井川 徹Ⅲ
彼女を小説のヒロインにしてから、彼女がすごく関わってくる。未公開の小説も渡してしまった。それを彼女が学校に持ってきて、
「実は、私の友達が井川イッテツで、未公開の小説を貸してくれたんだよ。一緒に読まない?」
と俺に聞こえるように言ってきた。それを聞いた、宗助は
「徹、女と関わらないのじゃなかったのか?」
と小声で言ってきた。
「俺がイッテツだとばれて、脅されて、仕方なく貸したんだよ。俺から貸すわけないだろ。俺は目立ちたくないし」
と宗助に小声で返した。本当に最近は彼女に少し縛られて生きているような気がしてきた。でも、俺は女が嫌いなんだ。嫌いだから、彼女の事も・・・。
「あっそ、それより、うちのクラスの委員長可愛いよな」
「恋愛相談は、俺に話すのもいいが、栄一がいるときにした方がいいかもよ。でも、俺抜きで話すのはやめろ。気になるから」
と言った。他人の恋愛情報があると、俺の小説に書くことが出来るかもしれないから、俺は恋愛話は聞き逃さない。
「聞くだけ聞いてくれ。頼む」
俺は、深くため息をして、カバンから、筆箱と、小説のメモノートを出した。
「宗助の事だから、すぐに告りそうだから、言っておく。絶対に今月は告るな。今月中に何か進展があったら、俺が許可を出す。進展の度によるけどな」
と忠告だけした。そして昼休み全部の時間を宗助の恋愛相談に付き合った。
どうやら、宗助は俺のクラスの委員長の坂神美玖。彼女は大人しく、あまり話したりしない人だ。
でも、俺は宗助の手助けはしない。俺は彼女にしたい人がいるなら、自分の手でその人を彼女にすべきと考えている為、俺は告るか告らないかの許可だけが俺の役目だ。俺は授業が終わってから、図書館に行って、本を返して、また新しいのを借りようとしたときに、ある本棚に俺の未公開小説がおいてあった。
「嘘だろ、なんで⁉あ、あいつか」
俺は心当たりがある人が頭の中で浮かんだ。いや、絶対にあいつだ。この前、脅させて、未公開小説を渡した人、彼女だ。すると、もう一つの奥の本棚の列からクスクスと」笑い声を我慢しようとしている声が聞こえた。俺はその方に行って
「何をしている。あれはいやがらせか?それともいじめか」
俺は笑うのを我慢をしている彼女に言った。
「違うよ。あれはさっき私が置いたの。ただ、返したかっただけでも、普通に返すと面白くないから、あれを思い付いたの」
と彼女が答えた。俺は未公開小説を手に取って、カバンにしまった。俺はもうこの時点で怒っていた。こんなことまでしていいとは誰も一言も言ってない。俺は彼女に冷たい視線を送った。彼女は両手を上げて
「ごめん、悪かったよ。これからはしません」
と謝った。顔を見た感じ、反省はしているようだ。俺は彼女がいる列の本棚から、一冊借りた。本を借りたことが出来たから、俺は帰ることにして、図書館を出た。そしたら、さっき俺が、閉めたドアから誰かが出てきた。彼女だった。
「ついでに一緒に帰ろうよ」
と言ってきたので俺は彼女に聞こえるようにわざと
「あ、勉強してから帰るんだった」
と言った。俺は図書館にもう一度入った。俺はいつも座っている席に座って、カバンから数学の教科書とノートを出して、課題をした。俺はそのまま集中して、1時間ほど勉強した。俺は立ち上がって、カバンを机に置いて、教科書とノートをカバンにしまった。俺がカバンを背負ったとき、何かが動くのが、視界の隅に入った。俺は二度見をしてみてみると、そこには彼女がいた。俺は少し驚いた。彼女は寝ていた。気持ちよさそうに寝ているのは昔と変わらなかった。俺は自分が着ている、ブレザーを彼女に掛けた。
「昔と変わらないな」
と小さな声で一人で喋った。俺は彼女が起きるまで本を読むことをした。俺は彼女と関わることを悪いこととは思っていない。だけど、女子と関わると昔の事を思い出してしまう。彼女は30分ぐらいして、やっと起きた。俺は
「おはよう、起きたなら、寒いからブレザーを返してくれ」
と言ってやった。彼女はまだ寝ぼけていたが、すぐに状況を理解していた。
「あ、ごめん。私を待っててくれたんだ。ありがとう。ブレザー、返すね」
と言って彼女がブレザーを渡してきた。俺はそれを受け取って
「早く帰るぞ。俺は仕事があるからな」
と彼女に背中を向けて、図書館を出た。俺は彼女を待たずに歩いていたら、彼女が走ってこちらに来た。
「電車の時間あと、8分だよ。急がないと間に合わないよ」
と彼女が慌てた声で言った。俺も慌ててポケットからスマホを取り出して時間を確認した。時刻は16時56分だった。
「やば、急がないと。走るぞ」
俺はとっさに昔のように彼女と話した気がした。俺と彼女は走り出した。彼女は楽しそうに笑いながら走っていた。俺はそんな彼女をいつまで見ていただろう。5分以上は彼女の楽しそうな顔を見ていた気がする。
俺はやっぱり、昔と変わらず、彼女の事が
・・・好きなのかもしれない。
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