第16話 佐奈専用のお部屋でⅠ
私と佐奈は佐奈専用のお部屋へと戻ってくると、二人は
見つめ合いだして口付けを交わすのでした。
「佐奈、私もう佐奈の口付けで蕩けるけど、
おかしくなる事はなくなったよ」
「あらっ、そうなのね、それは残念ね」
「残念ってどういう事なの、佐奈」
「それはね、あの姿の楓は可愛いからよ」
「むぅっ」
「あはははっ、楓はいつも可愛いね」
「そうやってごまかさないで」
そういえば、私が蕩けて崩れる所はもう一人の佐奈しか知らないはずだよね。
どうして今出ている佐奈が知っているのかが不思議でしょうがなかった。
ここは質問してみようかと思います。
「佐奈、聞きたい事があるんだけれど、どうして私が蕩けて崩れるとか
知ってるの? もう一人の佐奈は知ってるけどさ、今の佐奈は知らないよね」
「えっ、それはね、もう一人の佐奈が私に情報を教えてくれてるのよ」
「本当にそうなの?」
「どうして疑うのよ、本当だよ」
「本当の本当に?」
「本当だから信じてよ」
「それにね、佐奈が精神的な病気って信じられないの」
「ど、どうしてよ」
「だってさ、明らかに私の事をよく知っている素振りだし、
それにそういう病気にかかっていると私とは初対面に
なると思うけどね」
「初対面だったじゃない、覚えているでしょ」
「ううん、私と馴れ馴れしくお話をしていたよ」
「あれ、そうだったけかな」
「そうだよ」
今出ている佐奈はもう一人の佐奈と同じ感じがしてなりません。
それに佐奈がそういう精神的な病気を抱えているのも不思議でしょうがないし、
あれだけ元気で明るい人が病気というのは信じられません。
私は佐奈の事をじっと見つめていると
「佐奈、いい加減に本当の事をお話をして」
「本当の事って何よ、楓」
「嘘や偽りはしないでって事」
「はぁっ、バレたら仕方がないね」
「何よ、その開き直りは」
「佐奈の言う通り、私は精神的な病気なんてないし、
健全な健康体よ」
「どうして病気って言ってもう一人の佐奈として演じていたの」
「それは………………楓にとっての大きな試練だったのよ」
「大きな試練って言って欲しかったよ」
「あのね、言ったらさ、試練にならないでしょ」
「うっ、そ、そうだね」
佐奈が言うには大きな試練という事がわかったけれども、
それでも説明くらいはして欲しいと感じました。
説明くらい受けていれば、私だって佐奈の事を疑うというか
不思議がる事もなかったと思います。
「私は大きな試練には合格したの?」
「ええっ、見事に合格よ」
「もしかして恋愛を教えてもらうのはもうおしまいなの?」
「そうね、一旦はおしまいかな」
「そっか、残念」
「でもね、佐奈がどうしても恋愛というので気になる事が
あるなら教えるわよ」
「うん、そうしてくれるとありがたいかな」
「じゃあ、大きな試練を乗り越えた楓にはご褒美をあげないとね」
「ご褒美………………」
佐奈からのご褒美は何がいいのかを私は頭の中で考えていると、
ふと思いついた事があるけれど、言っていいのかなって思います。
でも、ご褒美をあげないとねって佐奈は言ってるんだし、
ここは勇気を出して言わないと意味ないよね。
「ご褒美はね、佐奈と正式な恋人になりたいです」
「ええっ、いいわよ、喜んで」
「やった~! 嬉しいよ、佐奈」
私は佐奈に歩み寄ると佐奈の唇に口付けをするのでした。
「楓ったら、積極的じゃないの」
「うん、もう恋人だからね」
「私も恋人になれて嬉しいよ」
私と佐奈は恋人になる事が出来たけれど、私の計画はこれからです。
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