第4話、増えていく日本の神様

【仏教伝来】


 日本神話は神様の数がとても多いです。

 たくさんの女神と関係を持ち、日本神話で一番のプレイボーイ、大国主神だけでも約180神も子供がいます。

 大国主神の子供だけで初代ポケモンの数、151匹を超えています。

 

 さて、すでに日本は神様で溢れている状態なのですが、更に神様が追加される事になりました。

 それは仏教の伝来です。


 古事記制定よりも前、538年(諸説様々)に朝鮮半島にあった百済という国から、日本へ仏教が伝わってきます。

 更に710年、平城京に都が移り奈良時代になると、神仏習合という考え方が広がりました。


 神仏習合とは、日本古来の神々と、インドからやって来た仏教の仏は、同じ存在であるという考え方です。


 この思想が日本に広まった背景には、当時の天皇である聖武天皇が仏教に帰属したからです。

 そして、仏教の力によって国を守ってもらう鎮護国家を目指し、そうして造られらたのが、鹿だらけで有名な奈良公園にある東大寺の大仏です。


 神仏習合の影響で、神宮寺という神社に付属した寺院が現れます。また、神宮寺の逆バージョンで、寺院の中に神社を建てる鎮守社も出来ました。


 武士の時代である鎌倉時代から江戸時代までは、神宮寺は武家の守護神とされて、サムライ達の間でとても人気でした。

 しかも、寺院や神宮寺は幕府によって保護されたので、中世日本で数を増やしていくのでした。


【外国の神様がやって来た】


 仏教がもたらしたのは何も菩薩や如来といった仏様だけではなく、インドに古来からあるヒンズー教の神様や中国の神様など、外国の神様も入ってきたのです。


 七福神は有名なので誰でも知っていると思いますが、ほとんどが外国からやって来た神様です。

 ちなみに七福神は最初から七神いたのではなく、最初は恵比須と大黒天のペアで始まりました。

 後から他の五神を加わるのですが、日本由来の神様は恵比須だけなのです。


 それでは、他の七福神の出身地と本名を見ていきましょう。


・大黒天(商売繁盛の神様)、

本名はシヴァ。破壊、生殖、創造の神様。出身はインド。


・弁財天(芸術、芸能、お金の神様)

 本名はサラスヴァティ。五穀豊穣と学問の神様。出身はインド。


・毘沙門天(勝利の神様)

 本名はクベーラ。財福の神様。出身はインド。


・布袋(開運の神様)

 本名は契此(かいし)。実在したお坊さん。出身は中国。


・福禄寿(長寿、病気治癒)

 南極星の化身。出身は中国。


 中村光先生の漫画『聖☆おにいさん』の作中でも、七福神のほとんどが外国出身で辛い物が好きだけど、日本出身の恵比須は辛い物が苦手で味覚が合わないというお話がありました。


 また、外国出身の神様は七福神だけではありません。


 航海安全のご利益がある金比羅神社は、現在日本古来の神様である大物主神を祭っていますが、元々の主祭神は金比羅大権現でした。

 金比羅大権現の元は、ガンジス川に住むワニを神格化させたクンピーラが由来だと言われています。 


 また、お稲荷さんとして有名な女神の宇迦之御魂神ウカノミタマノカミと、インドからやって来たダーキニーは見た目が似ているという理由で、この二神はまとめて稲荷神として祭られています。


 このように神道は外国の神々を受け入れていくのですが、神様の数が増えていくのです。

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