渡辺 美羽Ⅴ

徹君がさっき私たちを絵にしてくれると、言った。私はさっきできた友達とどんな風に笑って過ごしてるか徹君の絵が楽しみなった。徹君が徐々に女の子と関わるようになってきて嬉しかった。徹君が心を開いてくれたら、私は本気で徹君を好きになることが出来る自信があった。徹君は今は昼食のラーメンを食べている。私はカレーを食べている。宗助君はカツ丼、美玖さんはうどん、栄一君はそばで水姫さんはサンドイッチ。みんなそれぞれ違っていて、個人差を私は改めて感じた。昼食の後何をするかみんなで考えた。4時45分からイルカショウがあるのでそれまで何をするか考えた。最初にアシカをを見に行った。可愛いアシカは水の中をゆっくりのんびり泳いでいた。

「可愛い、これ家で飼いたいな」

なんて実現不可能なことを言った。本当にアシカが買えたら、私は毎日アシカに癒されて、生きていくだろう。私は妄想の世界に行ってしまいそうになった。その時徹君が何か紙を渡した。何を描いたのか私は見てみると、そこには少し大人っぽくなった私っぽい人がアシカと楽しそうに過ごしていた。すごく上手だ。私の妄想をはるかに超えて、すごい生活をしていそうだ。

「買うことは無理だけど、海外で野生のアシカと泳ぐことが出来るらしいよ」

と言って、少し照れてそうな顔で言った。私は

「ありがとう。徹君がいつか連れていてよね」

私は徹君に期待して、笑った。

「その時はまた、この、メンバーで行くか」

と徹君が言ってくれた。徹君と久しぶりまともな会話をした気がした。私はそのことが嬉しくて、笑って「うん!」と徹君に返した。徹君は今度はちゃんとわかるように顔を赤くした。次にどこに行くか、みんなで相談した。次はウミガメを見に行くことになった。

「わああ、いっぱいいるね」

と水姫さんが言った。水姫さんはカメが好きみたいで、今はカメを二匹飼ってるそうだ。美玖さんは基本的に生き物が好きで、今までにいろんな生き物を飼育をしてるそうだ。しかも、今はトカゲを飼育していて、そのエサでGを繁殖させているそうだ。これこそガチ生き物マニア。私はいくら生き物が好きでも、さすがにGまで飼わない。私はウミガメを見ていて、徹君が私に近づいて耳もとで、私だけ聞こえるように

「イルカショウの後みんなでお土産を買った後、最初に見た大きな水槽に行こう。二人で」

と言った。そのあと徹君はすぐに近くのベンチに座って絵を描き始めた。これはチャンスかもしれない。私は期待と興奮が抑えきれなくなりそうになった。もしかしたら、告白されるかもしれない。されなくて二人きりで水槽前に行くなんて、何か期待していいかもしれない。私は徹君が何をするのかすごく気になった。

みんなでいろんなところに回って4時35分になったので、私たちは会場に行った。イルカショウの席はすでに埋まっていた。たまたま後ろの席で空いてるところを見つけてみんなで座った。イルカショウはすごく盛り上がった。前の席の方はみんなずぶ濡れになっていた。私たちはたくさん笑った。これ以上にないくらい笑った。私たちはそのままお土産広場に行って、お土産を買った。私は先に買いたい物を買った。その時男子三人がこそこそとしていた。そしてみんなお土産を買い終わった。

「じゃみんなで帰るか」

宗助君が言い出した時私はつい徹君の方を見た。徹君は私に気づいて、コクンと頷いた。

「悪い、俺とみ、美羽はちょっと用事があるから先に帰っていいよ」

「わかった。徹・・・トリマガンバ」

と宗助君が言って、帰っていった。私たちは大きな水槽の前に行った。そして少し眺めていたら、徹君が

「あのさ、話が有ってここに来たんだ。その、俺の・・・

「うん」

「俺の・・・小説のヒロインになってくれないか」

え、そんなこと?ヒロインなら今までやってきた。

「その、お前がヒロインだったら、絵も描きやすいし、小説も書きやすいんだ。だからお願い」

徹君は頭を下げた。これは告白のうちに入っているのだろうか。私は考えたがわからなかった。でも、ヒロインになるのは嬉しい。私はもっと徹君の近くにいられる気がした。

「いいよ。私なんかでよければ」

私は期待をしすぎた。てっきり告白されるのかと思っていたのに。いや、そこまで期待はしてないけど。

「ありがとう。それとこれ、お礼みたいの」

と徹君が渡してきたのがアシカのペアのキーホルダーの一ひきくれた徹君とおそろいだ。私は嬉しくなった。告白はされなかったけど、おそろいのキーホルダー。しかも、くっつけるとアシカの後ろにハートが出来る。

「これ、栄一が選んだ奴だから。俺は何あげていいか分からなかったから、宗助と栄一に相談したら、これがいいって言ってくれたから買った。それだけだからな。勘違いするなよ」

徹君たちがお土産広場でこそこそしていた理由がやっとわかった。

「うん、ありがとう。とっても嬉しい」

私は素直に思ったことを言った。その時に私と徹君のスマホにメールが来た。開いてみると、宗助君から動画が送られていた。見てみると、その動画は私たちが大きな水槽に行くところから、私が「うん、ありがとう。とっても嬉しい」まで」映っていた。場所的にさっきここに来るときに通った道からだ。だから私はその方向に

「宗助君!」

「宗助!」

と徹君と同時に言った。どうやら、徹君のスマホにも同じ動画を送られたそうだ。

「悪い悪い。ちょっと気になったから。安心しろ。俺たちも同じことしたから」

宗助君以外のも栄一君、水姫さん、美玖さんが通路から出てきた。それよりも、俺たちも同じことをしたというのが気になった。そしたら、みんなが何かを持って、私たちに見せてきた。

「あ!」

みんなが持ってみたのは私たちの持ってるキーホルダーの同じ物だった。栄一君と水姫さんはカメのペアのキーホルダー、宗助君と美玖さんはイルカのキーホルダー。宗助君と栄一君は笑って堂々と見せて、水姫さんと美玖さんは顔を赤くして見せていた。みんな一緒だ。

「最後に写真撮ろうぜ」

と宗助君が言った。みんなは水槽の真ん中で集まって、写真を撮った。みんなカメラに向かってキーホルダーを見せて、笑顔で映っていた。

最高の写真だ。

最高の一日だった。


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