第47話 オーク、訓練完了?

より良い素材で仙とサクラさんの衣服を作るためにサクラさんの提案でアラクネの糸を採取することになった。


「え~、アタシも~。」


と天使の願いもあったので三人分の素材を採取する。


アラクネは貴人族の村よりさらに森の奥に生息しているということで元オークの巣を拠点として行動することが決まった。




「ブヒ!」


「「「「ブヒィィ!!!」」」」


「ご主人様、如何ですか?ゴミ共もブタレベルくらいには使えるようになっていますブ。」


「さすが仙だな。助かる。」


アンデットオーク軍団がキレイに整列して敬礼のポーズで硬直するかのように姿勢を正している。


あんでっと化させたオークは全く俺の言うことを聞かなかったのに。


オーククィーンの調教力の一端が垣間見える。


俺ってもしかしてトンデモない子を味方にしたのかもしれん。


これからもオークをドンドンあんでっと化して仲間にすれば国相手に戦えるようになれるかもしれん。


うん、今後の行動予定がボンヤリと見えてきた。


「使徒様、コイツらを連れていくのか?」


う~ん、どうするべきだろ。


今後のことを考えるとオークの質も量も大事だ。


オークの数に関しては今後も定期的にあんでっと化や仙のスキルで増やすことは可能だろう。


となると質を高めるようにすべきだろうな。


「連れて行こうと思うけど仙はどう思う。」


「良いと思うブ。訓練は十分に施したから後は実践あるのみブ。ブタでも使えば多くの素材を集められるブ。」


大量の素材が手に入ればついでにオーク共の装備を整えるのもありか。


戦力の質を高めるにはオーク自身の魔力量を増やす以外に装備を充実させるという方法もあるな。


「それじゃ、作戦は命を大事にだ。素材集めで死んだら意味ないからな。」


死んだら仙に豊満な胸を使って抱きしめてもらうという夢がかなわない。


「「「「ブヒィィィ」」」」


なぜか俺の言葉を聞いてオーク共が咽び泣き始めた。


3百以上のオークが泣き始めるのだ。


異様な光景にスライムの俺には顔がないはずなのに顔が引きつっている気がした。


「せ、仙、どうしてこいつらは急に泣き始めたんだ。」


「ブタ共がご主人様のあまりの優しさに心が打ち震えたのでしょう。」


え~、そうかぁ。


簡単に死なれたらオークの魔力量を増やせないから言った言葉なのになぁ。


そんな一言でここまで泣くなんて今までいったいどんな風に生きていたんだ?


『オーククィーンで旦那を心酔している仙の訓練をオーク達は受けたんっすよ。そりゃ、心の籠ってない旦那の言葉でも優しい言葉を受けたら感動もするっすよ。』


心が籠ってないとは何だ、心が籠ってないとは。


俺は無駄にオークの数を減らすのはもったいないと思っているぞ。


それにオーク達の質を上げるには無駄な消費を抑えるべきだって。


『それって自分の道具を大事にする感覚っすよね。生き物として扱ってないっすよ。』


何言っているんだヤスは。


ここのオーク達は俺のあんでっと化スキルでアンデットになったんだ。


一回死んでんだから生き物じゃないだろ?


仙?


仙はこいつ等とは全然別物だよ。次元が違う。


まずオーククィーンというオークの中でも最上クラスであり数多の有用なスキルを持っている。


そして俺の元であんでっと化した後にも命力という新たな力を獲得するほどの才能を持つ。


これが最も重要な点だが、仙はその胸に天国を宿している。


それだけでオーク何千何万と集まろうとゴミでしかない。


『オークはゴミなんすね』


あくまで比較の問題だ。


一円はもちろんお金で無かったら困る。


ただ一兆円と比べたらあってもなくても同じってだけだ。


『オイラも別にオークのことはどうも思わないっすけど、ちょっと旦那の言葉で感動しているオーク達がちょっと不憫に思わなくもないっす。』


ヤス、お前はオークの前に俺に対してもう少し態度を改めるべきと思うぞ。


『あぁ~、でも旦那ってスライムっすよ。オイラでも不定形生物には感情移入できないっす。オークにも感情移入はできないっすけど人型な分ちょっとは気持ちが分かる気がするっす。』


何言ってだ。


元々案内人スキルだったお前は人型うんぬんの前に生物ですらないだろ。


『何言ってんすか。オイラはビジアンヌ様の力の一部から作られたスキルっすよ。言わばビジアンヌ様の分け身っす。きっとビジアンヌ様に似た神秘的な美人に違いないっす。』


いや~ないない。


百歩、イヤ千歩譲って人型だとしても美人なんてことはないな。


生意気なクソガキが言いところだ。


ビジアンヌに似ているなんておこがましい。


『ムキィィ!!オイラが人化してから後悔しても知らないっす。』


ア~、はいはい。そうだな、夢を見るのは自由だよな。


確か前は自分ようの移し身がほしいと言ってたから用意できた移し身で体は変わるんじゃないのかなぁ。


人化スキルがホントにあるなら俺も欲しいなぁ。


今回の収穫は初めてヤスを言い負かしたことかな。


言い負かしたと言えるのか分からんけど。


「それじゃ、アラクネを探しに行くか。オークは5人一組で行動すれば大丈夫かな。」


「大丈夫だと思いますブ。ブタ共ご主人様の足をひっぱたら訓練はヘルコースブ。」


「「「「ブブィ!」」」」


オーク共表情が真っ青になっている。


ヘルコースってどんなコース何だろうか。


知りたいけど知りたくない。


それに知ったらオークに同情するかもしれないからこのままスルーだな。


「アタイはアラクネクィーンでも探すかね。使徒様と仙が入れば安全に戦えるしな。」


ホホォ、アラクネクィーンですか。


それはヤッパリ美人なんですかね。


俺も積極的に探してみよう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る