第37話 修行?
「山籠もり?何のことだい?」
サクラさんが不思議そうな顔というか困惑した顔をする。
「え?修行って言ったら山籠もりですよね?」
「修行って言ったら魔物狩りだろ?」
魔物狩りって修行っていうよりレベルあげってイメージだけど違うの?
『旦那、山籠もりで強くなるのは魔力吸引スキルを持っている変人だけっすよ。普通の人は山に籠っても魔力は増加しないっすから。』
そう言えばこの世界の強さは基本魔力量=強さだったな。
それとスキルか。
前世は強さ=筋力が基本的なイメージだな。
ん?アレ?筋力も別に山籠もりしなくても鍛えられるぞ。
・・・全然山籠もりしなくても良くないか。
俺なんで修行って言ったら山籠もりって思ったんだ。
イメージって恐ろしい。
「つまり魔物狩りをすれば良いんですか?」
「別に命力を使えるようになるのに魔物狩りをする必要はないぞ。アンタが修行の話したから魔物狩りをしただけだ。命力を覚える方法事態は簡単だ。アタイがアンタに命力を打ち込むだけだ。アンタに命力を扱う力があれば自分のなかの命力が分かるはず。後はその感覚を忘れないようにして少しずつ自在に操れるようになればいい。」
つまり、山籠もりパターンではなく師匠から力を引き継ぐパターンか。
いやサクラさんの力が無くなるわけではないから同じ力を持った人から力を覚醒してもらうパターンだな。
「よし、やってくれ!」
俺はやれば出来る子だって前世では言われていたんだ。
そのうえ人をラノベでチートな存在であるスライムに生まれ変わっている。
加えてこの世界の神であるビジアンヌ様の寵愛を受けた使徒だ。
出来ない理由はない。
『旦那、やれば出来る子ってそれって子供に親が必ず言う言葉っすよ。それはやらないから出来ないって意味っす。つまり今回みたいに純粋に資質が必要な場合には適応されないっす。』
ええい、うるさい。
こういうのは気持ちが大事なんだよ。
病は気からっていうだろ。
それなのに俺のやる気に水を差すなよな。
『あ~、ハイハイ。それじゃやる気を出して頑張ってくださいっす。』
ヤスが俺のスキルでなかったらとっくの昔に絶縁してやると思っているのだが元案内人のスキルだけあって偶に役立つので始末が悪い。
「じゃ、やるから抵抗するなよ。」
そういうとサクラさんの心臓部分から魔力でない何かが溢れ出てきた。
これが命力だな。
心臓からあふれ出る力。
心臓は命の源だから命力と名付けのかな。
ん?心臓?俺ってスライムだから心臓がないぞ。
これってやっちゃったパターン、結果が出る前に結果が分かっちゃうこの何とも言えない心境。
待て待て。
結論を出すのは早い。
心臓を持っていないけどスライムも一応生き物だ。
生き物だよな?
まぁ、生き物ということにしておこう。
つまり生きているってことはどこかに心臓に代わる命の源があるはず。
よし、大丈夫だ。これで俺が命力を使えない理由が無くなった。
さぁ、バッチコイ。
俺が一人で悩んで焦って安心している間にもサクラさんは命力を作り出し遂に全身が命力に包まれた。
サクラさんは俺に優しく触れてきた。
こんなときだけど女性に優しく触られるとあれだねちょっと興奮するね。
『TPOを弁えずに全てを己の欲望に繋げるとはエロエロマジックスライムの鏡っすね。』
TPOって確か時と場所と場合だったけ?
つまり俺はいつでもどこでもどんな場面でも全てを欲望に繋げてるって・・・違うこれは仕方ないんだ。
だってだってスキルがスキルが特殊過ぎて十全に性能を発揮するには仕方ないんだ。
『そうっすね。仕方ないっすね。』
ヤスに言い訳しても無駄なことを失念してしまうとは俺は余程焦っていたらしい。
「そろそろ、命力を感じられたかい?」
ヤベ、ヤスが余計なことを言うから本来の目的を見失うところだったぞ。
命力、命力。
ダメだ、命力よりサクラさんの手の感触のほうが気になってしまう。
コレに抗うことは俺にはできない。
ク、どうすれば良いんだ。
いや、寧ろ受け入れれば良いんだ。そうすればこうそく思考スキルが本領を発揮して全てが解決する。
受け入れろ、受け入れるんだ。
おおぉぉ、益々頭が冴えてくる。
分かる分かるぞ。
スライムの命の源は俺の体の中にある粒粒らしい。
ただの飾りかと思ったらラムネのビー玉みたいに意味があったんだな。
ラムネのビー玉の役割は忘れたけど。
サクラさんの命力を呼び水に俺の命力を粒粒から引き出すんだ。
俺はやれば出来る子やれば出来る子。
『なんでその言葉を選ぶんっすか、そこは普通ビジアンヌ様に祈るんじゃないっすか。仮にも使徒なんすから。』
命力は場所はもう分かっているんだからあとはもう気の持ちようなのよ。
そう考えるな感じろ!
ピロリン スキル命力感知を獲得しました。
「オッシャァァァ!!!」
キタキタキタ。
来ましたよ!
ハッヒャァァ!!
俺に、俺には命力の資質がありましたよ。
前世から苦節・・・苦節何年だ?
まぁ、何年でも良い取りあえず遂に俺も天才の仲間入りだ!
『まぁ、全部ビジアンヌ様の寵愛のお蔭っすけど。』
ああ、例えそうであっても俺に命力を扱う資質があったのは紛れもない事実だ。
「落ち着いたか?それでどうだ?」
「やりましたサクラさん。命力感知スキルを取得しました。」
「へぇ、それはスゴイな資質はあるんじゃないかと思ってたけど、いきなり命力感知スキルを取得するとはね。鬼神の加護を持っているアタイでも一週間はかかったのに流石使徒様だね。」
えへ、褒められちった。
俺って褒められて伸びるタイプなんすのよね。
『褒められて惚気るタイプっすか。エロエロスライムっぽいっすね。』
違う。褒められて伸びるタイプ。
「流石ご主人様ブ。私はゾワゾワって感じるだけブ。」
おお、仙か。
ビックリさせるなよ。
いや決して仙のことを忘れてたわけじゃないよ。
ただ命力感知を取得するのに集中してただけだ。
『世の中ではそれを忘れていたって言うっす。』
ヤスが何か言ってるけど今は放置だ。
それにしても三尺下がって師の影を踏まずじゃないけど後ろに控えて俺を立てているのか。
配下の鏡だ。俺をディスるしかしないヤスとは違うな。
「へぇ、仙も命力を感じられるのかい。使徒様ほどじゃないけど仙も資質があるね。」
『ビジアンヌ様の寵愛がないのに資質があるって仙は旦那と違ってホンマモンの天才っすね。』
な、何だと・・・。
う、羨ましくなんてないからね。
寧ろ配下が天才なのは良いことだ。
今後は人族との戦わないといけなくなるんだから戦力が上がるのは歓迎すべきこと。
仙は俺の配下なんだから俺は天才を従える者だ。
うん、そうだ。
何も嫉妬することは何もない。
『屁理屈で何とか自尊心を保ってるっすね。』
何を言うこれ以上ないくらい理路整然として理屈だ。
「サクラさん、ありがとうございました。さぁ行くぞ、仙。」
『これ以上、仙の才能を目のあたりにしたくないっすね。』
何時までもサクラさんの手を取らせるわけにはいかない。
俺達もやらないといけないことがあるからな。
「あ、待ってくださいブ。ご主人様。」
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