古代日本編

第1話、日本の神々と神社の誕生

【神道の起源】


 このフリーダムな宗教には、最初から天照大御神アマテラスオオミカミ大国主神オオクニヌシノカミのように、擬人化され性格や性質がハッキリとした神様はいませんでした。


 古代日本の人々が自然環境や自然現象そのものを、神として崇める精霊崇拝(アミニズム信仰)が起源と言われています。そして、最古の日本人達はありとあらゆる物質や現象に魂が宿ると考えたました。


 人間、動物、木、草、花、山、道具、さらに雨や雪が降る事だけでなく、風が吹く事にさえ、魂が宿り、その中で暮らしていると感じていたのです。


 縄文時代の遺跡から土偶、玉など祭祀に使う道具が発見されており、現代の神道は縄文人の精霊崇拝が発展したものなのです。


 狩猟採取が中心の縄文時代から、弥生時代になると稲作が発展していきます。この生活の変化で弥生人は、五穀豊穣の神様を祭るようになります。


 また、土地を開拓して、田畑や水を運ぶ灌漑設備かんがいせつびを作ったご先祖様を、恵みを与えてくれる神様として祭る祖霊信仰がはじまります。

 そして、この祖霊信仰から大国主神オオクニヌシノカミ天照大御神アマテラスオオミカミのような擬人化された神様が形成されたのです。



【神社の起源】

 神道の起源を説明しましたが、次はどのように神社が出来たのか見ていきましょう。

  

 自然崇拝が発展すると岩、木、山、海、滝などの自然に神様が宿り、それらを御神体として祭るようになりました。

 このような信仰を、神奈備信仰かんなびしんこうといいます。


 神社に行くと、注連縄が結ばれている神木を見た事があると思いますが、これが神奈備信仰の身近な例です。

 

 勿論、木や岩ならなんでもいいという訳ではありません。

 何千年も嵐や落雷によって倒れる事もなく立派に育った大木。

 壮大な滝や、巨大な岩。

 炎と煙を巻き上げる火山など、目を見張り、時には畏怖の念を覚えるものに人々は霊験を感じ、そこを聖域として祭る事で神社が出来たのです。


 つまり神社にある木がご神木になるのではなく、ご神木があるから神社として成り立つのです。


 古代の聖域に、現在のような社にあたる建物はなく、御神体とした自然物があるだけでした。


 実際、日本最古の神社と言われる奈良県にある大神神社おおみわじんじゃ(諸説様々)の御神体は三輪山みわやまという山そのものであり、拝殿こそあるものの本殿はありません(というか山を建物の中に納める事が無理です)。

 このように、本殿のない日本古来の神社様式が残っている大神神社が、最古の神社といわれる由縁です。


 さて社殿など神社建築の始まりですが、祭事の時、臨時の社殿が建てられ、終わったら崩していたようですが、次第に……


「雨風しのげるし、イチイチ建てるのは面倒だから、社殿は建てたままにしておくンゴ」と言う感じで、神社の境内には社殿が建てられるようになったのです。

 

 そして、中国から伝来した寺院建築などの影響も受けながら、現在の皆様がよく知っている神社の形態が出来上がり、神奈備信仰は山岳信仰へと変わっていきます。

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