第49話 ブタがかかった

「使徒様を信じてなかったわけじゃないけど、まさかホントにアラクネの領域に入ってたんだな。間違いなくアラクネの領域が変わってるよ。こりゃ、何かあったかもしれないね。」


サクラさん、そんなフラグっぽいことを態々おっしゃらなくて良いんですよ。


「「「ブギャ、ブギャ!!!」」」


「仙、オークの叫び声がさっきから治まらないけどあいつ等大丈夫なのか?」


なんかすごい悲痛な叫びに聞こえるのが気になるんだよな。


「大丈夫ですブ。一組がアラクネの巣に引っかかって連れ去られただけですブ。ご主人様に心配をさせるとは不敬ブ。今後こんなことがないように特別なヘル&ヘブンコースで訓練させますブ。」


訓練のコース名がどんどんバージョンアップしているけどオーク達は・・・・大丈夫じゃなさそうだな。


全員顔が真っ青になっている。


中には土気色になっているヤツがいるけど死んじゃないよな。


まぁ、使い捨てにするなと言っているから命の保証はされているはず。


死んだほうがマシな内容だと確信は持っているけど頑張ってくれ。


「ん?連れ去られてるのを助けなく良いのか?」


「はい、どこに連れ去られるのか確認してから助けますブ。なので追いかけますブ。」




配下のオークを探知できる仙の後ろを俺とサクラさんが追いかける。


今まで仙を見るときは前からじっくりと胸部を中心に観察していたけど後ろからの景色も悪くない。


よく鍛えられたお尻が走る度に左右に揺れる。


俺の大好物の胸も仙ほどのサイズがあれば身体を左右に振れる度にチラチラと見えるのも良い。


今後の定期的に仙を後ろから観察しよう。


『蜘蛛の巣に引っかかるのに、なんでアラクネの巣に引っかからないんすかね。普通は逆だと思うんっすけど。』


フ、俺はそこらの一般人とは違うからな。


『へぇ~。』


「ご主人様、ブタ共を連れたアラクネが移動を止めたようですブ。」


ク、ヤスのせいでじっくり仙のお尻を観察出来なかったじゃないか!


『最近、エロいことを全く隠さなくなったっすね。』


俺は全く表に出してないよ。


スライムだから目がないから視線も気にしなくて良いし、顔がないから表情にも出ないんだぞ。


隠してないんじゃなくてヤスには隠せないんだ!


『あ、そうだったっす。』


「二人共ストップ。」


もうすぐアラクネがいる場所に着くところでサクラさんがストップをかける。


「ブギャ。」


「ブギ。」


「ブブ。」


気のせいか至る所からオークの鳴き声が聞こえてくる。


「ゴブ。」


「ゴブゴブ。」


あ、まるで「俺たちを忘れるな」てきにゴブリンの鳴き声も聞こえてきた。


このゴブリン達はアラクネを探している途中に仙に襲い掛かってきたが逆にボコボコにされて配下に加わった集団だったな。もちろんオークの配下も増えたぞ。


『旦那のエロ友達が増えてよかったっすね。』


オイ、さすがにゴブリンを一緒にするのは怒るぞ。


あいつ等はエロを通り越して性犯罪者だぞ。


『あ、エロは否定しないんっすね。』


俺は今まで一度もエロくないとは言ったことないぞ。


一般男性並みのエロさだと言っているだけだ。


「ゴブゴブ。」


「ブギャギャ。」


「ゴブブブ。」


「あいつ等は何をそんなに叫んでいるんだ。うるさくてかなわん。それにあんなに騒いだらアラクネに見つかってしまうぞ。」


仙はオークを使ってアラクネを釣るつもりなのか?


「あ~あ、あいつ等全員アラクネの巣に引っかかってるね。」


「ッチ、使えないブタ共ですね。仕方ないのでブタを囮にしてアラクネが出てきたところを狩りましょう。」


オークの魔力量を上げるために連れてきたのに結局ただの囮にしかならないとはなぁ。


まぁ途中で少し戦闘があったから多少は上がってるから全く成果がなかったわけじゃないけど。


『オイラはアラクネが相手って聞いて何となくこうなる気がしたっすけど、ここまでキレイにアラクネの巣に引っかかるとは思わなかったす。』


そうだよなぁ。


全員がヤラレない様に5人一組で複数グループに分けていたのに全員罠にかかるとは俺も思わないな。


仙に特別ヘル&ヘブンコース訓練を全員にかしてもらおう。


あの仙の訓練を受けたのだからもっと使えるようになっている思ったけど違ったか。


「ん?どうやらアラクネが集まってきたぞ。」


魔力感知に大型の蜘蛛に人の上半身が引っ付いたようなものが周囲を囲むように複数近づいてきている。


「ようやく、御出ましかい。さっさと素材を回収して帰ろうか。」


「でもアラクネの巣が邪魔ブ。それに木の上を移動しているから相手にするのが面倒ブ。」


アラクネはここに来るまで木々と自分達が張った巣の上を高速で移動している。


このままだと主導権はアラクネが持つことになる。


「俺が魔法で叩き落すから落ちてきたアラクネを処理していくぞ。」


「分かった、任せたよ使徒様。」


「処理は任せてくださいブ。」


まずは風魔法でアラクネの巣を吹き飛ばす。


ケッカイ内に荒れ狂う風魔法を発生させ続ける。


そして一気にケッカイを解き放ち吹き荒れる暴風が蹂躙する。


「ブヒィ」


「ブギャ」


「ブギィ」


アラクネの巣が暴風により引き裂かれる。


ついでにオーク達が巻き上げられる。


続いてアラクネ共を叩き落す。


風の塊を上空から地面に向けて叩き付ける。


「ブギャ。」


「ブブ」


「ブギャブ」


アラクネと一緒にオーク達も地面に叩き付けられたが全員なんとか生きている。


いろんなものが変な方向に曲がっているけど生きているから大丈夫だろ。


「ちゃっちゃと片付けるよ。」


「はいブ」


仙とサクラさんが、足が折れてもがくアラクネを次々と切りさいた。


「お、おかしい。」


『どうしたっすか?』


いつものように俺はエッチな風魔法の効果を十二分に発揮させるために素晴らしいイメージ(妄想)をしたはずなのだ。


なのに仙もサクラさんも服が全く乱れていない。


ちょっと手元が狂ったゴメンねで済む範囲を見定めて、俺は仙やサクラさんの服が適度に切り刻まれて見えそうで見えない状態になるようにしたはずだ。


それなのにそれなのにどうしてた!


俺のイメージ力(妄想力)はこんなものだったのか。


何がエロスライムだ、何がエロエロマジックスライムだ。


全然ダメじゃないか!


「ご主人様、片付けが終わりました。」


俺の絶望を他所に戦闘は恙なく終わった。

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