第2話:金成

金成は自宅に戻り、屋敷の中にある水晶に手をかざす。

水晶は彼に問う。「どのスキルを会得するか?」

金成は悩んだ。「最初に得たいスキルは、そうだな。予知能力だな!」

「何故その能力を選ぶのか?」水晶玉は金成を追求した。

「何故って、そりゃあ未来の情報って誰もが欲しいものだろ?それを俺自身が持ってりゃ、どの占い師や預言者よりも百発百中だぜ?悪用すれば勿論金儲けに走るっていう手もある。だが、これはそのために使うものじゃない。俺の野望はただ一つ!日本国の壁を~~ぶっこわあす!」

それはまるで、NTKの集金者に対して、テレビがうちはありません!と主張するのに、いやテレビがなくても最近は携帯やその他の端末からでも見れるので、支払いは国民の義務ですよ!と言わんばかりのNTK集金野郎に対しての「ぶっ壊す!」を主張するかのごとくであった。金成は非常に単純であった、神様同様。


金成は「予知能力」を手に入れた。金成はスキルマスターを目指している。この水晶玉は無償で能力を提供してくれるわけではない。金成がその能力を使って、多くの人の感謝の声をもらわなければ、このシステムは成り立たない。だから、悪用してしまえば、能力はそこで頓挫してしまい、彼のスキルマスターへの道は閉ざされるのだ。

周りの人も、それなりの能力を持っている。しかし、金成は何故か特別であった。本来能力は一人一つまでのところ、彼のみが能力を複数所持することができたのだ。それは何故なのか?その答えは、おそらく彼がこの物語の主人公であるからであろう。

逆に言えば、一人一人が物語の主人公でもあるのだが、この物語は彼が主体となっているからそうなっているのである。でなければ、この状況を何と説明すればよいというのだ?

ただし先程も言ったように条件がある。多くの人の感謝の声を水晶玉に届けなければならない。悪用しても、その分声は届かない。自分自身の命が危なくなったとき以外は基本的には声を届けるように尽力するというのが、金成の考え方であった。


彼はさっそく何かを予知できないか、新聞に目を通してみた。

彼は予知能力を使って、明日のニュース番組を見ることにした。

そこに書いてあった記事は「動画配信中に雪山から一人の女性が転落死」という記事であった。

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