第6話、頑張れば誰でも神様になれる!? 日本という国

【神になった人々】


 神様として祭られているのは、秀吉や家康のような天下統一した人物だけではありません。


 神道の特徴として偉業を成しとげた人物、もしくは強い恨みを残し怨霊化した人物を神様として祭る事があります。 

 手塚治虫は漫画の神様として、例えられますが、この背景には偉業を成し遂げた人物は神として崇める、という神道の宗教観があるからです。


 実在した人物を祭る神社で有名なのは、陰陽師の安倍晴明を祭る晴明神社。

 明治天皇を祭る明治神宮。

 桓武天皇と孝明天皇を祭る平安神宮。

 織田信長を祭る健勲神社などがあります。


 また怨霊化を神様として祭られている中でも、特に有名なのは、日本三大怨霊と言われる菅原道真、平将門、祟徳天皇です。


 菅原道真は太宰府天満宮。

 平将門は神田明神。

 祟徳天皇は白峯神宮で祭られています。


 生前、勤勉だったと言われる菅原道真を祭る太宰府天満宮は、学問にご利益があると言われています。

 受験生にとても人気ですが、元々は怨霊を祭った神社だったのです。


 彼らは陰謀や策略、裏切りによって非業の死を遂げました。


 その後、都では疫病の流行や、嵐などの災害で大きな被害を受けます。

 そして、彼らの祟りだと信じた当時の人々は、怨霊を神様として祭る事によって、怒る御霊を鎮めようとしたのです。


 このように怒る御霊を静めようとする信仰を、御霊信仰ごりょうしんこうと言います。

 御霊信仰で最も有名なのは京都の祇園祭りでしょう。この祭りの起源は863年の事です。

 当時の人々は疫病の発生は、恨みや未練を残して死んでいった人々の霊の仕業だと考えていました。


 現代ならパンデミックやバイオハザードが発生すると、白い防護服を身につけた人や、国際対バイオテロ組織『BSAA』が突入してくるでしょうが、当時は医学が未発達なので神様に頼るしかなかったのです。


 そこで朝廷は怨霊の祟りを鎮める神事を行うのですが、その後、富士山が噴火したり、地震が起きたりと更に不幸な出来事が起こり、全く効果はなかったのです。

 そこで、朝廷は869年により徹底的に諸国の怨霊を鎮めるために、神事を大規模化させたのが祇園祭りの起源といわれています。

 令和元年には1150周年を迎えた、とても長い歴史を持つ祭りでもあります。

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