カツアゲする覚悟がないと勝てないと?」
女子中学生は怖くなってきた。自分はそういうつもりはなく、ただ単に楽して金稼ぎをしたかっただけなのかもしれない。
「うち、母子家庭なんでお金がないんです。欲しいブランドやお店にだっていけない。うちが貧乏なんで、何も望めるものがないんです」
「既に階級制度に犯されてしまっている。君は残念ながら今のスタートラインは一般的な・・・いや、一般的という表現はおかしいな。1割の人間に搾取された側の人間ということになる」
「どうすればいいの?」
「それは自分で考えることだな」
「お願い、教えてほしい!」
女子中学生は金成に教壇に立てと言うことを乞うている。
しかし、金成はそれは拒否する。
「俺にはそんな力はない。それにね、消費者と生産者の違いってわかるかい?」
「わからない」
「まあそうだろうね。消費者って言うのはお金を払って対価を受け取る者、生産者は能力を払ってお金を受け取る者。払う側と受け取る側の違いだ。君は受け取る側になりたいのだろう?ならば、その対価に見合ったものを支払わなければならない」
「例えば何を・・・?」
「分かりやすいのは風俗だな。身体を売ることによって、対価(お金)を受け取る。しかし君はそれをしてしまうと援助交際ということになる。それは残念ながらおすすめしない。自分を大切にできないやつに、幸せになる資格はないのだよ」
金成のいう言葉には、彼の所謂思想的哲学が含まれている。
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