第50話 詐欺だ
これは詐欺だ。
とんでもない詐欺だ。
なんで仙やサクラさんの上乳も下乳も見えてないんだ。
これっぽっちも服が乱れていないぞ。
少なくともアラクネ達と戦闘したはずなのに何もなかったかのようだ。
おかしいぞ。スキルの説明にはエッチな風魔法はエロいことに補正強化があるって記してあった。
そして俺もそのことを想像(妄想)しながら魔法を発動したのになぜだ。
『単純に旦那の風魔法の効果より二人の魔法耐性が高かっただけじゃないっすか。」
チィィ。
こうなったらアラクネさんに期待するしかないぞ。
アラクネといえば下半身は蜘蛛だけど上半身は美女って相場は決まっている。
巨乳のアラクネさんを仲間にすればいつでもどこでも俺は力エロパワーを発揮できるようになる。
種族特性を今まで以上に上手く使う非常に有用な手段だ。
だからこれは必要不可欠な決定事項なのだ。
「ご主人様、周辺にアラクネの残党はいないようなので腑抜けたブタ共を再教育するために軽く訓練をさせておきますブ。」
「分かった。頼むな。」
「はい、お任せくださいブ。」
全員アラクネの巣に引っかかったオークの処置は仙に任せよう。
俺?俺が引っ掛かったのはアラクネの巣じゃなくて蜘蛛の巣だから良いんだよ。
んなことより俺はアラクネの姿を確認するという重要かつ重大な任務があるんだ。
オークの豚はそこらこちらに転がっているけどアラクネさんは少ない。
まぁ、魔力感知ですでにどこにいるかは把握しているけどね。
ただ、魔力感知で見えるアラクネの姿がいまいちハッキリしないんだよね。
もっと近づいたらハッキリ分かるだろ。
「ん?使徒様どうしたんだい?アラクネは全部片づけたはずだけど、残党がまだいたか?」
「いいや、ちょっとアラクネがどんなヤツなのか見に来たんだ。」
「ふ~ん、アラクネの何が見たいのかしらないけど、ただのデッカイ蜘蛛だぞ。」
これがアラクネかな。
俺の伸長より長い足が六本ある。
スライムの伸長なんてしれてるけど、仙やサクラさんの足より長い。
ただスゲェ細長い。もちろん俺は仙やサクラさんの足のほうが断然好きだ。
そんな細長い足を生やした短くて柔らかい毛に覆われた大きな蜘蛛の下半身が鎮座している
大丈夫このくらいは想定内だ。
アラクネさんは下半身は蜘蛛ってのは全世界共通だろう。
そんな蜘蛛の下半身から人型の上半身が生えている。
・・・うん、人型ではあるな。
そして、胸部にお椀型のものが付いているから性別は女性かもしれない。
「ナンデヤァァ!!」
「おお、ビックリした。急に大声だしてどうしたんだ?」
あまりのことに全力の念話を全方位に発信したのでサクラさんが驚いている。
でも仕方ないんだ。
だって、だって、だって、アラクネさんが、アラクネさんが、アラクネさんじゃないんだ。
『何訳分からんこと言ってるっすか。どう見てもアラクネの死体っすよこれは。』
そんなことあるかい!
なんだこの昆虫の外骨格を無理やり人型にしたような物体は!
アラクネって言ったらアレだろ。
美しい女性の上半身を使って男をメロメロにして捕まえたりするアレだろ。
『そうっすよ。』
これのどこに男がメロメロになる要素があるんだ。
それともアレかこの世界の一般男性はこれに欲情すんのか!
そしたら俺この世界の男と仲良くなれんわ!
「あのゴツゴツした胸がなぁ。」とか「イヤイヤ、あのチクチクする腰が良いんだ。」とか言われても全く共感も反論もできん。
ハイレベルどころか次元が違う。
つまり男の友情の要であるエロトークができんのだから。
『あぁ、旦那それは違うっすよ。アラクネは魅了のスキルと幻術を組み合わせて自分の上半身を相手の理想の女と思わせるんす。どんな女性にも対応できるようにあんな上半身になっているってのが定説っす。アラクネの上半身は旦那の世界のマネキンみたいなものっすね。』
理屈は分からないでもない。
数は少ないけどそういうパターンのラノベとかあったと思う。
でも、でも大多数は綺麗な女性の上半身だったはず。
オノレ俺の胸をカエセェ!
「アラクネをオーク達みたいにアンデット化させるのかい?」
あんでっと化かぁ。
そもそもアラクネって雌なのかも疑問があるな。
イヤ、蜘蛛の雄って雌の餌だったけ?
となるとこいつ等は雌なのかな。
雌ならあんでっと化スキルでアンデットにしても言うこと聞いてくれそうだけどアラクネをアンデットにして侍らすのは無しだ。
全く魅力を感じない。
『安定のエロ思考っすね。』
2度目の人生、自分に嘘をつきたくありません。
『つまり欲望に忠実に生きるってことっすね。』
そうとも言う。
「イヤ、アラクネはアンデット化しない。」
「となるとアラクネの腹を捌くか。」
え?
アラクネの腹を捌くの?
良いんだけど、そんなグロイことしなくても良いんじゃないかな?
「穴でも掘って埋めとけば良いんじゃないか。」
不必要なグロは遠慮したい。
好き好んで血や内臓を見たいとは思わない。
「使徒様、ここに何しに来たか分かってるか?」
何言っているんだ。分かっているに決まってるだろ。
美女アラクネを仲間にするために来たに決まっている。
『違うっすよ。』
違ったっけ?
「ハァ、アタイは使徒様が何に夢中になっていても構わないけど目的くらい覚えときなよ。ここに来たのはアラクネの糸を採取に来たんだからね。」
いや忘れれてたわけじゃないよ。
ただちょっとアラクネの姿があんまりだったから気が動転してただけだから。
「ん?どうやら糸の採取は後回しになりそうだね。」
サクラさんは何かを察知したようだ。
俺の魔力感知も遅れてこちらに近づく魔物を感知した。
どうやらフラグの回収イベントの発生だ。
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