井川 徹 渡辺 美羽 Ⅵ
俺はもう満足だ。宗助と栄一が付き合うことになってくれるだけで満足だ。自分は女子を克服することが、多分できたと思う。だからこれ以上必要なものはないと思ってる。だけど、女子と関わってしまうとどうしても彼女が気になってしまう。これは恋なのかもしれない。でも、この気持ちは昔とは違う。昔は何か自分が可笑しくなりそうな気持なのに、今は全身を締め付けてくる気持ちなのだ。でも、俺は彼女に告白をする気がない。俺はこれからも、平凡に過ごすつもりなのだ。俺は小説だけで生きていく。だから、彼女は友達より、上の関係になる気はない。
私は満足してない。宗助君も栄一君も告白したし、徹君は女の子を克服したのに、何も、友達以上の関係になる気がしない。私は思い切って、徹君を放課後、呼び出して、聞いてみた。
「ねえ、私待ってるの。ずっと待ってるの。私たちは友達以上になれないの?」
徹君はずっとうつむいていた。私が話す前から、ずっと。私は徹君の態度に泣きそうになった。
「私は小説のヒロインじゃなくて、徹君の彼女になりたいの。だから、私と付き合ってください」
私は徹君に思いっきり叫ぶような声で言った。徹君は
彼女から告白された。俺は嬉しいのか嬉しくないのか分からない。だけど、だけど涙が止まらない。彼女の言葉のせいで涙が止まらない。これは俺は彼女に恋をしていた証拠なのかもしれない。でも、俺は小説だけで生きるつもりだった。でも、俺の今の気持ちは
「ごめん、ごめん。遅くなった。俺は美羽が好きだ。だから俺のヒロインになってください」
俺は止まらない涙を流しながら顔を上げた。俺は矛盾だらけの人間だ。それ以上何も必要なかったはずなのに、今は彼女が欲しかった。本当に訳が分からない人間だ。でも、今ははっきりした。今までの気持ちは、今の気持ちは
「君が好きだ」
これだけだ。
私はやっと徹君からずっと待っていた言葉をもらった。私は涙が止まらなかった。徹君もきっとそうだ。私はこれまで努力は無駄じゃなかった。私は頑張ってよかったんだ。そしたら、変なタイミングでスマホにメールが来た。徹君も。私は嫌な予感がしたが、スマホを開いた。宗助君からだ。また、動画が送られた。私は、仕方なくその動画を見た。それは私が告白するとところから始まった。私は最後まで見ないで
「宗助君!」
「宗助!」
私と徹君の声が重なって元々大きな声がさらに大きなって、怖さが増した。宗助君は体を小さくして
「ごめん、ごめん。でも、おめでとう」
と言ってくれた。恥ずかしくなりながら
「ありがとう」
と言った。そしたら、宗助君の後ろから、栄一君、美玖さん水姫さんが出てきて、みんなが「おめでとう」と言ってくれた。でもこれで終わりではない。
私の恋は
俺の恋は
みんなの恋は
これから始まるなのだから。
それぞれの恋が始まる僕たち 慶田陽山 @yozan-yoshida
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