第6話:法律とルール

他国に住めば、そういった税金問題についてもある程度の考慮があるものである。隣国の千葉国に関しては、まだ扶養家族制度というものがあったりもするのだ。国によっては法律もルールも異なってくるのだ。

例えばお酒である。お酒は20歳以上の国もあれば、21歳から、18歳からという条件が存在する。しかし、これはあくまで国が定める法であって、その個人が酒を飲んで人体に影響が出る基準値にはならないわけである。法律上、あくまでも、このぐらいの年齢が人体に悪影響を及ぼさないと考えられているが、生物学の理論でいくならば、20歳1ヶ月と19歳11か月とではたった2ヶ月しか変わらないが、後者は法律違反になってしまうという、良く分からない社会ルールが存在するのであった。

では、そういったルールを無くせば、人々は幸せかと言えば、そんなことは無かった。4つの壁にもあるように「宗教の壁」というものが存在している。これは4つの壁の中でも一番やっかいな壁であり、3つの壁をクリア出来ても、この最後の難関が全てを「無」に返すぐらいの勢いで、襲い掛かるものである。

それだけに「世間の目」であったり、夫婦間の「価値観」というものは一瞬にして、その人を「世間的に裁く」ということになる。夫婦間であれば、10年間結婚生活を送っていても、他者の一方の不貞行為がその10年間の円満生活をわずか1日足らずで奈落の底へと叩き落す程の強力な「壁」となって、人々を苦しめた。

だがこれらは全て必要なことであった。この法が無ければ、無法地帯となり、度々に争いが起きるからである。それに嫌気した「神」が今回お創りになった目に見える壁もまた、この無法に秩序を与えるきっかけとなったに過ぎないからである。


金成は思った。

「要するに勝てば官軍負ければ賊軍だな」と、世間は多数決だ!という理論を考えたのである。誰も見ていぬところで裸で外を歩いても、誰に迷惑をかけるわけでもなく、警察に捕まることはない。しかし、それを誰かに見られている、もしくはSNSに上げる行為は公共の周囲の目というものがあって、初めて法律というものに抵触するものであると考えたのだ。他者に迷惑の掛からない行為は、例え法で禁じられていても、神様はそこまで目を通していない以上、グレーゾーンであるということもまた事実である。これを「世渡り上手」とも言うのだろう。

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