第46話 巫女服を作ってみた。

「何驚いてるんだ?俺はサクラさんから裁縫魔法を教えてもらっているんだからスキルを獲得するのは当たり前だろ。」


確かにサクラさんに教わって一回試しに裁縫をしただけでスキルを獲得したのは俺の天才性を加味しても驚くべきことだけど、ちょっと驚き過ぎじゃないですかね?


仙だけは驚いておらず尊敬の眼差しを向けている。


なんか背中がむず痒いな。


本物の天才である仙と違って俺のはビジアンヌの寵愛の効果だからなぁ。


他の人に言われてもなんとも思わないけど仙に言われるとちょっと申し訳ない気持ちになっちまう。


「驚くって当たり前だろ。普通、裁縫スキルを獲得するためには何百何千と衣類を作らないとダメなんだ。それでも誰でも覚えられるわけじゃない。それなのにあんたは一発で獲得した上に裁縫スキルじゃなくて今や使い手はいないと言われている裁縫魔法を獲得したっていってるんだよ。」


へぇ、俺が覚えたのはレアなスキルなんだな。


俺の才能とビジアンヌの寵愛スキルが合わさったから可能だったんだろう。


『イヤ、旦那の才能は関係ないと思うっす。まぁ、あえて旦那が寄与したとしたらエロい妄想による種族効果っすかね。』


・・・否定はできない。


俺のエロさは標準的レベルに納まっているのは紛れもない事実ではあるが、俺の持つスキルの補正効果から考えて妄想による種族効果は侮れないだろう。


つまり俺の強さ=エロさなのか?


イヤ、違う。あくまで俺の天才的才能がもたらした結果だ。


そうだ、そうでないと俺は・・・


『天才は天才でも妄想力の天才っすね』


妄想力ちゃう、想像力だ。


「スライムさん、スライムさん。この生地で私ようの服を作って!」


「いいぞ。ちょっと待てよ。」


ヤスの相手よりも天使のお願いを聞くほうが重要だ。


レースのたくさん付いたゴスロリ風ドレスにするか、素朴な村娘風にするか、それともナース服、いやセーラー服も捨てがたい。


いや、待てよ。


ユズは神殿の掃除をいつもしていたよな。


シスター風の服にするか。


イヤ、鬼人つまり鬼ってことは和風が良いか。


つまり巫女さんだな。


ただ本格的な巫女服を作ると着るのが大変だ。


洋服だけど見た目は白衣や袴に見えるようにイメージして


「《裁縫》」


黙ったままなのは何となく雰囲気がでないので一声発してみた。


ユズから受け取った生地が俺の魔力に包まれると色と形が変わってゆく。


魔力が納まるとそこには白い衣と赤い袴が出来上がっていた。


「はい、出来たぞ。」


「うぁ、可愛い!けどほんとにこれアタシがもらっていいの。」


何を言っているんだ。


この巫女服はユズのために作ったんだからもらって良いに決まっている。


「もちろんだ。」


「わぁ~い、ありがとう!」


ユズは巫女服を抱えながらクルクル回って喜んでくれている。


うんうん、喜んでくれて嬉しいぞ。


もうちょっと勢い良く回ってくれても良いぞ。


そうすれば、そうすれば天使の生足が・・・・。


「ユズ、その服ちょっと見せてくれ。」


サクラさんに話しかけられてユズが立ち止まってしまった。


もう少し、もう少しで天使の秘境を拝めたのに。


サクラさんどうしてもう少し待ってくれなかったんだぁ~。


「ダメだよ、サクラ姉さんこれはアタシがもらったんだよ。」


「別にユズの服をとろうと思ってないよ。ただ裁縫魔法で作られた服がどんな物か確認したいだけだよ。」


「う~ん、ならいっか。はい。」


「ありがと。」


サクラさんはユズから巫女服を受け取ると両手で広げて隅々まで見ている。


「これはとんでもない品だね。縫製は完璧だ。アタイより上手に作れてるんじゃないかい。その上この服には物理耐性と魔法耐性の効果がついてるよ。アタイも一着ほしいくらいだよ。」


「いいぞ。ただしデザインはコッチで決めるぞ。」


「ホントかい!悪いね。」


「ご主人様、私もほしいブ。」


「もちろんだ。」


グフフフ。


まさかサクラさんと仙から申し出てくれるとは。


どうやって服を着てもらおうか悩む必要がなくなった。


さぁ~てどんな服を着てもらおうかなぁ~。


ブレザーにナース、シスターに警官、いろいろあるけど何が良いだろうか。


よし仙にはクラシックなメイド服だな。


俺のことをご主人様って呼んでくれるしな。


サクラさんは軍服風にあつらえた服なんかはどうだ、ちょっとキツイ感じの口調に合っている気がする。


気に入らなかったらまた作れば良いんだ。


裁縫魔法を使えばチョチョイノチョイで完成するから便利なものだ。


「よし、それじゃ素材を取りに行くぞ。」


サクラさんは何を言っているんだ。


素材はそこにあるじゃないか。


だから服を作ったらすぐに着心地を確かめてください。


「サクラ、素材はそこにあるブ。」


そうだ、そうだ。今すぐ俺にメイド服と改造軍服を作らせるんだ。


そして俺の眼に二人の姿を刻み込ませてくれ。


「確かに生地はあるが使徒様が裁縫魔法で衣服を作ってくれるんだ。いい素材で作ってもらえばより良い物が作れるはず。だからこれから素材を取りに行くんだ。」


「確かにせっかくなら良いものが良いブ。」


良いもので作れば仙とサクラさんの身を守ることができるだろうし、良い物ならいつも着てくれるかもしれない。


俺もいつでも目の保養ができる。


まさにウィンウィンだな。


「それで何の素材を取りに行くんだ?」


「衣服の素材と言えばアラクネの糸だね。」

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